乙女ゲームのヒロインに転生、科学を駆使して剣と魔法の世界を生きる

アミ100

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新学期

第91話 各々の成長②

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「どう思う、ジーク・ロバン。」

「すごいよ、ラクア!まだ二刀流にしたばっかりなんでしょ?もうそんなに使いこなしてるなんて!」

「世辞はいい。改善点を話せ。」

「えー、そうだなあ……右か左か微妙な場所に攻撃されたときは、どっちで受けるかちょっと迷ってるよね?でもこれは単純に慣れの問題だと思うんだ。それに最終的には間に合ってるし。」

「反応速度についてはどう思う。」

「すごいいいと思うよ!ちょっと剣が重そうな気がしなくも無いけど……それはわざとそうしたんでしょ?」

「ああ、アランに剣が軽すぎても威力が下がるからと言われてな。それに、筋力の成長ピークはまだ先だから、だったか?」

ラクアがこちらを向く。

「うん、ラクアはまだ15,6歳でしょ?確か部位にもよるけど、少なくとも20代半ばから30歳くらいまでは筋力は自然に増えていくはずだから、多少は重くてもいいかと思って。」

ラクアとアランが剣を買いに行く前、私に意見を求めてきてそう答えたのを思い出す。

「なるほど!というか、なんか私は違うみたいな言い方してたけど、カナも15歳だからね?」

「あれ、ほんとだ。」

「あはは、ほんとに忘れてたんだ……」

「他にはあるか。」

「んーとりあえずこれくらいかな!また思い出したら言うね!」

「そしたら、次は私かな?」

私はジークと入れ替わり、ラクアの前に立つ。

「こっちは全力で、だったよね。」

「最初にそう言ったはずだ。」

「分かった。じゃあ……怪我しないように気をつけて。」


«固体化・ウォーターソード»

「……!」
「え、うそ!?」

私は、10本の水剣をラクアに放った。

ガガガガガッッ!!!

10本の剣でラクアを取り囲み、容赦なく攻撃していく。

その間、私自身は前に出ず、魔法操作に集中する。

これが今の私の最大火力だ。とはいえ10本全て思い通りに動かすことは頭の処理的な問題で厳しいので、一度に攻撃できるのはせいぜい2,3本だ。しかし、次の瞬間には別の2,3本で別方向から攻撃出来るため、数の旨みはかなりある。それに、細かい操作をしなければ10本一気に投げつけることも出来る。

ガガッ!キンッ!カンカンッ!ガガッ!!

ラクアは若干被弾しつつも、大半の攻撃は2本の剣で上手くさばいている。

ちなみに剣は魔力濃度を下げて硬度も下げているので、しっかり被弾しても打撃はあるが切り傷にはならない。いくら全力でと言われたとはいえ、訓練で切り傷だらけになられても困るし。

「ハアッ……ハアッ……」

ラクアが肩で息をする。ちょっとやりすぎたかと思い、私は水剣での攻撃をやめる。

「貴様……」

「あ、ごめん。ちょっとやめるの遅かった?」

「そういう問題では無い……一体何をしたら、こんな短期間で……!」

ラクアは私を睨みつけるように視る。

「えっと、ちょっと面白い本を見つけて……ちょっと工夫したら、思いのほか上手くいっちゃって。」

「だからといって、何だその魔力量は!」

「うーん、たまたま私の体質に合ってたのかな?私も肌感やってるからあんまり仕組み分かってないし……」

「……まあいい。今日はこれで終わりだ。」

ラクアは剣を収める。

あれ、怒らせたかな……

演習場ここはあと1時間程度は使える。好きに使え。」

「ラクア、あの……」

「……俺は頭を冷やしてくる。行くぞ、エルマー。」

「はい。」

ランドルトが返事をする。

「カナ様、お気になさらないでくださいね。ラクア様は少し焦っていらっしゃるだけですから。」

ランドルトに小声で声をかけられる。

「うん、大丈夫。」

「では、失礼いたします。」

こうしてラクアとランドルトは演習場を後にした。

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