77 / 115
新学期
第77話 vs剣術部部長②
しおりを挟む
「いい加減、僕も攻めなきゃね。」
ダッ!
「おおっと、今度は部長がカナさん目掛けて飛び出した!」
さて、今度はどうするか。
"固体化・アクアウォール"
ガキィィィン!!
「カナさん、冷静に防御し部長の勢いを止める!」
"アクアバインド"
バシッ!
私は部長の手足を拘束する。
「グランドランス!」
ゴォォォォ!!
「…っ!」
「部長の土の槍がカナさんに直撃!結構吹っ飛ばされたが大丈夫か!?」
今まで魔法で攻撃はしてこなかったから油断していた…ガードしたのでダメージはそれほどでは無いが、今の衝撃で部長を拘束していた魔法が解けてしまった。やはり魔法がまともに使える人間は捕まえてはい終わりでは済まないな…
ダッ!
部長は方向を変え、再び私の方へ突っ込んでくる。
仕方ない、正面衝突は避けられないか…
ガキィィィン!!
「おおっと!部長とカナさんが直接ぶつかった!!カナさんは少し苦しそうか!?」
1度特に対策はせず水惑刀で受けてみたが、威力が尋常では無い。
この一撃で手が痺れるレベルだ。
ガッ!ガキィン!!
そのまま攻防が続く。
"幻影"
ガキィィン!!
私が幻影を使って隠れると、部長は一瞬戸惑ったがすぐに私の居場所を捉える。
"幻影"解除
カキィィン!ガッ!
"幻影"
「カナさん、今度は"幻影"を使っては解除しを繰り返しながら部長の猛攻を上手く耐えているぞ!この"幻影"には意味があるのか!?」
「そんなん、部長に魔力視と普通の視覚を切り替えさせて混乱させるために決まってんだろうが。あいつがやりそうなことだ。」
「あ、おいベークマン!本人達に聞こえるように作戦バラしたら不公平になるだろ!てか俺も分かってて言わなかったんだぞ!」
「ああ?なんでそんな回りくでぇことしてんだよ?」
……気が散るから、実況と解説で揉めないで欲しい。
ちなみにベークマンの言っている通り、私が"幻影"を繰り返し使っているのは部長を撹乱するためだ。魔力視を使った視界と通常の視界は暗さがかなり違う。魔力視の視界は、魔力があるもの以外はかなり暗く映るのだ。それを切り替えるとサングラスを付け外ししているような状態になるので、あまり繰り返すと目がおかしくなってくる。
ベークマンによって意図はばらされてしまったが、まあバレたところでどうにかできる訳でもないので問題ない。というか、アランとベークマンが気がついたことに部長が気づかないとは考えづらいし。
"幻影" 解除
〘水惑刀〙«重飛水撃»
ガッ!カンッ!ザクッ!!
「……っ!!」
「カナさんの攻撃が部長に1つ当たったぞ!これは痛い!」
ようやく隙ができ、一撃食らわせることができた。
「それなら…!」
部長がつぶやく。どうやら魔力視を常時使うことにしたらしい。
ちなみに、魔力視を使っている人間は、目が少し光る。遠巻きだと分かりづらいが、今は近くで対峙しているのでわかりやすい。
ガキィィン!!
「……っ!」
「部長、焦っている様子!今度はどうしたんだ?」
キィィィン!
「…そういう、ことか…」
部長は私と剣を交えながら呟く。
そう、彼の魔力視の視界で光って見えるのは、私の他に、地面全体にある水たまりだ。
これは先程の"大洪水"で落ちてきた水で、これらは魔法で生成された水なので魔力視では光って見える。
しかも私も水を被っているので、一見すると地面と同化して見える。通常の視界と魔力視の視界で切り替えているうちは通常の視界で見た場所からある程度の位置を推測できる。おおよその位置が分かっていれば水溜まりと私の区別もつく。だが、ずっと魔力視を使うとそれすら分からなくなる。かといって通常の視界に戻せばまた私が"幻影"で隠れてしまう。という塩梅だ。
さて、じゃあこのまま試合を続けるとしよう。
――――――
ピッーーー!!
しばらく攻防を続けていると、笛の音が高らかに鳴った。
「30分経過!試合終了です!!双方まだ立っている!よってこの勝負引き分けだ!!」
「ハァ、ハァ……」
30分の試合が終わり、さすがに体力の限界が来て、私は肩で息をしていた。しかし、怪我らしい怪我はしなかったので上々だ。
「………」
一方の部長は、いくらか切り傷は作ったものの息が乱れている様子はない。一体どれだけ体力があるのか…
「……君、最初から引き分けに持ち込むつもりだったでしょ?」
部長は剣を鞘に収めながら私に問う。
「はい。剣術に長けていて、魔力量も多い部長相手にどうにも勝てるとは思えなかったので。」
それに、この試合の目的はベークマンに私の力量を確かめさせることだ。開始早々一か八かで勝負をかけてあっさりやられるより、多少セーブしてでも長期戦に持ち込んだ方がベークマンも満足するだろうと考えたのだ。
「ハハ、確かに、それはそうだ。それで、賭けの方はどうする?決着が着くまでまた戦う?」
「……部長さんが良ければ、体験入部を1週間して、その間に魔法陣の消し方を教えてもらうというのはどうでしょう。」
「賭けを無効にするのではなく、互いの要望を受け入れて折衷案にしようってことか。いいね、そうしよう。というか、僕が勝ったらどの道«キャンセル»は教えてあげるつもりだったけどね。」
「え」
「じゃあ、そういうことで。早速明日から来るといいよ。」
どの道教えるつもりだったって、それじゃあ骨折り損の……いや、まあいずれにせよ教えて貰えるのだから良しとしよう。
「おい、カナ・ベルナール!!やっぱ俺とも勝負しろ!!」
その後、我々の試合に感化されたベークマンをいなすのに苦労したのだが、それはまた別の話。
ダッ!
「おおっと、今度は部長がカナさん目掛けて飛び出した!」
さて、今度はどうするか。
"固体化・アクアウォール"
ガキィィィン!!
「カナさん、冷静に防御し部長の勢いを止める!」
"アクアバインド"
バシッ!
私は部長の手足を拘束する。
「グランドランス!」
ゴォォォォ!!
「…っ!」
「部長の土の槍がカナさんに直撃!結構吹っ飛ばされたが大丈夫か!?」
今まで魔法で攻撃はしてこなかったから油断していた…ガードしたのでダメージはそれほどでは無いが、今の衝撃で部長を拘束していた魔法が解けてしまった。やはり魔法がまともに使える人間は捕まえてはい終わりでは済まないな…
ダッ!
部長は方向を変え、再び私の方へ突っ込んでくる。
仕方ない、正面衝突は避けられないか…
ガキィィィン!!
「おおっと!部長とカナさんが直接ぶつかった!!カナさんは少し苦しそうか!?」
1度特に対策はせず水惑刀で受けてみたが、威力が尋常では無い。
この一撃で手が痺れるレベルだ。
ガッ!ガキィン!!
そのまま攻防が続く。
"幻影"
ガキィィン!!
私が幻影を使って隠れると、部長は一瞬戸惑ったがすぐに私の居場所を捉える。
"幻影"解除
カキィィン!ガッ!
"幻影"
「カナさん、今度は"幻影"を使っては解除しを繰り返しながら部長の猛攻を上手く耐えているぞ!この"幻影"には意味があるのか!?」
「そんなん、部長に魔力視と普通の視覚を切り替えさせて混乱させるために決まってんだろうが。あいつがやりそうなことだ。」
「あ、おいベークマン!本人達に聞こえるように作戦バラしたら不公平になるだろ!てか俺も分かってて言わなかったんだぞ!」
「ああ?なんでそんな回りくでぇことしてんだよ?」
……気が散るから、実況と解説で揉めないで欲しい。
ちなみにベークマンの言っている通り、私が"幻影"を繰り返し使っているのは部長を撹乱するためだ。魔力視を使った視界と通常の視界は暗さがかなり違う。魔力視の視界は、魔力があるもの以外はかなり暗く映るのだ。それを切り替えるとサングラスを付け外ししているような状態になるので、あまり繰り返すと目がおかしくなってくる。
ベークマンによって意図はばらされてしまったが、まあバレたところでどうにかできる訳でもないので問題ない。というか、アランとベークマンが気がついたことに部長が気づかないとは考えづらいし。
"幻影" 解除
〘水惑刀〙«重飛水撃»
ガッ!カンッ!ザクッ!!
「……っ!!」
「カナさんの攻撃が部長に1つ当たったぞ!これは痛い!」
ようやく隙ができ、一撃食らわせることができた。
「それなら…!」
部長がつぶやく。どうやら魔力視を常時使うことにしたらしい。
ちなみに、魔力視を使っている人間は、目が少し光る。遠巻きだと分かりづらいが、今は近くで対峙しているのでわかりやすい。
ガキィィン!!
「……っ!」
「部長、焦っている様子!今度はどうしたんだ?」
キィィィン!
「…そういう、ことか…」
部長は私と剣を交えながら呟く。
そう、彼の魔力視の視界で光って見えるのは、私の他に、地面全体にある水たまりだ。
これは先程の"大洪水"で落ちてきた水で、これらは魔法で生成された水なので魔力視では光って見える。
しかも私も水を被っているので、一見すると地面と同化して見える。通常の視界と魔力視の視界で切り替えているうちは通常の視界で見た場所からある程度の位置を推測できる。おおよその位置が分かっていれば水溜まりと私の区別もつく。だが、ずっと魔力視を使うとそれすら分からなくなる。かといって通常の視界に戻せばまた私が"幻影"で隠れてしまう。という塩梅だ。
さて、じゃあこのまま試合を続けるとしよう。
――――――
ピッーーー!!
しばらく攻防を続けていると、笛の音が高らかに鳴った。
「30分経過!試合終了です!!双方まだ立っている!よってこの勝負引き分けだ!!」
「ハァ、ハァ……」
30分の試合が終わり、さすがに体力の限界が来て、私は肩で息をしていた。しかし、怪我らしい怪我はしなかったので上々だ。
「………」
一方の部長は、いくらか切り傷は作ったものの息が乱れている様子はない。一体どれだけ体力があるのか…
「……君、最初から引き分けに持ち込むつもりだったでしょ?」
部長は剣を鞘に収めながら私に問う。
「はい。剣術に長けていて、魔力量も多い部長相手にどうにも勝てるとは思えなかったので。」
それに、この試合の目的はベークマンに私の力量を確かめさせることだ。開始早々一か八かで勝負をかけてあっさりやられるより、多少セーブしてでも長期戦に持ち込んだ方がベークマンも満足するだろうと考えたのだ。
「ハハ、確かに、それはそうだ。それで、賭けの方はどうする?決着が着くまでまた戦う?」
「……部長さんが良ければ、体験入部を1週間して、その間に魔法陣の消し方を教えてもらうというのはどうでしょう。」
「賭けを無効にするのではなく、互いの要望を受け入れて折衷案にしようってことか。いいね、そうしよう。というか、僕が勝ったらどの道«キャンセル»は教えてあげるつもりだったけどね。」
「え」
「じゃあ、そういうことで。早速明日から来るといいよ。」
どの道教えるつもりだったって、それじゃあ骨折り損の……いや、まあいずれにせよ教えて貰えるのだから良しとしよう。
「おい、カナ・ベルナール!!やっぱ俺とも勝負しろ!!」
その後、我々の試合に感化されたベークマンをいなすのに苦労したのだが、それはまた別の話。
68
お気に入りに追加
692
あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

ギルドを追放された俺、傭兵ギルドのエリートに拾われる〜元ギルドは崩壊したらしい〜
ネリムZ
ファンタジー
唐突にギルドマスターから宣言される言葉。
「今すぐにこのギルドから去れ。俺の前に二度と顔を出さないように国も出て行け」
理解出来ない言葉だったが有無を言わせぬマスターに従った。
様々な気力を失って森の中を彷徨うと、賞金首にカツアゲされてしまった。
そこに助けようとする傭兵ギルドのA級、自称エリートのフィリア。
モヤモヤとした気持ちに駆られ、賞金首を気絶させる。
行く場所が無い事を素直に伝えるとフィリアは自分のギルドに招待してくれた。
俺は仕事が必要だったのでありがたく、その提案を受けた。
そして後に知る、元所属ギルドが⋯⋯。
新たな目標、新たな仲間と環境。
信念を持って行動する、一人の男の物語。

公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

僕と精霊 〜魔法と科学と宝石の輝き〜
一般人
ファンタジー
人類が魔法と科学の力を発見して数万年。それぞれの力を持つ者同士の思想の衝突で起きた長き時に渡る戦争、『発展戦争』。そんな戦争の休戦から早100年。魔法軍の国に住む高校生ジャン・バーンは精霊カーバンクルのパンプと出会いと共に両国の歪みに巻き込まれていく。

美少女に転生して料理して生きてくことになりました。
ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。
飲めないお酒を飲んでぶったおれた。
気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。
その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる