乙女ゲームのヒロインに転生、科学を駆使して剣と魔法の世界を生きる

アミ100

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新学期

第75話 1番強いのは?

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「…奈」

…?

佳奈カナ、聞いてる?」

…お母…さん?

「あ、ごめんなんだっけ?」

なんでお母さんがここに…

「ちょっと、ちゃんと聞いててよね!…それで、白と茶色のブラウスどっちがいいの?」

そう言うと、お母さんは2枚のブラウスを見せてくる。そうだ、私はお母さんと私の服を買いに来てたんだ…

「えっと…」

今、お母さんは機嫌が良さそうだ。

「白…かな…」

「でも、白って汚れそうじゃない?」

…そうなるよね…

「それで、どっちがいい?」

茶色って言えば良いんだろうけど…でも茶色の方はあんまり好きじゃないし…

「…どっちでもいいよ。」
「なに?なんでそうなるの?」

ああ、まただ…

「自分の服なんだから自分で決めなさいよ!!」

また、間違えた・・・・

……………

………



チュンチュン!

「…最近こんな夢多いな…」

私はいつも通り、制服に着替えて準備をし、寮の私室から教室へと向かった。

――――――

教室に行くと、先にマリーが座っていた。

「おはよう、カナ!」
「おはようマリー」

「どうしたの?少し顔色が悪いわ。」

「ああいや、なんでもないよ。」

「そう……?それなら良いのだけれど……」

「おい、カナ・ベルナールはいるか!!」

すると突然、大声で私を呼ぶ声がした。この声は……

「ベークマン、どうしたの?……あ、この前の街灯のことならまだちょっと……」
「そんなことはどうでもいい!それより、俺と勝負しろ!!」

え?

「なんでそうなったの?」
「放課後剣術部に来い!」

そう言うとベークマンは勢いよく教室を出ていってしまった。

あの態度は今に始まったことではないが、せめて質問には答えて欲しいものだ。

「カナ、どうするの……?」

マリーが心配そうに私の顔を見る。

「まあ、無視した方が面倒そうだし大人しく行ってみるよ。」

――――――

そんなこんなで放課後、私は剣術部の部室に来た。

部室と言っても部屋にテーブルと椅子があって部活の道具があって……という訳ではなく、日中は授業で使われている訓練場をそのまま部室として使っている。

それにしても、なぜベークマンは突然勝負しろなどと言い出したのだろうか。

魔術大会のときの宣戦布告は気にするなと言っていたし、他に面白いやつがいるみたいなことも言っていたので、完全に私への興味は消えたと思っていたのだが。

「よお、来たな。」

訓練場に入ると、早速ベークマンに見つかった。

「ん?あ、カナさん!なんでここに?」

それと、訓練場にはアランもいた。アランは剣術部と料理部で迷った結果、剣術部に入ることにしたのだ。

「ああそれが……なんでだろうね。」

「……?」
「おい、俺の事を無視するな!」

「ごめんごめん。それでえっと、勝負するんだっけ?」

「ああそうだ、早速やろうじゃねえか!」

「いや、せめてその前にこうなった経緯を聞きたいんだけど……」

「ああ?いいだろそんなことはよ。」

これじゃ埒が明かないな……


「どうしたのかな、その子は?」

すると、そこへ1人の男子生徒が近づいてきた。恐らく上級生だ。

「あ、部長!」

アランが反応する。部長だったのか。

「部長、こいつがカナ・ベルナールです。」

ベークマンが言う。私はとりあえず部長にお辞儀をしておく。

「ああ、君か。思い出したよ……それで、どうして君がここに?」

それはこっちが聞きたい。

「ベークマンに呼ばれたのですが、私も理由はよくわかっていなくて……」

「理由も何も、勝負するためっつったろうが。」

「だから、なんで勝負するのかが分からないんだって。」

「……もしかして、この前言ってたこと?」

部長がベークマンに質問する。

「はい、せっかくなので連れてきました。」

ベークマンが答える。というかベークマン、敬語使えたのか……

「あ、あれか!」

アランが反応する。何か心当たりがあるらしい。

「ねえ、さっきから皆何の話してるの?」

私はアランに質問する。

「この前部員同士で話してたときに、1年生で1番強いのは誰だって話になったんだよ。そしたらカナさんとかジークの名前が出てきて、ベークマンが急に実際勝負すりゃわかるだろ!とか言い出してよ……」

「なるほどね……」

ようやく経緯がなんとなくだが分かった。

「よし、じゃあやるか!」

ベークマンが言う。

しかし、ここまでなんとなく来てしまったが、冷静に考えて実質3対1で何とか勝てたような奴とタイマンで戦うなんてゴメンだ。

「いや、やっぱりやめたいんだけど……」
「あぁ?」

うわ、怖。

「ベークマンとが嫌なら、僕とやるのはどう?」

「……え?」

提案してきたのは部長だ。ベークマンが敬語使うような人だから相当強そうな気がするのだが、意思疎通から怪しいベークマンと戦うよりはマシ……か?

「えーと……」

「もし嫌になったらそこまでで終わりでいいから。ベークマンもそれでいいか?」

「……部長がそういうなら。」

ベークマンが素直に従っている……どう考えてもこの部長只者では無い。実際魔力視で見てみると、魔力量は入学時の私と大差ないでは無いか。

……まあでも、せっかくだからやるか。

「わかりました、ではお願いします、部長さん。」

「よし、じゃあ早速やろうか。ここじゃちょっと狭いから、コロシアムの方でやろう。」

こうして、突如として私 vs 剣術部部長の勝負が始まったのであった。
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