乙女ゲームのヒロインに転生、科学を駆使して剣と魔法の世界を生きる

アミ100

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新学期

第73話 ジークへの誕生日プレゼント③

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今日はジークの誕生日当日だ。早くも放課後となり、私たちは誕生日会をするべく寮のラウンジに集合していた。

「それじゃあ…」
「「「ジーク、誕生日おめでとう!!」」」

集まったのは、ジーク、私、マリー、アランのいつもの4人だ。

「皆ありがとう!」
「早速プレゼント渡しましょう!」

そう言うとマリーは袋からラッピングした小さめの箱を取り出した。

「私からはこれ!」
「わあ、ありがとう!開けていい?」
「もちろん!」

ジークがマリーの渡した木箱を開けると、中から綺麗な装飾がされた高そうな万年筆が出てきた。

「万年筆だ!書くものが少なくて困ってたんだ、ありがとう!」
「喜んでもらえてよかったわ!」

「じゃあ次は俺だな!」

アランはマリーと対象的に、大きめの箱を取り出す。

「つっても俺のは物じゃなくて、これだ!」

アランが自分で箱を開けると、中から豪華なケーキが出てきた。

「わあすごい!これアランが作ったの?」
「おう、頑張ったぜ!カナさんのプレゼント見たらみんなで食おう!」
「うん!」

「えっと、じゃあ最後は私かな。」

私は用意した木箱を取り出す。一応サイズは抑え気味にしたが、それでもなんだかんだアランのケーキの箱より一回り大きい。

「大きいね!開けていい?」
「もちろん。」

ジークは興味津々で箱を開け、中から蓄音機を取り出した。

「なんだこれ?」

ジークより先にアランが反応する。

「これは蓄音機って言って、周りから拾った音を記録しておける機械だよ。」
「音を記録…?」

ジークが首を傾げる。

「やってみた方が早そうだね。」

私は最初に試したとき同様、実際に録音と再生をやって見せた。選曲は例によってメリーさんの羊だ。

「わあ……!」

ジークを始め、3人とも目を輝かせて録音した音声を聞いている。

「すごいわ、こんなことができるなんて!」
「これ、どんな魔法使ったんだ…?」
「動力源に魔石を使ってるけど、それ以外は特に魔法の類は使ってないよ。」
「まじかよ…」
「すごい、すごいよカナ!!」

ジークが興奮気味に言う。

「前に音楽を聞く機会が限られてるみたいなこと言ってたでしょ?そのときこういうのが作れないか考えたんだよ。どう?気に入った?」
「もちろん!大切にするね!」
「それは良かった。じゃあ円筒は1つ使っちゃったから、こっちの未使用のやついくつかあげとくね。」
「うん、ありがとう!……ねえ、今録音したのももらっちゃだめ?」
「あ、うんいいけど…そんなに歌うまくもないけどいいの?」
「うん!これがいい!」

人より抜きん出てうまくもなく、かと言ってネタにするほど下手でもない歌声だが、何故かジークは気に入ったようだ。

「てか、音を記録する機械や魔導具なんて聞いたことないぞ!これ全部カナさんの考案か?」

アランが質問する。

「同じ部活の子に手伝ってもらったから全部ではないけど、完成形を考えたのは概ね私…かな?」

本当はエジソンという偉大な発明家の発明を横流ししただけだけどね。とはいえこの世界特有の材料も使っているので多少は大目に見て欲しい。

「これこそ特許とかじゃねえのか?」
「ああそれなら、既に申請の準備をしてるよ。最初は断ったんだけど、部活の顧問に"こんな大発明を特許申請しなかったら悪用されて大変なことになるぞ!"って脅されちゃってね。」
「まあそうなるよな!」

ちなみに特許は私とノアさんの連名にしておいた。ノアさんは断ってきたが、あれだけ手伝ってもらったのに名前を載せないのもバツが悪いので半ば強引に入ってもらった。

「それじゃあ、そのうち商品化したりするのかしら?」
「私自身が商品化する予定は今のところないけど、特許料を払って作りたがる人間が現れれば十分可能性はあるよ。」

エジソンの手柄でお金をもらうのは気が引けるが、これからジークの身を守るにあたりお金が入り用になる可能性もあるし、特許の印税で稼いでおくのは悪くないだろう。

それに平民のなかでは比較的裕福な我が家だが、貴族が多い魔術学院の生徒基準だとかなり金欠気味なのだ。

「しっかしカナさんはどんどんスケールのデカいことやってるよな!そのうち大賢者エドガスみたいになるんじゃねえか?」
「ハハ、さすがにそれは買いかぶり過ぎじゃないかな…」

それから私達はアランのケーキを食べながらワイワイ騒ぎ、就寝時間間際になって解散した。

しかし、今になって私の歌声の入った円筒をジークに渡したのが少し恥ずかしくなってきたな…ネタになるほどでは無いと思うが、歌が下手だからって笑われたりしてないといいけど。

そんなカナの考えをよそに、ジークは眠れないときにカナの歌声を聞いてはぐっすり眠れるようになるのだが、それはまた別のお話。
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