73 / 115
新学期
第73話 ジークへの誕生日プレゼント③
しおりを挟む
今日はジークの誕生日当日だ。早くも放課後となり、私たちは誕生日会をするべく寮のラウンジに集合していた。
「それじゃあ…」
「「「ジーク、誕生日おめでとう!!」」」
集まったのは、ジーク、私、マリー、アランのいつもの4人だ。
「皆ありがとう!」
「早速プレゼント渡しましょう!」
そう言うとマリーは袋からラッピングした小さめの箱を取り出した。
「私からはこれ!」
「わあ、ありがとう!開けていい?」
「もちろん!」
ジークがマリーの渡した木箱を開けると、中から綺麗な装飾がされた高そうな万年筆が出てきた。
「万年筆だ!書くものが少なくて困ってたんだ、ありがとう!」
「喜んでもらえてよかったわ!」
「じゃあ次は俺だな!」
アランはマリーと対象的に、大きめの箱を取り出す。
「つっても俺のは物じゃなくて、これだ!」
アランが自分で箱を開けると、中から豪華なケーキが出てきた。
「わあすごい!これアランが作ったの?」
「おう、頑張ったぜ!カナさんのプレゼント見たらみんなで食おう!」
「うん!」
「えっと、じゃあ最後は私かな。」
私は用意した木箱を取り出す。一応サイズは抑え気味にしたが、それでもなんだかんだアランのケーキの箱より一回り大きい。
「大きいね!開けていい?」
「もちろん。」
ジークは興味津々で箱を開け、中から蓄音機を取り出した。
「なんだこれ?」
ジークより先にアランが反応する。
「これは蓄音機って言って、周りから拾った音を記録しておける機械だよ。」
「音を記録…?」
ジークが首を傾げる。
「やってみた方が早そうだね。」
私は最初に試したとき同様、実際に録音と再生をやって見せた。選曲は例によってメリーさんの羊だ。
「わあ……!」
ジークを始め、3人とも目を輝かせて録音した音声を聞いている。
「すごいわ、こんなことができるなんて!」
「これ、どんな魔法使ったんだ…?」
「動力源に魔石を使ってるけど、それ以外は特に魔法の類は使ってないよ。」
「まじかよ…」
「すごい、すごいよカナ!!」
ジークが興奮気味に言う。
「前に音楽を聞く機会が限られてるみたいなこと言ってたでしょ?そのときこういうのが作れないか考えたんだよ。どう?気に入った?」
「もちろん!大切にするね!」
「それは良かった。じゃあ円筒は1つ使っちゃったから、こっちの未使用のやついくつかあげとくね。」
「うん、ありがとう!……ねえ、今録音したのももらっちゃだめ?」
「あ、うんいいけど…そんなに歌うまくもないけどいいの?」
「うん!これがいい!」
人より抜きん出てうまくもなく、かと言ってネタにするほど下手でもない歌声だが、何故かジークは気に入ったようだ。
「てか、音を記録する機械や魔導具なんて聞いたことないぞ!これ全部カナさんの考案か?」
アランが質問する。
「同じ部活の子に手伝ってもらったから全部ではないけど、完成形を考えたのは概ね私…かな?」
本当はエジソンという偉大な発明家の発明を横流ししただけだけどね。とはいえこの世界特有の材料も使っているので多少は大目に見て欲しい。
「これこそ特許とかじゃねえのか?」
「ああそれなら、既に申請の準備をしてるよ。最初は断ったんだけど、部活の顧問に"こんな大発明を特許申請しなかったら悪用されて大変なことになるぞ!"って脅されちゃってね。」
「まあそうなるよな!」
ちなみに特許は私とノアさんの連名にしておいた。ノアさんは断ってきたが、あれだけ手伝ってもらったのに名前を載せないのもバツが悪いので半ば強引に入ってもらった。
「それじゃあ、そのうち商品化したりするのかしら?」
「私自身が商品化する予定は今のところないけど、特許料を払って作りたがる人間が現れれば十分可能性はあるよ。」
エジソンの手柄でお金をもらうのは気が引けるが、これからジークの身を守るにあたりお金が入り用になる可能性もあるし、特許の印税で稼いでおくのは悪くないだろう。
それに平民のなかでは比較的裕福な我が家だが、貴族が多い魔術学院の生徒基準だとかなり金欠気味なのだ。
「しっかしカナさんはどんどんスケールのデカいことやってるよな!そのうち大賢者エドガスみたいになるんじゃねえか?」
「ハハ、さすがにそれは買いかぶり過ぎじゃないかな…」
それから私達はアランのケーキを食べながらワイワイ騒ぎ、就寝時間間際になって解散した。
しかし、今になって私の歌声の入った円筒をジークに渡したのが少し恥ずかしくなってきたな…ネタになるほどでは無いと思うが、歌が下手だからって笑われたりしてないといいけど。
そんなカナの考えをよそに、ジークは眠れないときにカナの歌声を聞いてはぐっすり眠れるようになるのだが、それはまた別のお話。
「それじゃあ…」
「「「ジーク、誕生日おめでとう!!」」」
集まったのは、ジーク、私、マリー、アランのいつもの4人だ。
「皆ありがとう!」
「早速プレゼント渡しましょう!」
そう言うとマリーは袋からラッピングした小さめの箱を取り出した。
「私からはこれ!」
「わあ、ありがとう!開けていい?」
「もちろん!」
ジークがマリーの渡した木箱を開けると、中から綺麗な装飾がされた高そうな万年筆が出てきた。
「万年筆だ!書くものが少なくて困ってたんだ、ありがとう!」
「喜んでもらえてよかったわ!」
「じゃあ次は俺だな!」
アランはマリーと対象的に、大きめの箱を取り出す。
「つっても俺のは物じゃなくて、これだ!」
アランが自分で箱を開けると、中から豪華なケーキが出てきた。
「わあすごい!これアランが作ったの?」
「おう、頑張ったぜ!カナさんのプレゼント見たらみんなで食おう!」
「うん!」
「えっと、じゃあ最後は私かな。」
私は用意した木箱を取り出す。一応サイズは抑え気味にしたが、それでもなんだかんだアランのケーキの箱より一回り大きい。
「大きいね!開けていい?」
「もちろん。」
ジークは興味津々で箱を開け、中から蓄音機を取り出した。
「なんだこれ?」
ジークより先にアランが反応する。
「これは蓄音機って言って、周りから拾った音を記録しておける機械だよ。」
「音を記録…?」
ジークが首を傾げる。
「やってみた方が早そうだね。」
私は最初に試したとき同様、実際に録音と再生をやって見せた。選曲は例によってメリーさんの羊だ。
「わあ……!」
ジークを始め、3人とも目を輝かせて録音した音声を聞いている。
「すごいわ、こんなことができるなんて!」
「これ、どんな魔法使ったんだ…?」
「動力源に魔石を使ってるけど、それ以外は特に魔法の類は使ってないよ。」
「まじかよ…」
「すごい、すごいよカナ!!」
ジークが興奮気味に言う。
「前に音楽を聞く機会が限られてるみたいなこと言ってたでしょ?そのときこういうのが作れないか考えたんだよ。どう?気に入った?」
「もちろん!大切にするね!」
「それは良かった。じゃあ円筒は1つ使っちゃったから、こっちの未使用のやついくつかあげとくね。」
「うん、ありがとう!……ねえ、今録音したのももらっちゃだめ?」
「あ、うんいいけど…そんなに歌うまくもないけどいいの?」
「うん!これがいい!」
人より抜きん出てうまくもなく、かと言ってネタにするほど下手でもない歌声だが、何故かジークは気に入ったようだ。
「てか、音を記録する機械や魔導具なんて聞いたことないぞ!これ全部カナさんの考案か?」
アランが質問する。
「同じ部活の子に手伝ってもらったから全部ではないけど、完成形を考えたのは概ね私…かな?」
本当はエジソンという偉大な発明家の発明を横流ししただけだけどね。とはいえこの世界特有の材料も使っているので多少は大目に見て欲しい。
「これこそ特許とかじゃねえのか?」
「ああそれなら、既に申請の準備をしてるよ。最初は断ったんだけど、部活の顧問に"こんな大発明を特許申請しなかったら悪用されて大変なことになるぞ!"って脅されちゃってね。」
「まあそうなるよな!」
ちなみに特許は私とノアさんの連名にしておいた。ノアさんは断ってきたが、あれだけ手伝ってもらったのに名前を載せないのもバツが悪いので半ば強引に入ってもらった。
「それじゃあ、そのうち商品化したりするのかしら?」
「私自身が商品化する予定は今のところないけど、特許料を払って作りたがる人間が現れれば十分可能性はあるよ。」
エジソンの手柄でお金をもらうのは気が引けるが、これからジークの身を守るにあたりお金が入り用になる可能性もあるし、特許の印税で稼いでおくのは悪くないだろう。
それに平民のなかでは比較的裕福な我が家だが、貴族が多い魔術学院の生徒基準だとかなり金欠気味なのだ。
「しっかしカナさんはどんどんスケールのデカいことやってるよな!そのうち大賢者エドガスみたいになるんじゃねえか?」
「ハハ、さすがにそれは買いかぶり過ぎじゃないかな…」
それから私達はアランのケーキを食べながらワイワイ騒ぎ、就寝時間間際になって解散した。
しかし、今になって私の歌声の入った円筒をジークに渡したのが少し恥ずかしくなってきたな…ネタになるほどでは無いと思うが、歌が下手だからって笑われたりしてないといいけど。
そんなカナの考えをよそに、ジークは眠れないときにカナの歌声を聞いてはぐっすり眠れるようになるのだが、それはまた別のお話。
79
お気に入りに追加
691
あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。


オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
雪月夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

悪役令嬢、資産運用で学園を掌握する 〜王太子?興味ない、私は経済で無双する〜
言諮 アイ
ファンタジー
異世界貴族社会の名門・ローデリア学園。そこに通う公爵令嬢リリアーナは、婚約者である王太子エドワルドから一方的に婚約破棄を宣言される。理由は「平民の聖女をいじめた悪役だから」?——はっ、笑わせないで。
しかし、リリアーナには王太子も知らない"切り札"があった。
それは、前世の知識を活かした「資産運用」。株式、事業投資、不動産売買……全てを駆使し、わずか数日で貴族社会の経済を掌握する。
「王太子?聖女?その程度の茶番に構っている暇はないわ。私は"資産"でこの学園を支配するのだから。」
破滅フラグ?なら経済で粉砕するだけ。
気づけば、学園も貴族もすべてが彼女の手中に——。
「お前は……一体何者だ?」と動揺する王太子に、リリアーナは微笑む。
「私はただの投資家よ。負けたくないなら……資本主義のルールを学びなさい。」
学園を舞台に繰り広げられる異世界経済バトルロマンス!
"悪役令嬢"、ここに爆誕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる