上 下
62 / 103
冬休み

第62話 悪夢①

しおりを挟む
家に帰ってからしばらく時間が経ち、今は寝支度を整えて寝ようとしているところだ。

今日の騎士団長との対面で、私は正直顔を見ただけでも"ゲーム画面"の続きが見られるのではないかとタカをくくっていた。

しかし実際は、会話をしても特に異変はない。それに騎士団長との会話内容自体からも、特別重要な情報は得られなかった。

正直詰みの状態だ。あの"ゲーム画面"に関する手がかりで他に思い当たるものはない。これからどうしていくべきか…それを家に帰ってきてからずっと考えていたが、何も浮かんで来ない。

…まあ今日これ以上考えたところでわかることはないだろう。とりあえず寝て、明日また考えるとしよう。

こうして私は眠りについた。



………

……………

…………………

………………………

…………ザッ…………

…ザザッ!……ザッ!…

ジーー!!…ザザッ…ザザザッッ!!ジーッ!!!


ブォン!!………

…私は今日、ラインハルト様、そして双子の姉ミラ様の18歳のお誕生日の祝賀会に出席するため、王城へと来ていた。

会場に着くと、ラインハルト様が私を迎えてくれた。

ラインハルト「やあ、カナ。今日は来てくれてありがとう、嬉しいよ。」

カナ「こちらこそ、ご招待頂きありがとうございます。」

ラインハルト「さて、せっかくだから一緒に回ろうか。ついでにここに来ている人たちを紹介するよ。」

カナ「はい!」

そこから私は、ラインハルト様に連れられて色々な方達に挨拶をしてまわった。

ラインハルト「それじゃあ次は…あ、ラクア!」
カナ「あ…!」

ラクアと呼ばれた人物は、かつて私が街で野党に絡まれていた所を助けてくれた青色髪の男性だった。

(助けてくれたのはありがたいんだけど、態度が上から目線でちょっと苦手だったんだよね…)

ラインハルト「カナ、彼は僕の弟で第2王子のラクアだよ。とは言っても異母兄弟だけどね。もしかして2人は知り合いかい?」

ラクア「いえ、知りませんね。会っていたとしても、こんなのはいちいち覚えていないと思いますし。」

カナ「な……!そんな言い方……!」

ラインハルト「そうだよラクア。そういうこと言うからお友達できないんだよ?」

ラクア「別に、友達などいりません!」

ラインハルト「ごめんね、カナ。態度はちょっとアレだけど、決して悪い子じゃないんだ。」

ラクア「……兄上……アレとは……」

カナ「ふふっ……!大丈夫ですよ、"アレ"でも!」

ラクア「……」

(やっぱりラインハルト様は誰のことも思いやれるいい人だな……)

ラインハルト「じゃあまたね、ラクア」

ラクア「……はい」

私はラクア様に軽く会釈しながら、またラインハルト様について行った。

ラインハルト「あと紹介してないのは……第2騎士団の騎士団長さんくらいかな?えーとロバン伯爵は確か……あ、あそこだ」

ラインハルト様の目線の先を見ると、黒髪に緑色の瞳をした男性が立っていた。

しかし、何となく元気がなく、顔は少しやつれてしまっている。

(何かあったのかな……?)

ラインハルト「お久しぶりです、ロバン伯爵」

騎士団長「……おおこれは、ラインハルト殿下ではありませんか。本日はお誕生日おめでとうございます。」

ラインハルト「ありがとう。」

騎士団長「それで、どういったご用件で?」

ラインハルト「大したことではないんですが、この子に色々紹介してまわってるので、ロバン伯爵にも会わせておこうと思いまして。」

騎士団長「おや、そうでしたか。……」

騎士団長様は私の顔をじっと見てくる。

(あ、自己紹介しないと……!)

カナ「あ、あの!カナ・ベルナールです!すみません、自己紹介が遅れてしまって!」

騎士団長「カナ殿ですか。いえ、名前を名乗らなかったのをとがめたかったのではありませんよ。ただ、あなたくらいの年齢の子どもを見るとどうにも思い出してしまって……」

ラインハルト「……」

カナ「思い出すとは、何を……?」

私は恐る恐る聞いてみる。

騎士団長「実は……」




"騎士団長「私にはジークという16才の息子がいたのですが、裏組織の人間に襲われて……

……1ヶ月前に亡くなりました」"


しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

黙示録戦争後に残された世界でたった一人冷凍睡眠から蘇ったオレが超科学のチート人工知能の超美女とともに文芸復興を目指す物語。

あっちゅまん
ファンタジー
黙示録の最終戦争は実際に起きてしまった……そして、人類は一度滅亡した。 だが、もう一度世界は創生され、新しい魔法文明が栄えた世界となっていた。 ところが、そんな中、冷凍睡眠されていたオレはなんと蘇生されてしまったのだ。 オレを目覚めさせた超絶ボディの超科学の人工頭脳の超美女と、オレの飼っていた粘菌が超進化したメイドと、同じく飼っていたペットの超進化したフクロウの紳士と、コレクションのフィギュアが生命を宿した双子の女子高生アンドロイドとともに、魔力がないのに元の世界の科学力を使って、マンガ・アニメを蘇らせ、この世界でも流行させるために頑張る話。 そして、そのついでに、街をどんどん発展させて建国して、いつのまにか世界にめちゃくちゃ影響力のある存在になっていく物語です。 【黙示録戦争後に残された世界観及び設定集】も別にアップしています。 よければ参考にしてください。

前世の記憶で異世界を発展させます!~のんびり開発で世界最強~

櫻木零
ファンタジー
20XX年。特にこれといった長所もない主人公『朝比奈陽翔』は二人の幼なじみと充実した毎日をおくっていた。しかしある日、朝起きてみるとそこは異世界だった!?異世界アリストタパスでは陽翔はグランと名付けられ、生活をおくっていた。陽翔として住んでいた日本より生活水準が低く、人々は充実した生活をおくっていたが元の日本の暮らしを知っている陽翔は耐えられなかった。「生活水準が低いなら前世の知識で発展させよう!」グランは異世界にはなかったものをチートともいえる能力をつかい世に送り出していく。そんなこの物語はまあまあ地頭のいい少年グランの異世界建国?冒険譚である。小説家になろう様、カクヨム様、ノベマ様、ツギクル様でも掲載させていただいております。そちらもよろしくお願いします。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜

駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。 しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった─── そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。 前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける! 完結まで毎日投稿!

処理中です...