乙女ゲームのヒロインに転生、科学を駆使して剣と魔法の世界を生きる

アミ100

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冬休み

第62話 悪夢①

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家に帰ってからしばらく時間が経ち、今は寝支度を整えて寝ようとしているところだ。

今日の騎士団長との対面で、私は正直顔を見ただけでも"ゲーム画面"の続きが見られるのではないかとタカをくくっていた。

しかし実際は、会話をしても特に異変はない。それに騎士団長との会話内容自体からも、特別重要な情報は得られなかった。

正直詰みの状態だ。あの"ゲーム画面"に関する手がかりで他に思い当たるものはない。これからどうしていくべきか…それを家に帰ってきてからずっと考えていたが、何も浮かんで来ない。

…まあ今日これ以上考えたところでわかることはないだろう。とりあえず寝て、明日また考えるとしよう。

こうして私は眠りについた。



………

……………

…………………

………………………

…………ザッ…………

…ザザッ!……ザッ!…

ジーー!!…ザザッ…ザザザッッ!!ジーッ!!!


ブォン!!………

…私は今日、ラインハルト様、そして双子の姉ミラ様の18歳のお誕生日の祝賀会に出席するため、王城へと来ていた。

会場に着くと、ラインハルト様が私を迎えてくれた。

ラインハルト「やあ、カナ。今日は来てくれてありがとう、嬉しいよ。」

カナ「こちらこそ、ご招待頂きありがとうございます。」

ラインハルト「さて、せっかくだから一緒に回ろうか。ついでにここに来ている人たちを紹介するよ。」

カナ「はい!」

そこから私は、ラインハルト様に連れられて色々な方達に挨拶をしてまわった。

ラインハルト「それじゃあ次は…あ、ラクア!」
カナ「あ…!」

ラクアと呼ばれた人物は、かつて私が街で野党に絡まれていた所を助けてくれた青色髪の男性だった。

(助けてくれたのはありがたいんだけど、態度が上から目線でちょっと苦手だったんだよね…)

ラインハルト「カナ、彼は僕の弟で第2王子のラクアだよ。とは言っても異母兄弟だけどね。もしかして2人は知り合いかい?」

ラクア「いえ、知りませんね。会っていたとしても、こんなのはいちいち覚えていないと思いますし。」

カナ「な……!そんな言い方……!」

ラインハルト「そうだよラクア。そういうこと言うからお友達できないんだよ?」

ラクア「別に、友達などいりません!」

ラインハルト「ごめんね、カナ。態度はちょっとアレだけど、決して悪い子じゃないんだ。」

ラクア「……兄上……アレとは……」

カナ「ふふっ……!大丈夫ですよ、"アレ"でも!」

ラクア「……」

(やっぱりラインハルト様は誰のことも思いやれるいい人だな……)

ラインハルト「じゃあまたね、ラクア」

ラクア「……はい」

私はラクア様に軽く会釈しながら、またラインハルト様について行った。

ラインハルト「あと紹介してないのは……第2騎士団の騎士団長さんくらいかな?えーとロバン伯爵は確か……あ、あそこだ」

ラインハルト様の目線の先を見ると、黒髪に緑色の瞳をした男性が立っていた。

しかし、何となく元気がなく、顔は少しやつれてしまっている。

(何かあったのかな……?)

ラインハルト「お久しぶりです、ロバン伯爵」

騎士団長「……おおこれは、ラインハルト殿下ではありませんか。本日はお誕生日おめでとうございます。」

ラインハルト「ありがとう。」

騎士団長「それで、どういったご用件で?」

ラインハルト「大したことではないんですが、この子に色々紹介してまわってるので、ロバン伯爵にも会わせておこうと思いまして。」

騎士団長「おや、そうでしたか。……」

騎士団長様は私の顔をじっと見てくる。

(あ、自己紹介しないと……!)

カナ「あ、あの!カナ・ベルナールです!すみません、自己紹介が遅れてしまって!」

騎士団長「カナ殿ですか。いえ、名前を名乗らなかったのをとがめたかったのではありませんよ。ただ、あなたくらいの年齢の子どもを見るとどうにも思い出してしまって……」

ラインハルト「……」

カナ「思い出すとは、何を……?」

私は恐る恐る聞いてみる。

騎士団長「実は……」




"騎士団長「私にはジークという16才の息子がいたのですが、裏組織の人間に襲われて……

……1ヶ月前に亡くなりました」"


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