乙女ゲームのヒロインに転生、科学を駆使して剣と魔法の世界を生きる

アミ100

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冬休み

第60話 騎士団長②

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貴族の食事というと静かに食べるイメージを勝手に持っていたのだが、ロバン家の食事は比較的賑やかで居心地の良い雰囲気だった。

「さて、カナ殿。私の話が聞きたいのでしたかな?」

「はい。色々と質問してもよろしいでしょうか?」

「もちろんですとも。」

「ではまずは騎士団の構造について……」

その後、私は騎士団長に様々な質問をした。一応"騎士団長や騎士団の仕事内容が知りたい"というていで来ているので、核心に迫る以外の部分を中心に質問していった。とは言ってもそもそも何を質問すれば核心に迫れるかもよく分からないため、手当たり次第に質問するのも一概に無駄とは言えない。

――――

食事を取りつつしばらく質問を続け、そろそろネタ切れしそうなのでもう少し踏み込んだ話を振る。

「ところで、最近不審な出来事や事件が起こったという話を聞いたりはしていませんか?もしくはパトリック様ご自身の周りで何かあったりとかは?」

「ふーむ……特別そういう話は聞きませんな……強いて言うなら、ラクア殿下がご出席されたソルード侯爵主催のお茶会での不審者騒動くらいでしょうか」

「あ、実は私もそのお茶会に出席していまして……」

「おや、そうだったのですか?私はラクア殿下から概要をお聞きしただけでしたので、それは把握しておりませんでした。もしや、ラクア殿下と共に不審者の対処をしたもう1人というのはあなたのことでしょうか?」

「はい、恐らくそうだと思います。」

「そうでしたか……大事にならなくて何よりです。」

「お気遣いありがとうございます。それで、その後色々調べてわかったことと気になった点があるのですが、後でお話することは可能でしょうか?」

「それは、外部に漏れるとまずい情報、ということですか?」

「はい。今のところ知っているのは調査に協力してくださったエドガス・ラウエンシュタイン様だけで、それ以外にラクア殿下にはお会い出来次第お話しするつもりですが、それとパトリック様以外には今のところ話すつもりはありません。」

私1人ではどうにもならないので味方を増やす必要があるが、その相手は慎重に選ばなくてはならない。

「わかりました。では後ほど場所を変えてお話しましょう。」

――――――

それからもう少しして食事も終わり、私と騎士団長はダイニングを後にし別の部屋へ移動してきた。見た限りでは騎士団長の書斎のようだ。

「それではカナ殿、先程の件についてお話いただけますか?」

「はい」

私はエドガス様やロンから聞いた情報と、それに基づいた推測をなるべく細かく説明した。

「なるほど、他国の介入の可能性があると……」

「はい。あくまで可能性ですが。」

「わかりました。ではこちらの方でも調べておきましょう。本来個人の犯罪は管轄外ですが、国際問題に発展しかねないのであれば我々も動けるかもしれません。」

「ありがとうございます。しかし大々的に動くと勘づかれて逃げられる恐れもありますので、くれぐれも外部には気取られないようにお願いします。」

「はい、もちろんです。それではそろそろお開きにしましょうか。」

「……そうですね」

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