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冬休み

第59話 騎士団長①

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「カナ~そろそろ起きてきなさい~!」
「はーい!」

私は返事をしてから1階へと降りる。

「ささ、朝ごはん食べましょ!」
「うん」

ジークと建国祭をまわってから3日、今日はいよいよ騎士団長に会いに行く日だ。

繰り返すようだが、騎士団長は今まで2度雑音と共に現れた"ゲーム画面"の内容を探るほぼ唯一の手がかりだ。ジーク友達をこれから起こるはずの"何か"から守るためには、ここで極力情報を集めなくてはいけない。

それと同時に、この前のお茶会の件についてもなにか知っていることがないか聞くつもりでいる。たとえ良い情報が得られなくても、かなり大規模な組織が関係している可能性も否定できない以上、騎士団長にも話を通しておいてバチは当たらないだろう。

「今日はいつ頃行くんだったかしら??」
「昼食を一緒に取ろうって話だったから、昼前には出るよ。」
「そうなのね、わかったわ!」

――――――

昼前になり、今私は家を出ようとしているところだ。ちなみに服装は普段の庶民服もミラ殿下から貰ったドレスも両極端すぎたので、学院の制服を着ていくことにした。まあ、職業体験感がでるし悪くは無いだろう。

「じゃあ、行ってきます」
「行ってらっしゃい!」

私は徒歩でジークの家であるロバン邸まで向かう。うちから屋敷までは歩いて20分くらいだ。ジークが迎えに行こうかと言ってくれたのだが、徒歩で来るなら往復40分させるのは申し訳ないし、かといって家の前に馬車がとまっても目立ってしょうがないので断った。

――――――――

しばらく歩くと、ロバン邸の前に着いた。

「カナ・ベルナール様でしょうか?」

すると門の前に立っている警備兵に声をかけられる。

「あ、はい」
「ジーク様よりお話は伺っております。どうぞ中へ。」

そういうと警備兵は門を開け、屋敷の扉の方まで案内してくれた。

コンコンッ!

警備兵が扉を叩く。

ガチャッ!

すると待ち構えていたように扉が開き、中からジークが現れた。

「あ、カナ!」
「こんにちは、ジーク」
「とりあえず中に入って!」

私は警備兵に軽く会釈し、今度はジークについていく。

「じゃあ、早速だけどダイニング行ってお昼食べよっか!」
「うん」

――――――

しばらくそのままジークについていくと、やがて豪華な扉の前にたどり着いた。エドガス様の屋敷も凄かったが、ここもなかなかである。

コンコンッ!

「どうぞ」

ジークが扉を叩くと、中から低い声が聞こえてきた。

「はーい!」

ジークは返事をしてから扉を開けた。すると、中には声の主である男性が1番豪華な椅子に座っていた。黒髪に深緑の瞳を持つ細身の中年男性……彼が騎士団長だ。

騎士団長は椅子から立ち上がりこちらへ向き直る。

「おお、お待ちしておりました、カナ・ベルナール殿。改めまして、私はジークの父で王国第2騎士団の騎士団長、パトリック・ロバンです。」
「パトリック様、本日は私の我儘わがままを聞き入れてくださりありがとうございます。」
「我儘だなんてとんでもない。ジークのご友人であれば歓迎ですし、私も1度お話したいと思っていましたので。」
「それは良かったです」
「さあ、立ちっぱなしもなんですから、どうぞお座りください。」
「はい、ありがとうございます」

私は促されるまま、いつの間にか既に座っていたジークの隣の椅子に腰を下ろした。

「あとは私の妻と、ジークの妹と弟が来ますので、それまで少々お待ちください。」
「わかりました」

ジークには18歳の兄と5歳の双子の弟・妹が1人ずついるそうだ。ジークの兄、つまり長男は父親同様王国の騎士として働いており、今日は都合が合わなかったというのをさっきジークから聞いた。

コンコンッ!ガチャ

少しするとダイニングの扉が開き、女性が1人と子どもが2人入ってきた。

「あら、あなたがカナさんかしら?いらっしゃい。」

女性が私に声をかける。この人がジークの母親、ロバン夫人だろう。

「はい、お邪魔しています」
「「こんにちは!」」 
「こんにちは」

今度は2人の子どもが挨拶してくれる。この2人が弟と妹だろう。

「カナ、こっちが僕のお母さんで、こっちが弟のユリウスと妹のユリアだよ!」

ジークが補足で教えてくれる。

「全員揃ったことだし昼食にしようか。」

騎士団長の一言で昼食会が始まった。
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