乙女ゲームのヒロインに転生、科学を駆使して剣と魔法の世界を生きる

アミ100

文字の大きさ
上 下
59 / 115
冬休み

第59話 騎士団長①

しおりを挟む
「カナ~そろそろ起きてきなさい~!」
「はーい!」

私は返事をしてから1階へと降りる。

「ささ、朝ごはん食べましょ!」
「うん」

ジークと建国祭をまわってから3日、今日はいよいよ騎士団長に会いに行く日だ。

繰り返すようだが、騎士団長は今まで2度雑音と共に現れた"ゲーム画面"の内容を探るほぼ唯一の手がかりだ。ジーク友達をこれから起こるはずの"何か"から守るためには、ここで極力情報を集めなくてはいけない。

それと同時に、この前のお茶会の件についてもなにか知っていることがないか聞くつもりでいる。たとえ良い情報が得られなくても、かなり大規模な組織が関係している可能性も否定できない以上、騎士団長にも話を通しておいてバチは当たらないだろう。

「今日はいつ頃行くんだったかしら??」
「昼食を一緒に取ろうって話だったから、昼前には出るよ。」
「そうなのね、わかったわ!」

――――――

昼前になり、今私は家を出ようとしているところだ。ちなみに服装は普段の庶民服もミラ殿下から貰ったドレスも両極端すぎたので、学院の制服を着ていくことにした。まあ、職業体験感がでるし悪くは無いだろう。

「じゃあ、行ってきます」
「行ってらっしゃい!」

私は徒歩でジークの家であるロバン邸まで向かう。うちから屋敷までは歩いて20分くらいだ。ジークが迎えに行こうかと言ってくれたのだが、徒歩で来るなら往復40分させるのは申し訳ないし、かといって家の前に馬車がとまっても目立ってしょうがないので断った。

――――――――

しばらく歩くと、ロバン邸の前に着いた。

「カナ・ベルナール様でしょうか?」

すると門の前に立っている警備兵に声をかけられる。

「あ、はい」
「ジーク様よりお話は伺っております。どうぞ中へ。」

そういうと警備兵は門を開け、屋敷の扉の方まで案内してくれた。

コンコンッ!

警備兵が扉を叩く。

ガチャッ!

すると待ち構えていたように扉が開き、中からジークが現れた。

「あ、カナ!」
「こんにちは、ジーク」
「とりあえず中に入って!」

私は警備兵に軽く会釈し、今度はジークについていく。

「じゃあ、早速だけどダイニング行ってお昼食べよっか!」
「うん」

――――――

しばらくそのままジークについていくと、やがて豪華な扉の前にたどり着いた。エドガス様の屋敷も凄かったが、ここもなかなかである。

コンコンッ!

「どうぞ」

ジークが扉を叩くと、中から低い声が聞こえてきた。

「はーい!」

ジークは返事をしてから扉を開けた。すると、中には声の主である男性が1番豪華な椅子に座っていた。黒髪に深緑の瞳を持つ細身の中年男性……彼が騎士団長だ。

騎士団長は椅子から立ち上がりこちらへ向き直る。

「おお、お待ちしておりました、カナ・ベルナール殿。改めまして、私はジークの父で王国第2騎士団の騎士団長、パトリック・ロバンです。」
「パトリック様、本日は私の我儘わがままを聞き入れてくださりありがとうございます。」
「我儘だなんてとんでもない。ジークのご友人であれば歓迎ですし、私も1度お話したいと思っていましたので。」
「それは良かったです」
「さあ、立ちっぱなしもなんですから、どうぞお座りください。」
「はい、ありがとうございます」

私は促されるまま、いつの間にか既に座っていたジークの隣の椅子に腰を下ろした。

「あとは私の妻と、ジークの妹と弟が来ますので、それまで少々お待ちください。」
「わかりました」

ジークには18歳の兄と5歳の双子の弟・妹が1人ずついるそうだ。ジークの兄、つまり長男は父親同様王国の騎士として働いており、今日は都合が合わなかったというのをさっきジークから聞いた。

コンコンッ!ガチャ

少しするとダイニングの扉が開き、女性が1人と子どもが2人入ってきた。

「あら、あなたがカナさんかしら?いらっしゃい。」

女性が私に声をかける。この人がジークの母親、ロバン夫人だろう。

「はい、お邪魔しています」
「「こんにちは!」」 
「こんにちは」

今度は2人の子どもが挨拶してくれる。この2人が弟と妹だろう。

「カナ、こっちが僕のお母さんで、こっちが弟のユリウスと妹のユリアだよ!」

ジークが補足で教えてくれる。

「全員揃ったことだし昼食にしようか。」

騎士団長の一言で昼食会が始まった。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

鋼なるドラーガ・ノート ~S級パーティーから超絶無能の烙印を押されて追放される賢者、今更やめてくれと言われてももう遅い~

月江堂
ファンタジー
― 後から俺の実力に気付いたところでもう遅い。絶対に辞めないからな ―  “賢者”ドラーガ・ノート。鋼の二つ名で知られる彼がSランク冒険者パーティー、メッツァトルに加入した時、誰もが彼の活躍を期待していた。  だが蓋を開けてみれば彼は無能の極致。強い魔法は使えず、運動神経は鈍くて小動物にすら勝てない。無能なだけならばまだしも味方の足を引っ張って仲間を危機に陥れる始末。  当然パーティーのリーダー“勇者”アルグスは彼に「無能」の烙印を押し、パーティーから追放する非情な決断をするのだが、しかしそこには彼を追い出すことのできない如何ともしがたい事情が存在するのだった。  ドラーガを追放できない理由とは一体何なのか!?  そしてこの賢者はなぜこんなにも無能なのに常に偉そうなのか!?  彼の秘められた実力とは一体何なのか? そもそもそんなもの実在するのか!?  力こそが全てであり、鋼の教えと闇を司る魔が支配する世界。ムカフ島と呼ばれる火山のダンジョンの攻略を通して彼らはやがて大きな陰謀に巻き込まれてゆく。

ギルドを追放された俺、傭兵ギルドのエリートに拾われる〜元ギルドは崩壊したらしい〜

ネリムZ
ファンタジー
 唐突にギルドマスターから宣言される言葉。 「今すぐにこのギルドから去れ。俺の前に二度と顔を出さないように国も出て行け」  理解出来ない言葉だったが有無を言わせぬマスターに従った。  様々な気力を失って森の中を彷徨うと、賞金首にカツアゲされてしまった。  そこに助けようとする傭兵ギルドのA級、自称エリートのフィリア。  モヤモヤとした気持ちに駆られ、賞金首を気絶させる。  行く場所が無い事を素直に伝えるとフィリアは自分のギルドに招待してくれた。  俺は仕事が必要だったのでありがたく、その提案を受けた。  そして後に知る、元所属ギルドが⋯⋯。  新たな目標、新たな仲間と環境。  信念を持って行動する、一人の男の物語。

僕と精霊 〜魔法と科学と宝石の輝き〜

一般人
ファンタジー
 人類が魔法と科学の力を発見して数万年。それぞれの力を持つ者同士の思想の衝突で起きた長き時に渡る戦争、『発展戦争』。そんな戦争の休戦から早100年。魔法軍の国に住む高校生ジャン・バーンは精霊カーバンクルのパンプと出会いと共に両国の歪みに巻き込まれていく。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記

ノン・タロー
ファンタジー
ごく普通の女子高生である「武久 佳奈」は、通学途中に突然異世界へと飛ばされてしまう。これは何の特殊な能力もチートなスキルも持たない、ただごく普通の女子高生が、自力で会得した魔法やスキルを駆使し、元の世界へと帰る方法を探すべく見ず知らずの異世界で様々な人々や、様々な仲間たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく記録である……。 設定 この世界は人間、エルフ、妖怪、獣人、ドワーフ、魔物等が共存する世界となっています。 その為か男性だけでなく、女性も性に対する抵抗がわりと低くなっております。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

処理中です...