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冬休み
第57話 建国祭①
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約束の時間を5分程過ぎた辺りで、私服姿のジークが到着した。貴族だからもっと豪勢な服でも着てくるかと思ったが、良さそうな生地が使われていること以外は平民のそれと大差ない格好だ。ちなみに私も平民らしいスカートである。もしかしたら私がこういう服しか持っていないのを見越して合わせてくれたのかもしれない。
「ごめん、ちょっと遅れちゃった!待ったよね?」
「いや、私も来てからそんなに経ってないよ」
「なら良かった!」
「ところで、今日は行きたい場所とかは決まってるの?」
「あ、えっと今日って建国記念日でしょ?だからそのお祭り見に行こうかと思って!」
なるほど建国記念日か、そういえば12月25日にそんなものがあったな。確か乙女ゲーム「Amour Tale」 ではクリスマスの時期のイベントで"建国祭でデート!"みたいなのがあったはずだ。
なんでクリスマスじゃないのかって?それは簡単な話で、この世界にはキリスト教もイエス・キリストの話も存在しないから、イエス・キリストの降誕祭であるクリスマスも存在しないという訳だ。
「そういえばそうだった。いいね、行こうか」
「うん!」
――――――――――――
比較的人が少なかった教会の前から大通りへ移動すると、打って変わって大勢の人が行き交っていた。そして建物には装飾が施され、どのお店も賑わっている。この辺は日本のクリスマスシーズンそっくりだ。
そのまま大広場に出ると、大道芸やら楽器の演奏やらが催されていた。
「あ、あそこの演奏見に行こ!」
「うん」
沢山ある人だかりのうちの1つに近づくと、その中心では2人組がなにやら演奏をしていた。2人はそれぞれアコースティックギターとサックスのようなものを使い、ジャズっぽい曲を弾いている。中世ヨーロッパにジャズは無かったと思うが、まあここは中世ヨーロッパ"風"の異世界なので矛盾はない。
「凄い、かっこいいね」
ジークが演奏の邪魔にならないように小声で話しかけてくる。
「そうだね。ジークは音楽好きなの?」
「うん、でもこういう場でしか聞けないのが残念だなあ……」
「確かに、そうだよね」
そういえば、この世界にはミュージックプレーヤーやCDはもちろん、レコードすら存在しない。マジックフォンがあるのだから技術的には作れそうなものだが……ちょっと今度調べてみるか。
広場で演奏を見たあと、私達はカフェで紅茶とケーキを頂いていた。
「このショートケーキ美味しい!」
「私のモンブランもおいしいよ」
「え、ほんと?僕そっちと迷ったんだよな~」
「良かったらちょっと食べてみる?」
「え、いいの?ありがとう!」
そういうとジークは自分のフォークで私のモンブランを少量取り口に運んだ。
「うん、こっちもおいしい!僕のも食べていいよ!」
「ありがとう、いただくよ」
―――――――
「そういえば、この後はどうしようか?」
私は残りのモンブランを食べながらジークに問いかける。
「夜に大広場の方でイルミネーションがあるみたいだから、それまで時間潰したあと見に行くのはどう??」
「そうだね、そうしよう」
――――――
ティータイムも終わり、私達は色々と大通りのお店を色々見て回っているところだ。
そのとき、遠くの方から声が聞こえてきた。
「間もなく王室の方々のパレードが催されますので、道をお開けください!」
「ん?パレード?」
「あ、そういえばそんなこと言ってたかも!建国を記念して王様達が馬車に乗って街を1周するんだったかな?」
「お、せっかくだし見る?どうせ夜までまだ時間あるし。」
「そうだね!」
「ごめん、ちょっと遅れちゃった!待ったよね?」
「いや、私も来てからそんなに経ってないよ」
「なら良かった!」
「ところで、今日は行きたい場所とかは決まってるの?」
「あ、えっと今日って建国記念日でしょ?だからそのお祭り見に行こうかと思って!」
なるほど建国記念日か、そういえば12月25日にそんなものがあったな。確か乙女ゲーム「Amour Tale」 ではクリスマスの時期のイベントで"建国祭でデート!"みたいなのがあったはずだ。
なんでクリスマスじゃないのかって?それは簡単な話で、この世界にはキリスト教もイエス・キリストの話も存在しないから、イエス・キリストの降誕祭であるクリスマスも存在しないという訳だ。
「そういえばそうだった。いいね、行こうか」
「うん!」
――――――――――――
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そのまま大広場に出ると、大道芸やら楽器の演奏やらが催されていた。
「あ、あそこの演奏見に行こ!」
「うん」
沢山ある人だかりのうちの1つに近づくと、その中心では2人組がなにやら演奏をしていた。2人はそれぞれアコースティックギターとサックスのようなものを使い、ジャズっぽい曲を弾いている。中世ヨーロッパにジャズは無かったと思うが、まあここは中世ヨーロッパ"風"の異世界なので矛盾はない。
「凄い、かっこいいね」
ジークが演奏の邪魔にならないように小声で話しかけてくる。
「そうだね。ジークは音楽好きなの?」
「うん、でもこういう場でしか聞けないのが残念だなあ……」
「確かに、そうだよね」
そういえば、この世界にはミュージックプレーヤーやCDはもちろん、レコードすら存在しない。マジックフォンがあるのだから技術的には作れそうなものだが……ちょっと今度調べてみるか。
広場で演奏を見たあと、私達はカフェで紅茶とケーキを頂いていた。
「このショートケーキ美味しい!」
「私のモンブランもおいしいよ」
「え、ほんと?僕そっちと迷ったんだよな~」
「良かったらちょっと食べてみる?」
「え、いいの?ありがとう!」
そういうとジークは自分のフォークで私のモンブランを少量取り口に運んだ。
「うん、こっちもおいしい!僕のも食べていいよ!」
「ありがとう、いただくよ」
―――――――
「そういえば、この後はどうしようか?」
私は残りのモンブランを食べながらジークに問いかける。
「夜に大広場の方でイルミネーションがあるみたいだから、それまで時間潰したあと見に行くのはどう??」
「そうだね、そうしよう」
――――――
ティータイムも終わり、私達は色々と大通りのお店を色々見て回っているところだ。
そのとき、遠くの方から声が聞こえてきた。
「間もなく王室の方々のパレードが催されますので、道をお開けください!」
「ん?パレード?」
「あ、そういえばそんなこと言ってたかも!建国を記念して王様達が馬車に乗って街を1周するんだったかな?」
「お、せっかくだし見る?どうせ夜までまだ時間あるし。」
「そうだね!」
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