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いつもの学院生活…?

第52話 期末テスト③

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それから1週間と少し、テストを受けて先生達による採点も終わり、今日はテスト結果が返ってくる日だ。あの後勉強会を3回ほどやったし、それ以外でも真面目にやったので割と自信はある。

結果はまず点数だけそれぞれの手元に配られ、学年での総合点の順位は中庭に面する廊下に1位から最下位まで大々的に張り出される。前世の私は超がつくほどの進学校に通っていたのもあり、その中ではかなり成績が悪かったので、そのときにこんな張り出され方をされなくてよかったなと思う。

「それでは成績を配ります」

今は教室で先生が成績表を一人一人に配っている。成績表をもらったアランを見ると、声こそ出さないがすごく嬉しそうにしている。少なくとも赤点は間逃れたようだ。

「次、ベルナールさん」

私も成績表を渡された。どれどれ…

数学︰ 100点 / 100点
魔法理論︰ 97点 / 100点
国語︰  90点 / 100点
帝国語︰ 92点 / 100点
王国史︰ 85点 / 100点
総合点︰ 464点 / 500点

おお、いいんじゃないか?懸念していた王国史もそれなりに取れた。こんな高得点前世では中学校以来取っていないのでかなり嬉しい。

「それでは、HRはこれで終わりです。皆さん、さようなら」

HRが終わり、放課後となった。

「カナさん見てくれ!赤点回避したぞ!」

そう言ってアランが駆け寄ってくる。

「おお!それはよかった。」

アランの成績表を見ると、

数学︰ 60点 / 100点
魔法理論︰ 52点 / 100点
国語︰  40点 / 100点
帝国語︰ 35点 / 100点
王国史︰ 47点 / 100点
総合点︰ 234点 / 500点

帝国語がかなりギリギリだが、確かに全科目赤点を回避していた。

「いやー本当に良かったぜ!ありがとうカナさん!」
「私もアランに剣術教えてもらったし、お互い様だよ。それにアランが点を取れたのは、アラン自身がちゃんと頑張ったからでしょ?」
「そう言ってくれると嬉しいぜ!…ところでカナさんは何点取って…ってなんだよこの点数!?」
「ん?カナどうだったの?」

ジークとマリーがいつの間に近くに来ていた。

「総合点は464点だったよ。ジークはどうだった?」
「僕は450点!負けちゃったな~」
「俺、嬉しいはずなのに素直に喜べねえ…」
「あらアランさん、赤点回避したのね、おめでとう!」
「ありがとうマリーさん!!」

ちなみにマリーは総合点が379点だったそうだ。それぞれ思うことはあるかもしれないが、何にせよテストが無事に終わって良かった。

「あ、そういえば順位が張り出されてるんだよね、見に行く?」

「私はせっかくだし行こうかな。」

「俺はこの喜びを噛み締めていたいからパス!」
「私も多分真ん中より少し上くらいだろうし、やめておくわ。」

成績表には得点の分布表がついているので、ざっくり自分がどの辺りかは分かる。そのため上位陣と全科目赤点レベルの最下位層以外は見る意味があまりないのだ。

「じゃあ僕達だけで見に行こっか!」
「そうだね」

――――――――――

順位表の前に来ると、大勢の人で賑わっていた。私達は人を掻き分けて順位表の前に立つ。結果は…

1位 エルマー・ランドルト 492点
2位 カナ・ベルナール 464点
3位 ノア・カーター 460点
4位 ラクア・リアムール 453点 
5位 ジーク・ロバン  450点

なんと結果は2位だった。ジークも5位と好成績である。どうせなら1位を取りたかったが、ランドルトにここまでぶっちぎりで1位を取られてしまってはそんな気も失せた。

「わーい5位だ!カナは2位おめでとう!」
「うん、ありがとう。ジークもおめでとう」

「おや、私が1位だったようですね」
「お前が1位なのは当然だろう」

いつの間に横にいたのか、ランドルトがつぶやく。ラクアも一緒に来ているようだ。

「ラクア様、4位おめでとうございます。」

「……ふん」

「それとも、ロバン様にご勝利なされておめでとうございます、と言った方がよろしいでしょうか?」

「……ふふっ」

ふふっ?

「フハハッ、見たかジーク・ロバン!やはり俺の方が上だったようだな!!」

ラクアのテンションがまたおかしくなった。初対面でいきなりこんな感じだったのでこっちがデフォルトだと思っていたが、今思えばむしろこのお間抜けな姿の方がキャラ崩壊後だったらしい。

というかお兄さん、1人で順位表に向かって盛り上がってるところ悪いけど、すぐ隣にジーク・ロバンご本人いますよ。あと、勝ったと言ってもたったの3点差ですよ。

魔術大会で私に負けたときは素直に負けを認めていたのに、ジークのことになるとここまで躍起やっきになるのはなぜなのだろうか。

「あれ……?あ、王子様久しぶり!入試と部活見学のとき以来かな?」

ジークがラクアに気づき声をかける。いやこのタイミングはちょっと…

「なっ……ジーク・ロバン……!……ふっ、どうだこの結果は!?俺はお前に勝ったぞ!」

「うんすごいね、僕負けちゃった!」

「ぐ……」

ジークがにこにこ顔であまりに素直に認めたので、ラクアが言い返せずにいる。

「……お前は、入試のときもそうだったな!俺のことをやたらと褒めてくる癖にそれ以上のことを簡単にやってのける!それに今の反応もなんだ、お前にプライドは無いのか!」

「うーんだって、凄いものは凄いし、威張ってもいいことがある訳じゃ無いでしょ?」

「……」

もうやめてジーク、とっくにラクアのライフはゼロよ。

しかし、これでラクアがやたらとジークにだけ噛み付く理由が分かった気がする。

ラクアは一見なんでもできる天才のように見えるが、恐らく実際は裏で血の滲むような努力をしている。一方のジークは、もちろん真面目だし人並み以上に努力もちゃんとしているのだが、割と才能に恵まれている側面も多い。しかもこの感じなので、全然努力しているように見えない。

自分が死にものぐるいでできるようになったことを、ジークがサラッと余裕そうなにこにこ顔でやってのけるのが受け入れ難いのだろう。

しかもラクアは第2王子という立場上、たとえ自分がその気でなくとも誇り高き王族を演じなければいけない場面も多い。それに対し、演技などなく自由に生きるジークが羨ましいのだ。

あとは、普通王子からガミガミ言われたら皆縮こまってしまうが、ジークは特に気にしている様子も無いので、それに甘えて普段の鬱憤をぶつけている節もあるだろう。

まあ、要するにラクアも色々大変なのだ。私はそういう経験があまり無いので、気持ちを汲み取るのは難しいが。

「あ、そういえばランドルト、1位おめでとう。」

私は、一緒にラクアとジークの様子を見ていたランドルトに話しかける。

「ありがとうございます。ベルナール様も2位となられたようで、おめでとうございます。」

「ありがとう。ところで、そんなに高得点取れるのってなにかコツとかあるの?」

「コツ……ですか?はて、特に勉強らしい勉強はしていないのでなんとも……」

ランドルトが本当に不思議そうな顔で言う。

……ラクア、やっぱり君の気持ちが少し分かった気がするよ。

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