乙女ゲームのヒロインに転生、科学を駆使して剣と魔法の世界を生きる

アミ100

文字の大きさ
上 下
51 / 115
いつもの学院生活…?

第51話 期末テスト②

しおりを挟む
「……なあカナさん、その積み上がってる10冊のノートはなんだ…?」
「ああこれ?勉強用のノートと授業用のノートだよ。授業ノートは科目ごとに分けて使ってるだけで全然埋まってないから、全部埋めてあるのは5冊だけだけど。」
「え、けど期末テストあるの忘れてたって……!!」
「うんそうなんだけど、入学前から暇なときに勉強してたらいつの間にこんなになってた。」

私はこの世界に来てからもいうもの、時間が空いたときは馬鹿みたいに勉強していた。というのも、この世界はできそうな娯楽がほぼ無いので、推薦で早々に合格した私はやることがなかったのである。この世界こっちで娯楽と言うと、レスリングにアーチェリー、狩り、トランプ、チェス、バックギャモンなどで、私が前世でよくやっていたテレビゲームと比べると1人で"よしやろう"と思ってすぐできるものがない。

他にやることと言えば小説を読むくらいだが、転生してきてからこちらのことがいくらもわかっていない中フィクションの物語を読むと本当に混乱する。なのでもうそれだったら魔術書や歴史書を読んだり、学院の授業の予習をやったりした方が何もしないより今後のためになるしちょうど良いと思ったのだ。

その結果魔術大会とその前後を除けば1日あたり平日は2時間、休日は6,7時間は勉強していた。それと別個に魔法の練習もしていたので、それも勉強の1種として扱ったら大学受験のとき並に勉強していたことになる。頑張った、私。

「まじかよ…」
「とは言っても今回の試験範囲と直接関係ないのも割と混ざってるから、試験勉強頑張らなきゃいけないことに変わりはないけどね」
「いやもうなんて言うか……頑張るよ、俺」
「うん、その意気だね!」
「いやでも、頑張りはするけどよ、もしかして赤点とったら留年か……?」
「1年間で3回あるテストの平均でだけどそうなるね」
「う……」
「でも、確か魔術大会の代表者は多少大目に見てくれるらしいよ!魔術大会って、代表かそうじゃないかで時間の取られ方が全然違うから……」
「お、ほんとかそれ?ならすげー助かるんだが」
「あ、そういえばそんなこと言ってたわね!なんでも、すごく強いのに勉強が苦手な生徒が、魔術大会の準備に追われたせいで勉強できずに酷い点数を取って、それが原因で留年したのがきっかけだとか…」
「他人事とは思えねえな」
「なるほど、そういうことならちょっと安心だね」
「だな」
「じゃあ、そろそろ勉強始めようか」

――――――――――――

そこから私たちは結構ガッツリ勉強した。今日は初日ということもあり、全ての科目を満遍なくやった。

今回の期末テストの科目は5つ、数学・魔法工業理論・王国史・国語・帝国語の5つだ。前世のテンションで言えば国数理社英みたいな感じである。

数学はそのまま数学だが、こちらの数学は前世に比べて正直だいぶレベルが低い。科学の代わりに魔法でなんでも解決しているので、ごく一部の人間(研究者・数学者)を除いてお金の勘定が出来れば生きていける。魔術学院は王国最高峰の学校なのでもう少し難しいこともやるが、それでもせいぜい中学~高校基礎レベルだ。

魔法理論は、魔法工業理論と魔法生活理論に分かれており、それぞれ工業と日常生活において使われる魔法の仕組みについて学ぶ。数学と比べるとかなり難しいのだが、私の場合前世の理科と被る部分が結構あるのと、そうでなくともテストは授業の内容の割には優しめらしい(サラ先輩談)のでまあ大丈夫だろう。

次は王国史。王国史は文字通り前世の日本史の王国バージョンだ。これがなかなかの鬼門きもんである。内容自体は特別難しいことは無いのだが、いかんせん私の場合こちらの世界に来てから日が浅い。一応入学前からこの世界を知るためにも意識して勉強はしていたが、まだ足りていない。それと前世から歴史は苦手だったのだ。

そして最後は国語と帝国語だ。これはちょっと色々な事情が絡んでくる。

そもそもこの世界の言語は前世とは全く違うものである。だが不思議なことに、リアムール王国の言葉は私の脳内では自動的に日本語に翻訳される。これが特に文字だと変な感覚なのだが、しばらくすると慣れてきた。聞き取る分には何故か知らないが口の動きまで日本語に準拠しているのでなんの問題もない。そういう訳でこの世界での"国語"は私にとって前世の"国語"とほぼ同じものである。

それとこれがまた不思議なのだが、帝国語は何故か英語に翻訳される。よって私にとっては帝国語=英語なのだ。正直せっかく王国語が日本語になるなら帝国語も日本語にして欲しいところだが、英語でも翻訳されるだけうんとマシなのでこれで良しとしよう。というか、"日本語に翻訳して欲しいな" "そもそもこれ誰が翻訳してるんだろう?"とか考え始めたらキリがないし色々怖くなってきたのでやめた。

「カナは王国史だけ苦手みたいだけど、他はほぼ完璧だね、特に数学とか!」
「そういうジークは全科目満遍なくできてるね」
「私は全然だわ…」
「いや、マリーさんが駄目なんじゃなくて2人ができすぎなんだよ…」
「マリーは数学だけどうにかすればかなり取れると思うし、アランも最初よりはわかるようになってきたんじゃない?今から頑張れば何とかなるよ」
「うう…カナさんはそんなにできるからそういうことが言えるんだ!俺みたいな奴の気持ちなんて~!」

アランが机を叩きながら芝居がかった口調で言う。

「いや、私も成績悪かった…というか、数学で赤点取ったことあるし気持ちは分かるよ。」
「「「え…」」」

"カナが赤点を取る数学のテスト"を想像して背筋が凍る想いをしたアラン、マリー、ジークの3人であった。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

異世界転移したよ!

八田若忠
ファンタジー
日々鉄工所で働く中年男が地球の神様が企てた事故であっけなく死亡する。 主人公の死の真相は「軟弱者が嫌いだから」と神様が明かすが、地球の神様はパンチパーマで恐ろしい顔つきだったので、あっさりと了承する主人公。 「軟弱者」と罵られた原因である魔法を自由に行使する事が出来る世界にリストラされた主人公が、ここぞとばかりに魔法を使いまくるかと思えば、そこそこ平和でお人好しばかりが住むエンガルの町に流れ着いたばかりに、温泉を掘る程度でしか活躍出来ないばかりか、腕力に物を言わせる事に長けたドワーフの三姉妹が押しかけ女房になってしまったので、益々活躍の場が無くなりさあ大変。 基本三人の奥さんが荒事を片付けている間、後ろから主人公が応援する御近所大冒険物語。 この度アルファポリス様主催の第8回ファンタジー小説大賞にて特別賞を頂き、アルファポリス様から書籍化しました。

ギルドを追放された俺、傭兵ギルドのエリートに拾われる〜元ギルドは崩壊したらしい〜

ネリムZ
ファンタジー
 唐突にギルドマスターから宣言される言葉。 「今すぐにこのギルドから去れ。俺の前に二度と顔を出さないように国も出て行け」  理解出来ない言葉だったが有無を言わせぬマスターに従った。  様々な気力を失って森の中を彷徨うと、賞金首にカツアゲされてしまった。  そこに助けようとする傭兵ギルドのA級、自称エリートのフィリア。  モヤモヤとした気持ちに駆られ、賞金首を気絶させる。  行く場所が無い事を素直に伝えるとフィリアは自分のギルドに招待してくれた。  俺は仕事が必要だったのでありがたく、その提案を受けた。  そして後に知る、元所属ギルドが⋯⋯。  新たな目標、新たな仲間と環境。  信念を持って行動する、一人の男の物語。

僕と精霊 〜魔法と科学と宝石の輝き〜

一般人
ファンタジー
 人類が魔法と科学の力を発見して数万年。それぞれの力を持つ者同士の思想の衝突で起きた長き時に渡る戦争、『発展戦争』。そんな戦争の休戦から早100年。魔法軍の国に住む高校生ジャン・バーンは精霊カーバンクルのパンプと出会いと共に両国の歪みに巻き込まれていく。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記

ノン・タロー
ファンタジー
ごく普通の女子高生である「武久 佳奈」は、通学途中に突然異世界へと飛ばされてしまう。これは何の特殊な能力もチートなスキルも持たない、ただごく普通の女子高生が、自力で会得した魔法やスキルを駆使し、元の世界へと帰る方法を探すべく見ず知らずの異世界で様々な人々や、様々な仲間たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく記録である……。 設定 この世界は人間、エルフ、妖怪、獣人、ドワーフ、魔物等が共存する世界となっています。 その為か男性だけでなく、女性も性に対する抵抗がわりと低くなっております。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

処理中です...