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いつもの学院生活…?
第47話 波乱のお茶会②
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「本日はお集まりいただきありがとうございます。皆さんにお会いできたことを…」
どうやらお茶会の始めの挨拶らしい。お茶会に参加する機会など滅多にない、というか当然初めてなのでちょっと楽しみだ。
「それでは、ご挨拶はこの辺にして、ぜひ皆さんお茶会をお楽しみください」
長い挨拶が終わり、お茶会が始まった。皆続々とお菓子を取りつつ談笑を始めている。
改めてお茶会に参加している面々を見てみると、貴族っぽい人以外にも、白いローブをまとった老人やいかにも商人っぽい人など様々だ。お茶会とは言っていたが、どちらかと言うとサロンとかそっちに近いのかもしれない。
「ところで侯爵令嬢はまだなのか、エルマー。」
「女性は色々と準備があるのですから、多少の遅刻は仕方の無いことですよ、ラクア様。そうですよね、ベルナール様?」
「いやごめん、私基本5分前行動徹底してて、遅刻したことないからちょっとよくわからないや。」
「聞く相手を間違えましたね……」
なんて会話をしながらふと屋敷の扉の方を見やると、何やら豪勢なドレスを着た少女が凄い勢いで前も見ずに会場の方へ駆けてくる。
ドンッッ!!
「きゃっ!!」
「……」
そのままこちらへ走って来て、ラクアと正面から衝突した。とはいえ身長差・体格差があるため少女がラクアの胸に飛び込む形になり、ラクアはしっかり少女を受け止めたので怪我は無いようだ。
少女は一瞬頬を染めそのままの体制でいたが、次の瞬間にはササッと後ろに下がってラクアと距離を取った。その間ずっと下を向いている。
「も、申し訳ございません!お茶会に遅刻してしまったので急いでいたらぶつかってしまいました!!」
少女が深々とお辞儀をする。
「いえ、大丈夫ですよ。それよりお怪我はありませんか?」
ラクアが笑顔で返答する。侯爵と話しているときも思ったが、仕事モードのラクアはまるで王子様のようだ。
……いや実際王子か。
「は、はい!大丈夫です!」
「それは良かった。ところで、そろそろお顔をあげてくださいますか?」
ラクアに促され、今までずっと下げたままだった顔をあげ、しっかりと我々の顔を見る。
「ああ!!」
少女が驚いたように声をあげる。
「あ、あの!御二方はラクア様とカナ様でしょうか!!」
「ええ、そうですが……もしかしてシャーロット嬢でしょうか?」
ずっと黙って状況を見ていたが、今になって私が口を開き聞き返す。
「はい!えっと、本日はお越し頂きありがとうございます!」
シャーロット・ソルード嬢は長いオレンジ髪にオレンジの目をしており、身長は160cm前後の少女だ。しかし令嬢と言うから勝手に大人を想像していたが、まだ幼さが残っており、おそらく13,4歳だろう。
やや落ち着きが無いがいい子そうである。にしてもシャーロットもどこかで見聞きしたような気がするのだが……
「それでその、良ければ魔法について色々お伺いしてもよろしいでしょうか?」
「はい、もちろんですよ。そのために今日は来たのですから。殿下も構いませんよね?」
「ええ、もちろんですよ。」
自分から敬語で振っておいてなんだが、ラクアのこの喋り方、どうにも慣れない。まあ普段の喋り方もどうかと思うが。
「そのために……?……ありがとうございます!それじゃあさっそく……あっ!お茶会なのにお菓子やお紅茶がまだでしたね、取りに行きましょう!」
――――――――
そこからはお菓子と紅茶を貰いつつ、シャーロットによる私たちへの質問攻めだった。剣や魔法の扱い方、水属性の魔法の特徴、魔術大会でのことなどについて詳しく聞かれた。
「カナ様とラクア様なら、カナ様がお強いのですよね?魔術大会でも勝たれていましたし!」
「いや、そういう訳でも無いですよ。あのときは色々と策を練ったり、ギリギリまで手の内を隠したりしていたので何とかなりましたが、今度戦ったらどうなるか分かりません。」
元の戦闘におけるポテンシャルは圧倒的にラクアの方が上なのだ。前回はたまたま小細工ざんまいでどうにかなったが、次勝てる保証は一切ない。大会のだって、何となくだが試合に勝って勝負に負けた感がある。
「そうなんですね、それにしても水魔法というのは素晴らしいです!」
「水魔法がお好きなんですか?」
「はい!だって見た目からしてとっても綺麗なんですもの!でも……水属性の方って1番少ないのでしょう?私今14歳で、来年神の啓示があるのですが、水属性以外になったらちょっと悲しいです……」
「そう……かもしれませんね。ここにいる3人はたまたま全員水属性ですが。」
いつぞやにも書いたが、4つの属性は多い順に土、火、風、水の順となっている。1番少ない水属性は体感だが、全体の5~10%程度しかいない。しかも属性は人ごとに完全にランダムなので、正しく運頼みである。
「そうなんですよね……そういえば、そもそもなんで属性が4つに分かれているんでしたっけ?」
……そう言えばなんでだったか。
「……『"神"は、この世界を"火"、"水"、"土"、"風"の4つの元素を用いて作った。そして人々に魔法の力を与えた。その際、"神"は4つの力の均衡を保つため、1人につき1つの属性の魔法のみ与えた。』………これがこの国に伝わる四大元素と四属性の魔法への解釈の概略です。」
そう解説してくれたのはランドルトだ。世界が四つの元素で構成されているとかいう話を授業でしていたのを思い出した。前世の"元素"と言うと元素周期表に載っているようなものを指すので、随分と考え方が違う。しかし、現に魔法が4つの属性に分かれている以上、この世界では四大元素の解釈の方が正しいのだろうか。
……それとも、前世の考え方の方がより現実的で、4種類の魔法の相違点は元素とは別のなにかなのか。
「なるほどそうなんですね!あーあ、皆が全部の属性使えるようになればいいのに!」
全部の属性の魔法が使えるように……か。
「……案外できるかもしれませんね」ボソッ
「え?カナ様なにかおっしゃいましたか?」
「ああいえ、なんでもございません。」
「?そうですか?……それじゃあそろそろ……」
「うわああああ!!」
「キャーーー!!!」
どうやらお茶会の始めの挨拶らしい。お茶会に参加する機会など滅多にない、というか当然初めてなのでちょっと楽しみだ。
「それでは、ご挨拶はこの辺にして、ぜひ皆さんお茶会をお楽しみください」
長い挨拶が終わり、お茶会が始まった。皆続々とお菓子を取りつつ談笑を始めている。
改めてお茶会に参加している面々を見てみると、貴族っぽい人以外にも、白いローブをまとった老人やいかにも商人っぽい人など様々だ。お茶会とは言っていたが、どちらかと言うとサロンとかそっちに近いのかもしれない。
「ところで侯爵令嬢はまだなのか、エルマー。」
「女性は色々と準備があるのですから、多少の遅刻は仕方の無いことですよ、ラクア様。そうですよね、ベルナール様?」
「いやごめん、私基本5分前行動徹底してて、遅刻したことないからちょっとよくわからないや。」
「聞く相手を間違えましたね……」
なんて会話をしながらふと屋敷の扉の方を見やると、何やら豪勢なドレスを着た少女が凄い勢いで前も見ずに会場の方へ駆けてくる。
ドンッッ!!
「きゃっ!!」
「……」
そのままこちらへ走って来て、ラクアと正面から衝突した。とはいえ身長差・体格差があるため少女がラクアの胸に飛び込む形になり、ラクアはしっかり少女を受け止めたので怪我は無いようだ。
少女は一瞬頬を染めそのままの体制でいたが、次の瞬間にはササッと後ろに下がってラクアと距離を取った。その間ずっと下を向いている。
「も、申し訳ございません!お茶会に遅刻してしまったので急いでいたらぶつかってしまいました!!」
少女が深々とお辞儀をする。
「いえ、大丈夫ですよ。それよりお怪我はありませんか?」
ラクアが笑顔で返答する。侯爵と話しているときも思ったが、仕事モードのラクアはまるで王子様のようだ。
……いや実際王子か。
「は、はい!大丈夫です!」
「それは良かった。ところで、そろそろお顔をあげてくださいますか?」
ラクアに促され、今までずっと下げたままだった顔をあげ、しっかりと我々の顔を見る。
「ああ!!」
少女が驚いたように声をあげる。
「あ、あの!御二方はラクア様とカナ様でしょうか!!」
「ええ、そうですが……もしかしてシャーロット嬢でしょうか?」
ずっと黙って状況を見ていたが、今になって私が口を開き聞き返す。
「はい!えっと、本日はお越し頂きありがとうございます!」
シャーロット・ソルード嬢は長いオレンジ髪にオレンジの目をしており、身長は160cm前後の少女だ。しかし令嬢と言うから勝手に大人を想像していたが、まだ幼さが残っており、おそらく13,4歳だろう。
やや落ち着きが無いがいい子そうである。にしてもシャーロットもどこかで見聞きしたような気がするのだが……
「それでその、良ければ魔法について色々お伺いしてもよろしいでしょうか?」
「はい、もちろんですよ。そのために今日は来たのですから。殿下も構いませんよね?」
「ええ、もちろんですよ。」
自分から敬語で振っておいてなんだが、ラクアのこの喋り方、どうにも慣れない。まあ普段の喋り方もどうかと思うが。
「そのために……?……ありがとうございます!それじゃあさっそく……あっ!お茶会なのにお菓子やお紅茶がまだでしたね、取りに行きましょう!」
――――――――
そこからはお菓子と紅茶を貰いつつ、シャーロットによる私たちへの質問攻めだった。剣や魔法の扱い方、水属性の魔法の特徴、魔術大会でのことなどについて詳しく聞かれた。
「カナ様とラクア様なら、カナ様がお強いのですよね?魔術大会でも勝たれていましたし!」
「いや、そういう訳でも無いですよ。あのときは色々と策を練ったり、ギリギリまで手の内を隠したりしていたので何とかなりましたが、今度戦ったらどうなるか分かりません。」
元の戦闘におけるポテンシャルは圧倒的にラクアの方が上なのだ。前回はたまたま小細工ざんまいでどうにかなったが、次勝てる保証は一切ない。大会のだって、何となくだが試合に勝って勝負に負けた感がある。
「そうなんですね、それにしても水魔法というのは素晴らしいです!」
「水魔法がお好きなんですか?」
「はい!だって見た目からしてとっても綺麗なんですもの!でも……水属性の方って1番少ないのでしょう?私今14歳で、来年神の啓示があるのですが、水属性以外になったらちょっと悲しいです……」
「そう……かもしれませんね。ここにいる3人はたまたま全員水属性ですが。」
いつぞやにも書いたが、4つの属性は多い順に土、火、風、水の順となっている。1番少ない水属性は体感だが、全体の5~10%程度しかいない。しかも属性は人ごとに完全にランダムなので、正しく運頼みである。
「そうなんですよね……そういえば、そもそもなんで属性が4つに分かれているんでしたっけ?」
……そう言えばなんでだったか。
「……『"神"は、この世界を"火"、"水"、"土"、"風"の4つの元素を用いて作った。そして人々に魔法の力を与えた。その際、"神"は4つの力の均衡を保つため、1人につき1つの属性の魔法のみ与えた。』………これがこの国に伝わる四大元素と四属性の魔法への解釈の概略です。」
そう解説してくれたのはランドルトだ。世界が四つの元素で構成されているとかいう話を授業でしていたのを思い出した。前世の"元素"と言うと元素周期表に載っているようなものを指すので、随分と考え方が違う。しかし、現に魔法が4つの属性に分かれている以上、この世界では四大元素の解釈の方が正しいのだろうか。
……それとも、前世の考え方の方がより現実的で、4種類の魔法の相違点は元素とは別のなにかなのか。
「なるほどそうなんですね!あーあ、皆が全部の属性使えるようになればいいのに!」
全部の属性の魔法が使えるように……か。
「……案外できるかもしれませんね」ボソッ
「え?カナ様なにかおっしゃいましたか?」
「ああいえ、なんでもございません。」
「?そうですか?……それじゃあそろそろ……」
「うわああああ!!」
「キャーーー!!!」
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