47 / 118
いつもの学院生活…?
第47話 波乱のお茶会②
しおりを挟む
「本日はお集まりいただきありがとうございます。皆さんにお会いできたことを…」
どうやらお茶会の始めの挨拶らしい。お茶会に参加する機会など滅多にない、というか当然初めてなのでちょっと楽しみだ。
「それでは、ご挨拶はこの辺にして、ぜひ皆さんお茶会をお楽しみください」
長い挨拶が終わり、お茶会が始まった。皆続々とお菓子を取りつつ談笑を始めている。
改めてお茶会に参加している面々を見てみると、貴族っぽい人以外にも、白いローブをまとった老人やいかにも商人っぽい人など様々だ。お茶会とは言っていたが、どちらかと言うとサロンとかそっちに近いのかもしれない。
「ところで侯爵令嬢はまだなのか、エルマー。」
「女性は色々と準備があるのですから、多少の遅刻は仕方の無いことですよ、ラクア様。そうですよね、ベルナール様?」
「いやごめん、私基本5分前行動徹底してて、遅刻したことないからちょっとよくわからないや。」
「聞く相手を間違えましたね……」
なんて会話をしながらふと屋敷の扉の方を見やると、何やら豪勢なドレスを着た少女が凄い勢いで前も見ずに会場の方へ駆けてくる。
ドンッッ!!
「きゃっ!!」
「……」
そのままこちらへ走って来て、ラクアと正面から衝突した。とはいえ身長差・体格差があるため少女がラクアの胸に飛び込む形になり、ラクアはしっかり少女を受け止めたので怪我は無いようだ。
少女は一瞬頬を染めそのままの体制でいたが、次の瞬間にはササッと後ろに下がってラクアと距離を取った。その間ずっと下を向いている。
「も、申し訳ございません!お茶会に遅刻してしまったので急いでいたらぶつかってしまいました!!」
少女が深々とお辞儀をする。
「いえ、大丈夫ですよ。それよりお怪我はありませんか?」
ラクアが笑顔で返答する。侯爵と話しているときも思ったが、仕事モードのラクアはまるで王子様のようだ。
……いや実際王子か。
「は、はい!大丈夫です!」
「それは良かった。ところで、そろそろお顔をあげてくださいますか?」
ラクアに促され、今までずっと下げたままだった顔をあげ、しっかりと我々の顔を見る。
「ああ!!」
少女が驚いたように声をあげる。
「あ、あの!御二方はラクア様とカナ様でしょうか!!」
「ええ、そうですが……もしかしてシャーロット嬢でしょうか?」
ずっと黙って状況を見ていたが、今になって私が口を開き聞き返す。
「はい!えっと、本日はお越し頂きありがとうございます!」
シャーロット・ソルード嬢は長いオレンジ髪にオレンジの目をしており、身長は160cm前後の少女だ。しかし令嬢と言うから勝手に大人を想像していたが、まだ幼さが残っており、おそらく13,4歳だろう。
やや落ち着きが無いがいい子そうである。にしてもシャーロットもどこかで見聞きしたような気がするのだが……
「それでその、良ければ魔法について色々お伺いしてもよろしいでしょうか?」
「はい、もちろんですよ。そのために今日は来たのですから。殿下も構いませんよね?」
「ええ、もちろんですよ。」
自分から敬語で振っておいてなんだが、ラクアのこの喋り方、どうにも慣れない。まあ普段の喋り方もどうかと思うが。
「そのために……?……ありがとうございます!それじゃあさっそく……あっ!お茶会なのにお菓子やお紅茶がまだでしたね、取りに行きましょう!」
――――――――
そこからはお菓子と紅茶を貰いつつ、シャーロットによる私たちへの質問攻めだった。剣や魔法の扱い方、水属性の魔法の特徴、魔術大会でのことなどについて詳しく聞かれた。
「カナ様とラクア様なら、カナ様がお強いのですよね?魔術大会でも勝たれていましたし!」
「いや、そういう訳でも無いですよ。あのときは色々と策を練ったり、ギリギリまで手の内を隠したりしていたので何とかなりましたが、今度戦ったらどうなるか分かりません。」
元の戦闘におけるポテンシャルは圧倒的にラクアの方が上なのだ。前回はたまたま小細工ざんまいでどうにかなったが、次勝てる保証は一切ない。大会のだって、何となくだが試合に勝って勝負に負けた感がある。
「そうなんですね、それにしても水魔法というのは素晴らしいです!」
「水魔法がお好きなんですか?」
「はい!だって見た目からしてとっても綺麗なんですもの!でも……水属性の方って1番少ないのでしょう?私今14歳で、来年神の啓示があるのですが、水属性以外になったらちょっと悲しいです……」
「そう……かもしれませんね。ここにいる3人はたまたま全員水属性ですが。」
いつぞやにも書いたが、4つの属性は多い順に土、火、風、水の順となっている。1番少ない水属性は体感だが、全体の5~10%程度しかいない。しかも属性は人ごとに完全にランダムなので、正しく運頼みである。
「そうなんですよね……そういえば、そもそもなんで属性が4つに分かれているんでしたっけ?」
……そう言えばなんでだったか。
「……『"神"は、この世界を"火"、"水"、"土"、"風"の4つの元素を用いて作った。そして人々に魔法の力を与えた。その際、"神"は4つの力の均衡を保つため、1人につき1つの属性の魔法のみ与えた。』………これがこの国に伝わる四大元素と四属性の魔法への解釈の概略です。」
そう解説してくれたのはランドルトだ。世界が四つの元素で構成されているとかいう話を授業でしていたのを思い出した。前世の"元素"と言うと元素周期表に載っているようなものを指すので、随分と考え方が違う。しかし、現に魔法が4つの属性に分かれている以上、この世界では四大元素の解釈の方が正しいのだろうか。
……それとも、前世の考え方の方がより現実的で、4種類の魔法の相違点は元素とは別のなにかなのか。
「なるほどそうなんですね!あーあ、皆が全部の属性使えるようになればいいのに!」
全部の属性の魔法が使えるように……か。
「……案外できるかもしれませんね」ボソッ
「え?カナ様なにかおっしゃいましたか?」
「ああいえ、なんでもございません。」
「?そうですか?……それじゃあそろそろ……」
「うわああああ!!」
「キャーーー!!!」
どうやらお茶会の始めの挨拶らしい。お茶会に参加する機会など滅多にない、というか当然初めてなのでちょっと楽しみだ。
「それでは、ご挨拶はこの辺にして、ぜひ皆さんお茶会をお楽しみください」
長い挨拶が終わり、お茶会が始まった。皆続々とお菓子を取りつつ談笑を始めている。
改めてお茶会に参加している面々を見てみると、貴族っぽい人以外にも、白いローブをまとった老人やいかにも商人っぽい人など様々だ。お茶会とは言っていたが、どちらかと言うとサロンとかそっちに近いのかもしれない。
「ところで侯爵令嬢はまだなのか、エルマー。」
「女性は色々と準備があるのですから、多少の遅刻は仕方の無いことですよ、ラクア様。そうですよね、ベルナール様?」
「いやごめん、私基本5分前行動徹底してて、遅刻したことないからちょっとよくわからないや。」
「聞く相手を間違えましたね……」
なんて会話をしながらふと屋敷の扉の方を見やると、何やら豪勢なドレスを着た少女が凄い勢いで前も見ずに会場の方へ駆けてくる。
ドンッッ!!
「きゃっ!!」
「……」
そのままこちらへ走って来て、ラクアと正面から衝突した。とはいえ身長差・体格差があるため少女がラクアの胸に飛び込む形になり、ラクアはしっかり少女を受け止めたので怪我は無いようだ。
少女は一瞬頬を染めそのままの体制でいたが、次の瞬間にはササッと後ろに下がってラクアと距離を取った。その間ずっと下を向いている。
「も、申し訳ございません!お茶会に遅刻してしまったので急いでいたらぶつかってしまいました!!」
少女が深々とお辞儀をする。
「いえ、大丈夫ですよ。それよりお怪我はありませんか?」
ラクアが笑顔で返答する。侯爵と話しているときも思ったが、仕事モードのラクアはまるで王子様のようだ。
……いや実際王子か。
「は、はい!大丈夫です!」
「それは良かった。ところで、そろそろお顔をあげてくださいますか?」
ラクアに促され、今までずっと下げたままだった顔をあげ、しっかりと我々の顔を見る。
「ああ!!」
少女が驚いたように声をあげる。
「あ、あの!御二方はラクア様とカナ様でしょうか!!」
「ええ、そうですが……もしかしてシャーロット嬢でしょうか?」
ずっと黙って状況を見ていたが、今になって私が口を開き聞き返す。
「はい!えっと、本日はお越し頂きありがとうございます!」
シャーロット・ソルード嬢は長いオレンジ髪にオレンジの目をしており、身長は160cm前後の少女だ。しかし令嬢と言うから勝手に大人を想像していたが、まだ幼さが残っており、おそらく13,4歳だろう。
やや落ち着きが無いがいい子そうである。にしてもシャーロットもどこかで見聞きしたような気がするのだが……
「それでその、良ければ魔法について色々お伺いしてもよろしいでしょうか?」
「はい、もちろんですよ。そのために今日は来たのですから。殿下も構いませんよね?」
「ええ、もちろんですよ。」
自分から敬語で振っておいてなんだが、ラクアのこの喋り方、どうにも慣れない。まあ普段の喋り方もどうかと思うが。
「そのために……?……ありがとうございます!それじゃあさっそく……あっ!お茶会なのにお菓子やお紅茶がまだでしたね、取りに行きましょう!」
――――――――
そこからはお菓子と紅茶を貰いつつ、シャーロットによる私たちへの質問攻めだった。剣や魔法の扱い方、水属性の魔法の特徴、魔術大会でのことなどについて詳しく聞かれた。
「カナ様とラクア様なら、カナ様がお強いのですよね?魔術大会でも勝たれていましたし!」
「いや、そういう訳でも無いですよ。あのときは色々と策を練ったり、ギリギリまで手の内を隠したりしていたので何とかなりましたが、今度戦ったらどうなるか分かりません。」
元の戦闘におけるポテンシャルは圧倒的にラクアの方が上なのだ。前回はたまたま小細工ざんまいでどうにかなったが、次勝てる保証は一切ない。大会のだって、何となくだが試合に勝って勝負に負けた感がある。
「そうなんですね、それにしても水魔法というのは素晴らしいです!」
「水魔法がお好きなんですか?」
「はい!だって見た目からしてとっても綺麗なんですもの!でも……水属性の方って1番少ないのでしょう?私今14歳で、来年神の啓示があるのですが、水属性以外になったらちょっと悲しいです……」
「そう……かもしれませんね。ここにいる3人はたまたま全員水属性ですが。」
いつぞやにも書いたが、4つの属性は多い順に土、火、風、水の順となっている。1番少ない水属性は体感だが、全体の5~10%程度しかいない。しかも属性は人ごとに完全にランダムなので、正しく運頼みである。
「そうなんですよね……そういえば、そもそもなんで属性が4つに分かれているんでしたっけ?」
……そう言えばなんでだったか。
「……『"神"は、この世界を"火"、"水"、"土"、"風"の4つの元素を用いて作った。そして人々に魔法の力を与えた。その際、"神"は4つの力の均衡を保つため、1人につき1つの属性の魔法のみ与えた。』………これがこの国に伝わる四大元素と四属性の魔法への解釈の概略です。」
そう解説してくれたのはランドルトだ。世界が四つの元素で構成されているとかいう話を授業でしていたのを思い出した。前世の"元素"と言うと元素周期表に載っているようなものを指すので、随分と考え方が違う。しかし、現に魔法が4つの属性に分かれている以上、この世界では四大元素の解釈の方が正しいのだろうか。
……それとも、前世の考え方の方がより現実的で、4種類の魔法の相違点は元素とは別のなにかなのか。
「なるほどそうなんですね!あーあ、皆が全部の属性使えるようになればいいのに!」
全部の属性の魔法が使えるように……か。
「……案外できるかもしれませんね」ボソッ
「え?カナ様なにかおっしゃいましたか?」
「ああいえ、なんでもございません。」
「?そうですか?……それじゃあそろそろ……」
「うわああああ!!」
「キャーーー!!!」
115
お気に入りに追加
692
あなたにおすすめの小説

異世界に転生したら?(改)
まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。
そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。
物語はまさに、その時に起きる!
横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。
そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。
◇
5年前の作品の改稿板になります。
少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。
生暖かい目で見て下されば幸いです。

ギルドを追放された俺、傭兵ギルドのエリートに拾われる〜元ギルドは崩壊したらしい〜
ネリムZ
ファンタジー
唐突にギルドマスターから宣言される言葉。
「今すぐにこのギルドから去れ。俺の前に二度と顔を出さないように国も出て行け」
理解出来ない言葉だったが有無を言わせぬマスターに従った。
様々な気力を失って森の中を彷徨うと、賞金首にカツアゲされてしまった。
そこに助けようとする傭兵ギルドのA級、自称エリートのフィリア。
モヤモヤとした気持ちに駆られ、賞金首を気絶させる。
行く場所が無い事を素直に伝えるとフィリアは自分のギルドに招待してくれた。
俺は仕事が必要だったのでありがたく、その提案を受けた。
そして後に知る、元所属ギルドが⋯⋯。
新たな目標、新たな仲間と環境。
信念を持って行動する、一人の男の物語。

[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します
mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。
中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。
私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。
そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。
自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。
目の前に女神が現れて言う。
「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」
そう言われて私は首を傾げる。
「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」
そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。
神は書類を提示させてきて言う。
「これに書いてくれ」と言われて私は書く。
「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。
「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」
私は頷くと神は笑顔で言う。
「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。
ーーーーーーーーー
毎話1500文字程度目安に書きます。
たまに2000文字が出るかもです。


私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~
Ss侍
ファンタジー
"私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。
動けない、何もできない、そもそも身体がない。
自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。
ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。
それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!
少年神官系勇者―異世界から帰還する―
mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる?
別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨
この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行)
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。
この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。
この作品は「pixiv」にも掲載しています。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜
青空ばらみ
ファンタジー
一歳で両親を亡くし母方の伯父マークがいる辺境伯領に連れて来られたパール。 伯父と一緒に暮らすお許しを辺境伯様に乞うため訪れていた辺境伯邸で、たまたま出くわした侯爵令嬢の無知な善意により 六歳で見習い冒険者になることが決定してしまった! 運良く? 『前世の記憶』を思い出し『スマッホ』のチェリーちゃんにも協力してもらいながら 立派な冒険者になるために 前世使えなかった魔法も喜んで覚え、なんだか百年に一人現れるかどうかの伝説の国に迷いこんだ『迷い人』にもなってしまって、その恩恵を受けようとする『当たり人』と呼ばれる人たちに貢がれたり…… ぜんぜん理想の田舎でまったりスローライフは送れないけど、しょうがないから伝説の国の魔道具を駆使して 気ままに快適冒険者を目指しながら 周りのみんなを無自覚でハッピーライフに巻き込んで? 楽しく生きていこうかな! ゆる〜いスローペースのご都合ファンタジーです。
小説家になろう様でも投稿をしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる