47 / 115
いつもの学院生活…?
第47話 波乱のお茶会②
しおりを挟む
「本日はお集まりいただきありがとうございます。皆さんにお会いできたことを…」
どうやらお茶会の始めの挨拶らしい。お茶会に参加する機会など滅多にない、というか当然初めてなのでちょっと楽しみだ。
「それでは、ご挨拶はこの辺にして、ぜひ皆さんお茶会をお楽しみください」
長い挨拶が終わり、お茶会が始まった。皆続々とお菓子を取りつつ談笑を始めている。
改めてお茶会に参加している面々を見てみると、貴族っぽい人以外にも、白いローブをまとった老人やいかにも商人っぽい人など様々だ。お茶会とは言っていたが、どちらかと言うとサロンとかそっちに近いのかもしれない。
「ところで侯爵令嬢はまだなのか、エルマー。」
「女性は色々と準備があるのですから、多少の遅刻は仕方の無いことですよ、ラクア様。そうですよね、ベルナール様?」
「いやごめん、私基本5分前行動徹底してて、遅刻したことないからちょっとよくわからないや。」
「聞く相手を間違えましたね……」
なんて会話をしながらふと屋敷の扉の方を見やると、何やら豪勢なドレスを着た少女が凄い勢いで前も見ずに会場の方へ駆けてくる。
ドンッッ!!
「きゃっ!!」
「……」
そのままこちらへ走って来て、ラクアと正面から衝突した。とはいえ身長差・体格差があるため少女がラクアの胸に飛び込む形になり、ラクアはしっかり少女を受け止めたので怪我は無いようだ。
少女は一瞬頬を染めそのままの体制でいたが、次の瞬間にはササッと後ろに下がってラクアと距離を取った。その間ずっと下を向いている。
「も、申し訳ございません!お茶会に遅刻してしまったので急いでいたらぶつかってしまいました!!」
少女が深々とお辞儀をする。
「いえ、大丈夫ですよ。それよりお怪我はありませんか?」
ラクアが笑顔で返答する。侯爵と話しているときも思ったが、仕事モードのラクアはまるで王子様のようだ。
……いや実際王子か。
「は、はい!大丈夫です!」
「それは良かった。ところで、そろそろお顔をあげてくださいますか?」
ラクアに促され、今までずっと下げたままだった顔をあげ、しっかりと我々の顔を見る。
「ああ!!」
少女が驚いたように声をあげる。
「あ、あの!御二方はラクア様とカナ様でしょうか!!」
「ええ、そうですが……もしかしてシャーロット嬢でしょうか?」
ずっと黙って状況を見ていたが、今になって私が口を開き聞き返す。
「はい!えっと、本日はお越し頂きありがとうございます!」
シャーロット・ソルード嬢は長いオレンジ髪にオレンジの目をしており、身長は160cm前後の少女だ。しかし令嬢と言うから勝手に大人を想像していたが、まだ幼さが残っており、おそらく13,4歳だろう。
やや落ち着きが無いがいい子そうである。にしてもシャーロットもどこかで見聞きしたような気がするのだが……
「それでその、良ければ魔法について色々お伺いしてもよろしいでしょうか?」
「はい、もちろんですよ。そのために今日は来たのですから。殿下も構いませんよね?」
「ええ、もちろんですよ。」
自分から敬語で振っておいてなんだが、ラクアのこの喋り方、どうにも慣れない。まあ普段の喋り方もどうかと思うが。
「そのために……?……ありがとうございます!それじゃあさっそく……あっ!お茶会なのにお菓子やお紅茶がまだでしたね、取りに行きましょう!」
――――――――
そこからはお菓子と紅茶を貰いつつ、シャーロットによる私たちへの質問攻めだった。剣や魔法の扱い方、水属性の魔法の特徴、魔術大会でのことなどについて詳しく聞かれた。
「カナ様とラクア様なら、カナ様がお強いのですよね?魔術大会でも勝たれていましたし!」
「いや、そういう訳でも無いですよ。あのときは色々と策を練ったり、ギリギリまで手の内を隠したりしていたので何とかなりましたが、今度戦ったらどうなるか分かりません。」
元の戦闘におけるポテンシャルは圧倒的にラクアの方が上なのだ。前回はたまたま小細工ざんまいでどうにかなったが、次勝てる保証は一切ない。大会のだって、何となくだが試合に勝って勝負に負けた感がある。
「そうなんですね、それにしても水魔法というのは素晴らしいです!」
「水魔法がお好きなんですか?」
「はい!だって見た目からしてとっても綺麗なんですもの!でも……水属性の方って1番少ないのでしょう?私今14歳で、来年神の啓示があるのですが、水属性以外になったらちょっと悲しいです……」
「そう……かもしれませんね。ここにいる3人はたまたま全員水属性ですが。」
いつぞやにも書いたが、4つの属性は多い順に土、火、風、水の順となっている。1番少ない水属性は体感だが、全体の5~10%程度しかいない。しかも属性は人ごとに完全にランダムなので、正しく運頼みである。
「そうなんですよね……そういえば、そもそもなんで属性が4つに分かれているんでしたっけ?」
……そう言えばなんでだったか。
「……『"神"は、この世界を"火"、"水"、"土"、"風"の4つの元素を用いて作った。そして人々に魔法の力を与えた。その際、"神"は4つの力の均衡を保つため、1人につき1つの属性の魔法のみ与えた。』………これがこの国に伝わる四大元素と四属性の魔法への解釈の概略です。」
そう解説してくれたのはランドルトだ。世界が四つの元素で構成されているとかいう話を授業でしていたのを思い出した。前世の"元素"と言うと元素周期表に載っているようなものを指すので、随分と考え方が違う。しかし、現に魔法が4つの属性に分かれている以上、この世界では四大元素の解釈の方が正しいのだろうか。
……それとも、前世の考え方の方がより現実的で、4種類の魔法の相違点は元素とは別のなにかなのか。
「なるほどそうなんですね!あーあ、皆が全部の属性使えるようになればいいのに!」
全部の属性の魔法が使えるように……か。
「……案外できるかもしれませんね」ボソッ
「え?カナ様なにかおっしゃいましたか?」
「ああいえ、なんでもございません。」
「?そうですか?……それじゃあそろそろ……」
「うわああああ!!」
「キャーーー!!!」
どうやらお茶会の始めの挨拶らしい。お茶会に参加する機会など滅多にない、というか当然初めてなのでちょっと楽しみだ。
「それでは、ご挨拶はこの辺にして、ぜひ皆さんお茶会をお楽しみください」
長い挨拶が終わり、お茶会が始まった。皆続々とお菓子を取りつつ談笑を始めている。
改めてお茶会に参加している面々を見てみると、貴族っぽい人以外にも、白いローブをまとった老人やいかにも商人っぽい人など様々だ。お茶会とは言っていたが、どちらかと言うとサロンとかそっちに近いのかもしれない。
「ところで侯爵令嬢はまだなのか、エルマー。」
「女性は色々と準備があるのですから、多少の遅刻は仕方の無いことですよ、ラクア様。そうですよね、ベルナール様?」
「いやごめん、私基本5分前行動徹底してて、遅刻したことないからちょっとよくわからないや。」
「聞く相手を間違えましたね……」
なんて会話をしながらふと屋敷の扉の方を見やると、何やら豪勢なドレスを着た少女が凄い勢いで前も見ずに会場の方へ駆けてくる。
ドンッッ!!
「きゃっ!!」
「……」
そのままこちらへ走って来て、ラクアと正面から衝突した。とはいえ身長差・体格差があるため少女がラクアの胸に飛び込む形になり、ラクアはしっかり少女を受け止めたので怪我は無いようだ。
少女は一瞬頬を染めそのままの体制でいたが、次の瞬間にはササッと後ろに下がってラクアと距離を取った。その間ずっと下を向いている。
「も、申し訳ございません!お茶会に遅刻してしまったので急いでいたらぶつかってしまいました!!」
少女が深々とお辞儀をする。
「いえ、大丈夫ですよ。それよりお怪我はありませんか?」
ラクアが笑顔で返答する。侯爵と話しているときも思ったが、仕事モードのラクアはまるで王子様のようだ。
……いや実際王子か。
「は、はい!大丈夫です!」
「それは良かった。ところで、そろそろお顔をあげてくださいますか?」
ラクアに促され、今までずっと下げたままだった顔をあげ、しっかりと我々の顔を見る。
「ああ!!」
少女が驚いたように声をあげる。
「あ、あの!御二方はラクア様とカナ様でしょうか!!」
「ええ、そうですが……もしかしてシャーロット嬢でしょうか?」
ずっと黙って状況を見ていたが、今になって私が口を開き聞き返す。
「はい!えっと、本日はお越し頂きありがとうございます!」
シャーロット・ソルード嬢は長いオレンジ髪にオレンジの目をしており、身長は160cm前後の少女だ。しかし令嬢と言うから勝手に大人を想像していたが、まだ幼さが残っており、おそらく13,4歳だろう。
やや落ち着きが無いがいい子そうである。にしてもシャーロットもどこかで見聞きしたような気がするのだが……
「それでその、良ければ魔法について色々お伺いしてもよろしいでしょうか?」
「はい、もちろんですよ。そのために今日は来たのですから。殿下も構いませんよね?」
「ええ、もちろんですよ。」
自分から敬語で振っておいてなんだが、ラクアのこの喋り方、どうにも慣れない。まあ普段の喋り方もどうかと思うが。
「そのために……?……ありがとうございます!それじゃあさっそく……あっ!お茶会なのにお菓子やお紅茶がまだでしたね、取りに行きましょう!」
――――――――
そこからはお菓子と紅茶を貰いつつ、シャーロットによる私たちへの質問攻めだった。剣や魔法の扱い方、水属性の魔法の特徴、魔術大会でのことなどについて詳しく聞かれた。
「カナ様とラクア様なら、カナ様がお強いのですよね?魔術大会でも勝たれていましたし!」
「いや、そういう訳でも無いですよ。あのときは色々と策を練ったり、ギリギリまで手の内を隠したりしていたので何とかなりましたが、今度戦ったらどうなるか分かりません。」
元の戦闘におけるポテンシャルは圧倒的にラクアの方が上なのだ。前回はたまたま小細工ざんまいでどうにかなったが、次勝てる保証は一切ない。大会のだって、何となくだが試合に勝って勝負に負けた感がある。
「そうなんですね、それにしても水魔法というのは素晴らしいです!」
「水魔法がお好きなんですか?」
「はい!だって見た目からしてとっても綺麗なんですもの!でも……水属性の方って1番少ないのでしょう?私今14歳で、来年神の啓示があるのですが、水属性以外になったらちょっと悲しいです……」
「そう……かもしれませんね。ここにいる3人はたまたま全員水属性ですが。」
いつぞやにも書いたが、4つの属性は多い順に土、火、風、水の順となっている。1番少ない水属性は体感だが、全体の5~10%程度しかいない。しかも属性は人ごとに完全にランダムなので、正しく運頼みである。
「そうなんですよね……そういえば、そもそもなんで属性が4つに分かれているんでしたっけ?」
……そう言えばなんでだったか。
「……『"神"は、この世界を"火"、"水"、"土"、"風"の4つの元素を用いて作った。そして人々に魔法の力を与えた。その際、"神"は4つの力の均衡を保つため、1人につき1つの属性の魔法のみ与えた。』………これがこの国に伝わる四大元素と四属性の魔法への解釈の概略です。」
そう解説してくれたのはランドルトだ。世界が四つの元素で構成されているとかいう話を授業でしていたのを思い出した。前世の"元素"と言うと元素周期表に載っているようなものを指すので、随分と考え方が違う。しかし、現に魔法が4つの属性に分かれている以上、この世界では四大元素の解釈の方が正しいのだろうか。
……それとも、前世の考え方の方がより現実的で、4種類の魔法の相違点は元素とは別のなにかなのか。
「なるほどそうなんですね!あーあ、皆が全部の属性使えるようになればいいのに!」
全部の属性の魔法が使えるように……か。
「……案外できるかもしれませんね」ボソッ
「え?カナ様なにかおっしゃいましたか?」
「ああいえ、なんでもございません。」
「?そうですか?……それじゃあそろそろ……」
「うわああああ!!」
「キャーーー!!!」
115
お気に入りに追加
692
あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

ギルドを追放された俺、傭兵ギルドのエリートに拾われる〜元ギルドは崩壊したらしい〜
ネリムZ
ファンタジー
唐突にギルドマスターから宣言される言葉。
「今すぐにこのギルドから去れ。俺の前に二度と顔を出さないように国も出て行け」
理解出来ない言葉だったが有無を言わせぬマスターに従った。
様々な気力を失って森の中を彷徨うと、賞金首にカツアゲされてしまった。
そこに助けようとする傭兵ギルドのA級、自称エリートのフィリア。
モヤモヤとした気持ちに駆られ、賞金首を気絶させる。
行く場所が無い事を素直に伝えるとフィリアは自分のギルドに招待してくれた。
俺は仕事が必要だったのでありがたく、その提案を受けた。
そして後に知る、元所属ギルドが⋯⋯。
新たな目標、新たな仲間と環境。
信念を持って行動する、一人の男の物語。

公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

僕と精霊 〜魔法と科学と宝石の輝き〜
一般人
ファンタジー
人類が魔法と科学の力を発見して数万年。それぞれの力を持つ者同士の思想の衝突で起きた長き時に渡る戦争、『発展戦争』。そんな戦争の休戦から早100年。魔法軍の国に住む高校生ジャン・バーンは精霊カーバンクルのパンプと出会いと共に両国の歪みに巻き込まれていく。

美少女に転生して料理して生きてくことになりました。
ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。
飲めないお酒を飲んでぶったおれた。
気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。
その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる