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いつもの学院生活…?
第46話 波乱のお茶会①
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王城から侯爵家の屋敷へとラクア達は馬、私は馬車で移動した。王子は馬に乗っているのに私だけ馬車なのはどうなのだろうと思ったが、さすがにドレスで馬に乗る訳にもいかないので素直に乗せてもらうことにした。
屋敷の前へ到着し、私達は馬や馬車を降りて門の前へ来た。門には2人の警備兵と、恰幅の良い見た目50歳くらいの男が立っている。すると、3人のうち恰幅の良い男がこちらに近寄ってきた。
「これはこれはラクア・リアムール殿下にカナ・ベルナール殿、本日は御足労頂き感謝致します。」
「いえ、こちらこそお呼び頂きありがとうございます、ソルード侯爵殿。」
侯爵ということは、彼がこの屋敷の主であり依頼人だろう。とりあえずラクア達に合わせてお辞儀をしておく。
にしてもソルードってどこかで聞いたことあるような…
「さあ、門の前で立ちっぱなしもなんですので、お茶会の会場へどうぞ。」
そのまま侯爵に着いていくと、やがて屋敷の庭に来た。そこには沢山のテーブルが並び、その上に大量のケーキやスコーン、チョコレートなどが並んでいた。
既にいくらか来賓客と思しき人達が会場で待機していた。
しかし見てみると椅子がなく、客は立ったままだ。どういう感じでやるんだろうか。
「今回のお茶会は立食パーティーですので、好きなお菓子を自分で取っていって、そのままお食べ下さい。」
「承知致しました」
なるほど、だから椅子がないのか。まだ開始まで少し時間があるのでとりあえず食べるのは待つとしよう。
――――――
「え、なんであんたらがここに!?」
声の方を向くと、見覚えのあるオレンジ髪の人物がこちらに近寄ってきた。ほんとにただ見覚えがある程度なのだが、どこで見たのだろうか。
「おや、ロン・ソルード様ですね。お邪魔しております。」
ランドルトが反応する。
ロン・ソルードって、確か魔術大会でE組の代表だった火属性の人か。通りで見覚えがあるわけだ。団体戦でも個人戦でも4位だったが、1度も直接戦わなかったので印象が薄くなかなか思い出せなかった。
それと確かさっきラクアが侯爵のことを"ソルード侯爵"と言っていたので、ロン・ソルードは彼の息子なのだろう。
「お邪魔ってことは、親父……侯爵に招待されたんですか?」
「ああ。」
「侯爵令嬢が私とラクア殿下に会いたいとの事でしたので、お茶会にお呼びして頂いたんです。」
「ああ、そういえばシャーロットが殿下と女の人がどうのこうのって言ってたな……まあなんにせよ、ゆっくりしてってくれよ。シャーロットもそろそろ来ると思うから」
「はい、ありがとうございます」
令嬢の名前はシャーロットと言うらしい。
「あ、それとB組のランドルトとA組のベルナールさん、だっけ?確かに身分的にはあれかもしれないけど、敬語使う必要ないからな、同じ学年なんだし。」
「……うん、じゃあそうさせてもらうよ。」
「私は敬語を使う方が慣れているので、今のままで。」
「そうか?あんまり堅苦しいの好きじゃないんだけどな……まあいっか。」
「お前も俺に敬語を使う必要は無い。自由にしろ。」
「お、まじ?じゃあそうさせてもらうよ、王子様!」
「……ふん。」
「お、そろそろ始まるな、じゃあ俺はちょっとやる事あるからこの辺で。楽しんでな!」
そういうとロンはどこかへ去っていった。高位貴族の息子ながら、気前のいい好青年だ。魔術大会の団体戦のときに当て馬扱いしてしまったのを少々申し訳無く感じた。そもそもあの化け物達がいる中で、団体でも個人でも4位を勝ち取っている時点で中々の実力者だし。
そうこうしているうちに、ソルード侯爵が全体に向け話し始めた。
「本日はお集まりいただきありがとうございます。皆さんにお会いできたことを……」
どうやらお茶会の始めの挨拶らしい。お茶会に参加する機会など滅多にない、というか当然初めてなのでちょっと楽しみだ。
屋敷の前へ到着し、私達は馬や馬車を降りて門の前へ来た。門には2人の警備兵と、恰幅の良い見た目50歳くらいの男が立っている。すると、3人のうち恰幅の良い男がこちらに近寄ってきた。
「これはこれはラクア・リアムール殿下にカナ・ベルナール殿、本日は御足労頂き感謝致します。」
「いえ、こちらこそお呼び頂きありがとうございます、ソルード侯爵殿。」
侯爵ということは、彼がこの屋敷の主であり依頼人だろう。とりあえずラクア達に合わせてお辞儀をしておく。
にしてもソルードってどこかで聞いたことあるような…
「さあ、門の前で立ちっぱなしもなんですので、お茶会の会場へどうぞ。」
そのまま侯爵に着いていくと、やがて屋敷の庭に来た。そこには沢山のテーブルが並び、その上に大量のケーキやスコーン、チョコレートなどが並んでいた。
既にいくらか来賓客と思しき人達が会場で待機していた。
しかし見てみると椅子がなく、客は立ったままだ。どういう感じでやるんだろうか。
「今回のお茶会は立食パーティーですので、好きなお菓子を自分で取っていって、そのままお食べ下さい。」
「承知致しました」
なるほど、だから椅子がないのか。まだ開始まで少し時間があるのでとりあえず食べるのは待つとしよう。
――――――
「え、なんであんたらがここに!?」
声の方を向くと、見覚えのあるオレンジ髪の人物がこちらに近寄ってきた。ほんとにただ見覚えがある程度なのだが、どこで見たのだろうか。
「おや、ロン・ソルード様ですね。お邪魔しております。」
ランドルトが反応する。
ロン・ソルードって、確か魔術大会でE組の代表だった火属性の人か。通りで見覚えがあるわけだ。団体戦でも個人戦でも4位だったが、1度も直接戦わなかったので印象が薄くなかなか思い出せなかった。
それと確かさっきラクアが侯爵のことを"ソルード侯爵"と言っていたので、ロン・ソルードは彼の息子なのだろう。
「お邪魔ってことは、親父……侯爵に招待されたんですか?」
「ああ。」
「侯爵令嬢が私とラクア殿下に会いたいとの事でしたので、お茶会にお呼びして頂いたんです。」
「ああ、そういえばシャーロットが殿下と女の人がどうのこうのって言ってたな……まあなんにせよ、ゆっくりしてってくれよ。シャーロットもそろそろ来ると思うから」
「はい、ありがとうございます」
令嬢の名前はシャーロットと言うらしい。
「あ、それとB組のランドルトとA組のベルナールさん、だっけ?確かに身分的にはあれかもしれないけど、敬語使う必要ないからな、同じ学年なんだし。」
「……うん、じゃあそうさせてもらうよ。」
「私は敬語を使う方が慣れているので、今のままで。」
「そうか?あんまり堅苦しいの好きじゃないんだけどな……まあいっか。」
「お前も俺に敬語を使う必要は無い。自由にしろ。」
「お、まじ?じゃあそうさせてもらうよ、王子様!」
「……ふん。」
「お、そろそろ始まるな、じゃあ俺はちょっとやる事あるからこの辺で。楽しんでな!」
そういうとロンはどこかへ去っていった。高位貴族の息子ながら、気前のいい好青年だ。魔術大会の団体戦のときに当て馬扱いしてしまったのを少々申し訳無く感じた。そもそもあの化け物達がいる中で、団体でも個人でも4位を勝ち取っている時点で中々の実力者だし。
そうこうしているうちに、ソルード侯爵が全体に向け話し始めた。
「本日はお集まりいただきありがとうございます。皆さんにお会いできたことを……」
どうやらお茶会の始めの挨拶らしい。お茶会に参加する機会など滅多にない、というか当然初めてなのでちょっと楽しみだ。
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