乙女ゲームのヒロインに転生、科学を駆使して剣と魔法の世界を生きる

アミ100

文字の大きさ
上 下
46 / 118
いつもの学院生活…?

第46話 波乱のお茶会①

しおりを挟む
王城から侯爵家の屋敷へとラクア達は馬、私は馬車で移動した。王子は馬に乗っているのに私だけ馬車なのはどうなのだろうと思ったが、さすがにドレスで馬に乗る訳にもいかないので素直に乗せてもらうことにした。

屋敷の前へ到着し、私達は馬や馬車を降りて門の前へ来た。門には2人の警備兵と、恰幅かっぷくの良い見た目50歳くらいの男が立っている。すると、3人のうち恰幅の良い男がこちらに近寄ってきた。

「これはこれはラクア・リアムール殿下にカナ・ベルナール殿、本日は御足労頂き感謝致します。」
「いえ、こちらこそお呼び頂きありがとうございます、ソルード侯爵殿。」

侯爵ということは、彼がこの屋敷の主であり依頼人だろう。とりあえずラクア達に合わせてお辞儀をしておく。

にしてもソルードってどこかで聞いたことあるような…

「さあ、門の前で立ちっぱなしもなんですので、お茶会の会場へどうぞ。」

そのまま侯爵に着いていくと、やがて屋敷の庭に来た。そこには沢山のテーブルが並び、その上に大量のケーキやスコーン、チョコレートなどが並んでいた。

既にいくらか来賓客らいひんきゃくと思しき人達が会場で待機していた。

しかし見てみると椅子がなく、客は立ったままだ。どういう感じでやるんだろうか。

「今回のお茶会は立食パーティーですので、好きなお菓子を自分で取っていって、そのままお食べ下さい。」
「承知致しました」

なるほど、だから椅子がないのか。まだ開始まで少し時間があるのでとりあえず食べるのは待つとしよう。

――――――

「え、なんであんたらがここに!?」

声の方を向くと、見覚えのあるオレンジ髪の人物がこちらに近寄ってきた。ほんとにただ見覚えがある程度なのだが、どこで見たのだろうか。

「おや、ロン・ソルード様ですね。お邪魔しております。」

ランドルトが反応する。

ロン・ソルードって、確か魔術大会でE組の代表だった火属性の人か。通りで見覚えがあるわけだ。団体戦でも個人戦でも4位だったが、1度も直接戦わなかったので印象が薄くなかなか思い出せなかった。

それと確かさっきラクアが侯爵のことを"ソルード侯爵"と言っていたので、ロン・ソルードは彼の息子なのだろう。

「お邪魔ってことは、親父……侯爵に招待されたんですか?」

「ああ。」

「侯爵令嬢が私とラクア殿下に会いたいとの事でしたので、お茶会にお呼びして頂いたんです。」

「ああ、そういえばシャーロットが殿下と女の人がどうのこうのって言ってたな……まあなんにせよ、ゆっくりしてってくれよ。シャーロットもそろそろ来ると思うから」

「はい、ありがとうございます」

令嬢の名前はシャーロットと言うらしい。

「あ、それとB組のランドルトとA組のベルナールさん、だっけ?確かに身分的にはあれかもしれないけど、敬語使う必要ないからな、同じ学年なんだし。」

「……うん、じゃあそうさせてもらうよ。」
「私は敬語を使う方が慣れているので、今のままで。」

「そうか?あんまり堅苦しいの好きじゃないんだけどな……まあいっか。」

「お前も俺に敬語を使う必要は無い。自由にしろ。」

「お、まじ?じゃあそうさせてもらうよ、王子様!」

「……ふん。」

「お、そろそろ始まるな、じゃあ俺はちょっとやる事あるからこの辺で。楽しんでな!」

そういうとロンはどこかへ去っていった。高位貴族の息子ながら、気前のいい好青年だ。魔術大会の団体戦のときに当て馬扱いしてしまったのを少々申し訳無く感じた。そもそもあの化け物達がいる中で、団体でも個人でも4位を勝ち取っている時点で中々の実力者だし。

そうこうしているうちに、ソルード侯爵が全体に向け話し始めた。

「本日はお集まりいただきありがとうございます。皆さんにお会いできたことを……」

どうやらお茶会の始めの挨拶らしい。お茶会に参加する機会など滅多にない、というか当然初めてなのでちょっと楽しみだ。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

ギルドを追放された俺、傭兵ギルドのエリートに拾われる〜元ギルドは崩壊したらしい〜

ネリムZ
ファンタジー
 唐突にギルドマスターから宣言される言葉。 「今すぐにこのギルドから去れ。俺の前に二度と顔を出さないように国も出て行け」  理解出来ない言葉だったが有無を言わせぬマスターに従った。  様々な気力を失って森の中を彷徨うと、賞金首にカツアゲされてしまった。  そこに助けようとする傭兵ギルドのA級、自称エリートのフィリア。  モヤモヤとした気持ちに駆られ、賞金首を気絶させる。  行く場所が無い事を素直に伝えるとフィリアは自分のギルドに招待してくれた。  俺は仕事が必要だったのでありがたく、その提案を受けた。  そして後に知る、元所属ギルドが⋯⋯。  新たな目標、新たな仲間と環境。  信念を持って行動する、一人の男の物語。

私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍
ファンタジー
 "私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。  動けない、何もできない、そもそも身体がない。  自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。 ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。  それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します

mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。 中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。 私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。 そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。 自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。 目の前に女神が現れて言う。 「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」 そう言われて私は首を傾げる。 「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」 そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。 神は書類を提示させてきて言う。 「これに書いてくれ」と言われて私は書く。 「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。 「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」 私は頷くと神は笑顔で言う。 「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。 ーーーーーーーーー 毎話1500文字程度目安に書きます。 たまに2000文字が出るかもです。

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

処理中です...