乙女ゲームのヒロインに転生、科学を駆使して剣と魔法の世界を生きる

アミ100

文字の大きさ
上 下
45 / 115
いつもの学院生活…?

第45話 第1王子ラインハルト

しおりを挟む
3人でお茶会に参加するべく城内を移動していると、前方から4人ほど歩いてくる影があった。

前を男女2人が歩き、その後ろを騎士と侍女らしき2人がついてきている。しかし前にいる男性って…

「ラクア、また会いましたね」
「久しぶり、ラクア。元気にしていたかい?」

2人が口々にラクアに挨拶する。

「はい、姉上も兄上もご健勝そうで何よりです」

やはりか。

プラチナブロンドの髪にラクアと同じ紺色の瞳を持ち、第2王子であるラクアが"兄上"と呼ぶのはただ1人、第1王子のラインハルト・リアムールである。彼は私が乙女ゲーム「Amourアムール Taleテイル」で唯一そのルートをプレイした攻略対象者だ。彼は誰にでも優しく思いやりのある性格で、ラクアとはほぼ正反対だ。王位継承権第1位で現在17歳、そして魔法学園の3年生である。魔力90、属性土、傾向強光であり魔法適性や剣術は魔術学院の生徒に比べるとあまり良いとは言えない。まあ魔術学院の面々が色々とおかしいだけなのだが。一方それ以外のほぼ全てにおいて非常に優秀であり、次期国王として大いに期待されている。

王城へ来たからもしやとは思ったが、まさか本当に会うことになるとは。

そしてもう1人、第1王子ラインハルトの隣にいる女性は、第1王女でラインハルトの双子の姉、ミラ・リアムールだ。ラインハルト同様プラチナブロンドの髪と紺色の瞳を持っている。彼女も非常に優秀であり、女性ながら次期国王の候補に挙がったほどだが、本人はあまり王位に興味は無く、弟と争うのも面倒だということで自ら辞退した。ちなみに私が今着ているドレスは彼女のお下がりである。

「そちらのご令嬢は?」

おっと、挨拶するのを忘れていた。

「申し遅れました、わたくしカナ・ベルナールと申します。本日はお茶会に必要なドレスをミラ殿下より拝借させて頂くために参りました。私は魔術学院の生徒で、ラクア殿下の同期生にあたります。」

ドレスの裾を軽く持ち上げそれっぽくお辞儀しながら挨拶する。

「ああ、あなたがベルナールさんか。ラクアから話は聞いているよ。」

何を聞いたのでしょう?と聞きたくなったがこらえた。

「ぜひラクアと仲良くしてやってね。態度はちょっとアレだけど、決して悪い子じゃないんだ。」

「……兄上……アレとは……」

「私からもお願いしますわ、ラクアったらお友達が全然いないんだもの。」

「………」
「はいっ……フッ……もちろんです。」

笑いを堪えながら答える。
ラクアは恥ずかしくて落ち着かないのかソワソワしている。あの俺様キャラのラクアですら2人の天然ぶりを前にタジタジだ。

「そう言えば、そのドレスは私のですね?どうですか、気に入りましたか?」

「はい、とても素敵なドレスだと思います。」

「それは良かったわ。」

「これはいつごろお返しすればよろしいでしょうか?」

「あら、返さなくて大丈夫ですよ。そのまま差し上げます。」

「いえ、このような貴重なものを頂くのは……」

「安いものだし、私はもう着ないので大丈夫ですよ。それに1着くらい、余所よそ行きのドレスがあった方が便利でしょう?」

王族の"安い"はなんの当てにもならないのだが。とはいえこれ以上断ると逆に失礼だ。

「……それでは、お言葉に甘えさせて頂きます」

「殿下、そろそろお時間が……」

ラインハルトの後ろの騎士が彼に声をかける。

「ああ、そうだね。それでは失礼するよ。」

「またねラクア、ベルナールさん」

「「はい」」

「それでは、私達も参りましょうか。」

これまで黙っていたランドルトが声をかける。

「そうだね」
「ああ」
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

ギルドを追放された俺、傭兵ギルドのエリートに拾われる〜元ギルドは崩壊したらしい〜

ネリムZ
ファンタジー
 唐突にギルドマスターから宣言される言葉。 「今すぐにこのギルドから去れ。俺の前に二度と顔を出さないように国も出て行け」  理解出来ない言葉だったが有無を言わせぬマスターに従った。  様々な気力を失って森の中を彷徨うと、賞金首にカツアゲされてしまった。  そこに助けようとする傭兵ギルドのA級、自称エリートのフィリア。  モヤモヤとした気持ちに駆られ、賞金首を気絶させる。  行く場所が無い事を素直に伝えるとフィリアは自分のギルドに招待してくれた。  俺は仕事が必要だったのでありがたく、その提案を受けた。  そして後に知る、元所属ギルドが⋯⋯。  新たな目標、新たな仲間と環境。  信念を持って行動する、一人の男の物語。

[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します

mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。 中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。 私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。 そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。 自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。 目の前に女神が現れて言う。 「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」 そう言われて私は首を傾げる。 「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」 そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。 神は書類を提示させてきて言う。 「これに書いてくれ」と言われて私は書く。 「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。 「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」 私は頷くと神は笑顔で言う。 「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。 ーーーーーーーーー 毎話1500文字程度目安に書きます。 たまに2000文字が出るかもです。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

悪役令嬢、資産運用で学園を掌握する 〜王太子?興味ない、私は経済で無双する〜

言諮 アイ
ファンタジー
異世界貴族社会の名門・ローデリア学園。そこに通う公爵令嬢リリアーナは、婚約者である王太子エドワルドから一方的に婚約破棄を宣言される。理由は「平民の聖女をいじめた悪役だから」?——はっ、笑わせないで。 しかし、リリアーナには王太子も知らない"切り札"があった。 それは、前世の知識を活かした「資産運用」。株式、事業投資、不動産売買……全てを駆使し、わずか数日で貴族社会の経済を掌握する。 「王太子?聖女?その程度の茶番に構っている暇はないわ。私は"資産"でこの学園を支配するのだから。」 破滅フラグ?なら経済で粉砕するだけ。 気づけば、学園も貴族もすべてが彼女の手中に——。 「お前は……一体何者だ?」と動揺する王太子に、リリアーナは微笑む。 「私はただの投資家よ。負けたくないなら……資本主義のルールを学びなさい。」 学園を舞台に繰り広げられる異世界経済バトルロマンス! "悪役令嬢"、ここに爆誕!

僕と精霊 〜魔法と科学と宝石の輝き〜

一般人
ファンタジー
 人類が魔法と科学の力を発見して数万年。それぞれの力を持つ者同士の思想の衝突で起きた長き時に渡る戦争、『発展戦争』。そんな戦争の休戦から早100年。魔法軍の国に住む高校生ジャン・バーンは精霊カーバンクルのパンプと出会いと共に両国の歪みに巻き込まれていく。

処理中です...