44 / 115
いつもの学院生活…?
第44話 いざ王城へ②
しおりを挟む
平日をいつも通り過ごし今日は週末、お茶会の日だ。私は今ちょうど王城の門の前に着いたところだ。しかしそれにしても大きな城である。大陸で帝国に次ぐ大国なだけはある。
門の前でどうすればいいか分からず右往左往していると、ランドルトが王城から出てきた。
「ベルナール様、ようこそおいでくださいました。それでは中へどうぞ。」
ランドルトに軽く王城の説明を受けながらついて行き城内を進んでいくと、ある部屋の前で立ち止まった。
「ベルナール様にはここで着替えて頂きます。着替えの際は部屋に侍女がおりますのでそちらに頼っていただければ大丈夫です。1時間後にお迎えに上がります。」
「わかった、ありがとう」
ランドルトが立ち去り、部屋に入ると侍女と思われる女性2人が迎えてくれた。
「ベルナール様、お待ちしておりました!」
「はい、えっと…よろしくお願いします」
私が入室するやいなや、侍女の人達がバタバタと動き始めた。どうやら私が着るドレスは決まっているらしい。しかし、それにしても平民相手に2人がかりとは大袈裟過ぎないか?
「あの…ベルナール様、少し質問いいですか?」
2人の内ちょっとミーハーそうな侍女が着付けを手伝いながら言う。
「はい、なんでしょう?」
「ラクア殿下とはどういったご関係なんですか?」
「どう、というと?」
「えーと…その…もしかして婚約者とかで」
「違います」
またか。どうも皆私をラクアの婚約者にさせたがる。
「え、でもわざわざ王城に連れてきたからてっきりそうなのかと…」
「それは単純に私がお茶会に合うドレスを持っていなかったから、貸してもらうためですよ」
「でもそれなら私たちがドレスを持ってベルナール様の寮に行けばよくありません?1度私服に着替えてからまたドレスに着替えると二度手間ですし。そもそも魔術学院とお城って結構近いですし。」
そう言われればそう思わなくもない。確かこうすることを決めたのはランドルトだったか。もしかして私を王城に来させることでラクアとの婚約をほのめかし噂を広げ、そのまま囲い込むつもりとか……
……考えすぎだな、疲れているんだろうか。魔術大会での疲労はもう取れているはずなんだが。
「まあ、色々事情があるんでしょう。私とラクア殿下の関係性は、生徒会役員に勧誘されたのと、魔術大会で戦ったくらいですよ。」
「あ、そうだ魔術大会!そのときのお話聞かせてもらってもいいですか?」
「ああ、いいですよ。じゃあ……」
話がいい感じに逸れた。このまま上手いこと婚約者の話から遠ざけよう。
――――――――――――
無事ドレスの着付けに化粧、髪型のセットまで終わり、今はひと段落しているところだ。ドレスは紫色のキラキラした生地が使われており、裾は軽く広がっているが全体的にはスリムなデザインだ。
「にしてもベルナール様、コルセット付けるときとか髪結ぶときとか、よく叫ばず平気でしたね!普通の方なら阿鼻叫喚ですよ?」
コルセットはともかく、髪やたら引っ張られるなと思ったが、痛いのわかっててやってたのか。
「ああ、まあこういうのには慣れてますから」
「………?」
コンコンッ
「はい、どうぞ」
「失礼します」
ランドルトと、ついでにラクアが来た。
「おや、これは素晴らしいですね」
「……ふん、馬子にも衣装というやつだな。」
「それはどうも」
馬子だろうが豚の子だろうが、お茶会のときにそれなりに見えれば無問題だ。
ちなみにラクアも正装で、英国王室の王子が着ているような"ザ・王子"といった感じの格好をしており、黒い服の上から胸元に王家のバラの紋章のある黒いマントをまとい、腰には剣を携えている。
にしてもお茶会に剣が必要なのか?それなら……
「……言っておくが、お前は剣を持つ必要はないぞ。これはあくまで装飾だし、侯爵令嬢の要望で持っているだけだ。それにそもそもお前、戦うときだって剣はろくに使わないだろう」
「あ……うん。」
「フフッ…」
フフッ?
「……それではそろそろ参りましょうか。」
「そうだね」
門の前でどうすればいいか分からず右往左往していると、ランドルトが王城から出てきた。
「ベルナール様、ようこそおいでくださいました。それでは中へどうぞ。」
ランドルトに軽く王城の説明を受けながらついて行き城内を進んでいくと、ある部屋の前で立ち止まった。
「ベルナール様にはここで着替えて頂きます。着替えの際は部屋に侍女がおりますのでそちらに頼っていただければ大丈夫です。1時間後にお迎えに上がります。」
「わかった、ありがとう」
ランドルトが立ち去り、部屋に入ると侍女と思われる女性2人が迎えてくれた。
「ベルナール様、お待ちしておりました!」
「はい、えっと…よろしくお願いします」
私が入室するやいなや、侍女の人達がバタバタと動き始めた。どうやら私が着るドレスは決まっているらしい。しかし、それにしても平民相手に2人がかりとは大袈裟過ぎないか?
「あの…ベルナール様、少し質問いいですか?」
2人の内ちょっとミーハーそうな侍女が着付けを手伝いながら言う。
「はい、なんでしょう?」
「ラクア殿下とはどういったご関係なんですか?」
「どう、というと?」
「えーと…その…もしかして婚約者とかで」
「違います」
またか。どうも皆私をラクアの婚約者にさせたがる。
「え、でもわざわざ王城に連れてきたからてっきりそうなのかと…」
「それは単純に私がお茶会に合うドレスを持っていなかったから、貸してもらうためですよ」
「でもそれなら私たちがドレスを持ってベルナール様の寮に行けばよくありません?1度私服に着替えてからまたドレスに着替えると二度手間ですし。そもそも魔術学院とお城って結構近いですし。」
そう言われればそう思わなくもない。確かこうすることを決めたのはランドルトだったか。もしかして私を王城に来させることでラクアとの婚約をほのめかし噂を広げ、そのまま囲い込むつもりとか……
……考えすぎだな、疲れているんだろうか。魔術大会での疲労はもう取れているはずなんだが。
「まあ、色々事情があるんでしょう。私とラクア殿下の関係性は、生徒会役員に勧誘されたのと、魔術大会で戦ったくらいですよ。」
「あ、そうだ魔術大会!そのときのお話聞かせてもらってもいいですか?」
「ああ、いいですよ。じゃあ……」
話がいい感じに逸れた。このまま上手いこと婚約者の話から遠ざけよう。
――――――――――――
無事ドレスの着付けに化粧、髪型のセットまで終わり、今はひと段落しているところだ。ドレスは紫色のキラキラした生地が使われており、裾は軽く広がっているが全体的にはスリムなデザインだ。
「にしてもベルナール様、コルセット付けるときとか髪結ぶときとか、よく叫ばず平気でしたね!普通の方なら阿鼻叫喚ですよ?」
コルセットはともかく、髪やたら引っ張られるなと思ったが、痛いのわかっててやってたのか。
「ああ、まあこういうのには慣れてますから」
「………?」
コンコンッ
「はい、どうぞ」
「失礼します」
ランドルトと、ついでにラクアが来た。
「おや、これは素晴らしいですね」
「……ふん、馬子にも衣装というやつだな。」
「それはどうも」
馬子だろうが豚の子だろうが、お茶会のときにそれなりに見えれば無問題だ。
ちなみにラクアも正装で、英国王室の王子が着ているような"ザ・王子"といった感じの格好をしており、黒い服の上から胸元に王家のバラの紋章のある黒いマントをまとい、腰には剣を携えている。
にしてもお茶会に剣が必要なのか?それなら……
「……言っておくが、お前は剣を持つ必要はないぞ。これはあくまで装飾だし、侯爵令嬢の要望で持っているだけだ。それにそもそもお前、戦うときだって剣はろくに使わないだろう」
「あ……うん。」
「フフッ…」
フフッ?
「……それではそろそろ参りましょうか。」
「そうだね」
113
お気に入りに追加
691
あなたにおすすめの小説
鋼なるドラーガ・ノート ~S級パーティーから超絶無能の烙印を押されて追放される賢者、今更やめてくれと言われてももう遅い~
月江堂
ファンタジー
― 後から俺の実力に気付いたところでもう遅い。絶対に辞めないからな ―
“賢者”ドラーガ・ノート。鋼の二つ名で知られる彼がSランク冒険者パーティー、メッツァトルに加入した時、誰もが彼の活躍を期待していた。
だが蓋を開けてみれば彼は無能の極致。強い魔法は使えず、運動神経は鈍くて小動物にすら勝てない。無能なだけならばまだしも味方の足を引っ張って仲間を危機に陥れる始末。
当然パーティーのリーダー“勇者”アルグスは彼に「無能」の烙印を押し、パーティーから追放する非情な決断をするのだが、しかしそこには彼を追い出すことのできない如何ともしがたい事情が存在するのだった。
ドラーガを追放できない理由とは一体何なのか!?
そしてこの賢者はなぜこんなにも無能なのに常に偉そうなのか!?
彼の秘められた実力とは一体何なのか? そもそもそんなもの実在するのか!?
力こそが全てであり、鋼の教えと闇を司る魔が支配する世界。ムカフ島と呼ばれる火山のダンジョンの攻略を通して彼らはやがて大きな陰謀に巻き込まれてゆく。

異世界『魔術師』の孫〜婚約者のためなら国一つ消しても良いと思ってます(本音)〜
紫南
ファンタジー
現在女子高生の【東理修】(あずまりず)
天才魔術師であり、異世界【トゥルーベル】からやって来た祖父の後継者として、祖父の死後も異世界と現世を行き来している。
魔術師である事は家族も知らず、知っているのは亡くなった祖父だけだった。その幼い頃からの目標は、祖父の友人でもあった【魔王の妻】になること。
夢は偉大な伝説にもなった魔術師の祖父リュートリールを越える『魔術師』になる事だ。
魔術師名【リズリール】と名乗り世界を渡る二重生活。現世でのアルバイトは、異能者の組織でなぜかトラブル担当。
上司は魔女や雪女、龍神?
世界を自由に渡れるリズのここでの主な仕事は、異世界に召喚された『勇者のお迎え』?
【トゥルーベル】では祖父の友人達を繋いで国などの問題を手伝ったり、冒険者ギルドからの仕事依頼が舞い込む。
そんな中、忙しくても世界を渡る一番の理由は、大切な【婚約者】に会う為!
家族に明かせない秘密を抱えながらも学校に、仕事に大忙し!
天才魔術師のクールな日常。
◎息抜きで書き上げた作品です。
難しく考えずにお気軽にお読みください☆
◉『女神なんてお断りですっ。』と同時期に別サイトで公開していたものを改稿の後に投稿しています。文庫化の記念にお楽しみください♪

ギルドを追放された俺、傭兵ギルドのエリートに拾われる〜元ギルドは崩壊したらしい〜
ネリムZ
ファンタジー
唐突にギルドマスターから宣言される言葉。
「今すぐにこのギルドから去れ。俺の前に二度と顔を出さないように国も出て行け」
理解出来ない言葉だったが有無を言わせぬマスターに従った。
様々な気力を失って森の中を彷徨うと、賞金首にカツアゲされてしまった。
そこに助けようとする傭兵ギルドのA級、自称エリートのフィリア。
モヤモヤとした気持ちに駆られ、賞金首を気絶させる。
行く場所が無い事を素直に伝えるとフィリアは自分のギルドに招待してくれた。
俺は仕事が必要だったのでありがたく、その提案を受けた。
そして後に知る、元所属ギルドが⋯⋯。
新たな目標、新たな仲間と環境。
信念を持って行動する、一人の男の物語。

僕と精霊 〜魔法と科学と宝石の輝き〜
一般人
ファンタジー
人類が魔法と科学の力を発見して数万年。それぞれの力を持つ者同士の思想の衝突で起きた長き時に渡る戦争、『発展戦争』。そんな戦争の休戦から早100年。魔法軍の国に住む高校生ジャン・バーンは精霊カーバンクルのパンプと出会いと共に両国の歪みに巻き込まれていく。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!
チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記
ノン・タロー
ファンタジー
ごく普通の女子高生である「武久 佳奈」は、通学途中に突然異世界へと飛ばされてしまう。これは何の特殊な能力もチートなスキルも持たない、ただごく普通の女子高生が、自力で会得した魔法やスキルを駆使し、元の世界へと帰る方法を探すべく見ず知らずの異世界で様々な人々や、様々な仲間たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく記録である……。
設定
この世界は人間、エルフ、妖怪、獣人、ドワーフ、魔物等が共存する世界となっています。
その為か男性だけでなく、女性も性に対する抵抗がわりと低くなっております。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる