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いつもの学院生活…?
第44話 いざ王城へ②
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平日をいつも通り過ごし今日は週末、お茶会の日だ。私は今ちょうど王城の門の前に着いたところだ。しかしそれにしても大きな城である。大陸で帝国に次ぐ大国なだけはある。
門の前でどうすればいいか分からず右往左往していると、ランドルトが王城から出てきた。
「ベルナール様、ようこそおいでくださいました。それでは中へどうぞ。」
ランドルトに軽く王城の説明を受けながらついて行き城内を進んでいくと、ある部屋の前で立ち止まった。
「ベルナール様にはここで着替えて頂きます。着替えの際は部屋に侍女がおりますのでそちらに頼っていただければ大丈夫です。1時間後にお迎えに上がります。」
「わかった、ありがとう」
ランドルトが立ち去り、部屋に入ると侍女と思われる女性2人が迎えてくれた。
「ベルナール様、お待ちしておりました!」
「はい、えっと…よろしくお願いします」
私が入室するやいなや、侍女の人達がバタバタと動き始めた。どうやら私が着るドレスは決まっているらしい。しかし、それにしても平民相手に2人がかりとは大袈裟過ぎないか?
「あの…ベルナール様、少し質問いいですか?」
2人の内ちょっとミーハーそうな侍女が着付けを手伝いながら言う。
「はい、なんでしょう?」
「ラクア殿下とはどういったご関係なんですか?」
「どう、というと?」
「えーと…その…もしかして婚約者とかで」
「違います」
またか。どうも皆私をラクアの婚約者にさせたがる。
「え、でもわざわざ王城に連れてきたからてっきりそうなのかと…」
「それは単純に私がお茶会に合うドレスを持っていなかったから、貸してもらうためですよ」
「でもそれなら私たちがドレスを持ってベルナール様の寮に行けばよくありません?1度私服に着替えてからまたドレスに着替えると二度手間ですし。そもそも魔術学院とお城って結構近いですし。」
そう言われればそう思わなくもない。確かこうすることを決めたのはランドルトだったか。もしかして私を王城に来させることでラクアとの婚約をほのめかし噂を広げ、そのまま囲い込むつもりとか……
……考えすぎだな、疲れているんだろうか。魔術大会での疲労はもう取れているはずなんだが。
「まあ、色々事情があるんでしょう。私とラクア殿下の関係性は、生徒会役員に勧誘されたのと、魔術大会で戦ったくらいですよ。」
「あ、そうだ魔術大会!そのときのお話聞かせてもらってもいいですか?」
「ああ、いいですよ。じゃあ……」
話がいい感じに逸れた。このまま上手いこと婚約者の話から遠ざけよう。
――――――――――――
無事ドレスの着付けに化粧、髪型のセットまで終わり、今はひと段落しているところだ。ドレスは紫色のキラキラした生地が使われており、裾は軽く広がっているが全体的にはスリムなデザインだ。
「にしてもベルナール様、コルセット付けるときとか髪結ぶときとか、よく叫ばず平気でしたね!普通の方なら阿鼻叫喚ですよ?」
コルセットはともかく、髪やたら引っ張られるなと思ったが、痛いのわかっててやってたのか。
「ああ、まあこういうのには慣れてますから」
「………?」
コンコンッ
「はい、どうぞ」
「失礼します」
ランドルトと、ついでにラクアが来た。
「おや、これは素晴らしいですね」
「……ふん、馬子にも衣装というやつだな。」
「それはどうも」
馬子だろうが豚の子だろうが、お茶会のときにそれなりに見えれば無問題だ。
ちなみにラクアも正装で、英国王室の王子が着ているような"ザ・王子"といった感じの格好をしており、黒い服の上から胸元に王家のバラの紋章のある黒いマントをまとい、腰には剣を携えている。
にしてもお茶会に剣が必要なのか?それなら……
「……言っておくが、お前は剣を持つ必要はないぞ。これはあくまで装飾だし、侯爵令嬢の要望で持っているだけだ。それにそもそもお前、戦うときだって剣はろくに使わないだろう」
「あ……うん。」
「フフッ…」
フフッ?
「……それではそろそろ参りましょうか。」
「そうだね」
門の前でどうすればいいか分からず右往左往していると、ランドルトが王城から出てきた。
「ベルナール様、ようこそおいでくださいました。それでは中へどうぞ。」
ランドルトに軽く王城の説明を受けながらついて行き城内を進んでいくと、ある部屋の前で立ち止まった。
「ベルナール様にはここで着替えて頂きます。着替えの際は部屋に侍女がおりますのでそちらに頼っていただければ大丈夫です。1時間後にお迎えに上がります。」
「わかった、ありがとう」
ランドルトが立ち去り、部屋に入ると侍女と思われる女性2人が迎えてくれた。
「ベルナール様、お待ちしておりました!」
「はい、えっと…よろしくお願いします」
私が入室するやいなや、侍女の人達がバタバタと動き始めた。どうやら私が着るドレスは決まっているらしい。しかし、それにしても平民相手に2人がかりとは大袈裟過ぎないか?
「あの…ベルナール様、少し質問いいですか?」
2人の内ちょっとミーハーそうな侍女が着付けを手伝いながら言う。
「はい、なんでしょう?」
「ラクア殿下とはどういったご関係なんですか?」
「どう、というと?」
「えーと…その…もしかして婚約者とかで」
「違います」
またか。どうも皆私をラクアの婚約者にさせたがる。
「え、でもわざわざ王城に連れてきたからてっきりそうなのかと…」
「それは単純に私がお茶会に合うドレスを持っていなかったから、貸してもらうためですよ」
「でもそれなら私たちがドレスを持ってベルナール様の寮に行けばよくありません?1度私服に着替えてからまたドレスに着替えると二度手間ですし。そもそも魔術学院とお城って結構近いですし。」
そう言われればそう思わなくもない。確かこうすることを決めたのはランドルトだったか。もしかして私を王城に来させることでラクアとの婚約をほのめかし噂を広げ、そのまま囲い込むつもりとか……
……考えすぎだな、疲れているんだろうか。魔術大会での疲労はもう取れているはずなんだが。
「まあ、色々事情があるんでしょう。私とラクア殿下の関係性は、生徒会役員に勧誘されたのと、魔術大会で戦ったくらいですよ。」
「あ、そうだ魔術大会!そのときのお話聞かせてもらってもいいですか?」
「ああ、いいですよ。じゃあ……」
話がいい感じに逸れた。このまま上手いこと婚約者の話から遠ざけよう。
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無事ドレスの着付けに化粧、髪型のセットまで終わり、今はひと段落しているところだ。ドレスは紫色のキラキラした生地が使われており、裾は軽く広がっているが全体的にはスリムなデザインだ。
「にしてもベルナール様、コルセット付けるときとか髪結ぶときとか、よく叫ばず平気でしたね!普通の方なら阿鼻叫喚ですよ?」
コルセットはともかく、髪やたら引っ張られるなと思ったが、痛いのわかっててやってたのか。
「ああ、まあこういうのには慣れてますから」
「………?」
コンコンッ
「はい、どうぞ」
「失礼します」
ランドルトと、ついでにラクアが来た。
「おや、これは素晴らしいですね」
「……ふん、馬子にも衣装というやつだな。」
「それはどうも」
馬子だろうが豚の子だろうが、お茶会のときにそれなりに見えれば無問題だ。
ちなみにラクアも正装で、英国王室の王子が着ているような"ザ・王子"といった感じの格好をしており、黒い服の上から胸元に王家のバラの紋章のある黒いマントをまとい、腰には剣を携えている。
にしてもお茶会に剣が必要なのか?それなら……
「……言っておくが、お前は剣を持つ必要はないぞ。これはあくまで装飾だし、侯爵令嬢の要望で持っているだけだ。それにそもそもお前、戦うときだって剣はろくに使わないだろう」
「あ……うん。」
「フフッ…」
フフッ?
「……それではそろそろ参りましょうか。」
「そうだね」
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