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いつもの学院生活…?
第43話 いざ王城へ①
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「おはよう、カナ!」
「おはようジーク、今日も寒いね」
「ほんとだね~」
初めて部活動をしてから数日、11月ももうじき終わりを迎える。私は前よりジークと話す機会が増えた気がする。
「この前貰ったアランさんのクッキー、とっても美味しかったわ!」
「ほんとか?良かった!……よければまた何か作ってこようか?」
「ええ、お願い!」
…というより、アランとマリーがこのように2人で話していることが増えたので、そっとしておいた結果残った私とジークも自然と話すようになったのだ。アランの恋路はまだゴールは遠そうだが、なかなか順調なのではないだろうか。
「あ、そうだ!お父さんのことだけど、12月の終わり、冬休み中には会えそうだって!」
「ほんと?助かるよ、ありがとう」
「うん!お父さんに魔術大会でのカナのこと色々話したんだけど、そしたらお父さんもぜひ会ってみたいって言ってたからちょうど良かったよ!」
「ハハ、あんまり期待されると困っちゃうけどな。」
「大丈夫大丈夫、お父さん優しいから!」
まあジークのような子の親ならいかにも優しそうな気がする。ゲームで登場した騎士団長……はどうだっただろうか。例のゲーム画面以外でも出てきていた気がするが、どうにも思い出せない。
なんにせよ、これで騎士団長とのコンタクトの機会を得た。何かしら成果があるといいが。
――――――――――――
「おい、止まれ」
今日の授業も終わり、部活に行こうと部活棟への廊下を歩いていると、後ろから声をかけられた。前にもこんなことがあった気がする。
「あ」
「あ、とはなんだ。しかも若干嫌そうな顔で。相変わらず変わったやつだな」
第2王子ラクア・リアムールだ。
「ごめんつい。ところで私に何か用事が?」
「……ふん、まあいい。とりあえずついてこい。」
そういうとラクアは来た道を戻るようにスタスタ歩き始めた。今のところなんの説明もないのだが、向かっている方角には生徒会室があるので、生徒会関連だろうか。部活はあるが、基本自由参加なので問題無い。素直について行くとしよう。
しかし、この人は説明する前に有無を言わさずついてこさせないと気が済まないのだろうか。報連相は大事にして欲しいものだ。
「ここだ」
予想通り、生徒会室の前に着いた。
コンコンッ
「入るぞ」
「失礼します」
「お待ちしておりました、ラクア様、ベルナール様。」
そう言って迎えてくれたのはランドルトだ。ちなみにランドルトもラクア同様生徒会役員である。彼に会ったのはラクアの婚約者になってくれと言われて以来だ。それ以来何となく避けていたのだが、王子についてきた時点で分かりきっていたことだ、仕方ない。
生徒会室はラクアの休憩室より豪華である。本革のソファーやら金の装飾がついた椅子とテーブルやら、全体的にキラキラしている。貴族感ましましだ。
にしても、生徒会内にはランドルトしかおらず、生徒会室の中は随分閑散としている。
「ところで他の役員の方は?」
「それが、魔術大会の後始末やら意見書の内容の対処やらで非常に立て込んでおりまして……」
「大変そうです……だね。それで私はなんでよばれたの?」
「茶会に出席しろ」
「茶会?」
「ああ。」
「なんで茶会?」
「魔術学院に出資して下さっている侯爵家のご令嬢が魔術大会を観戦なさっていたようで、その際に見たラクア様やベルナール様にお会いしたいと仰っているそうです。そのためその侯爵家主催のお茶会に参加頂きたいのです。生徒会の仕事と言うよりは私用に近い形になりますが……」
「なるほど……」
「厳しいでしょうか?」
「……いや行くよ、お茶会。侯爵家で、しかも出資してもらってるなら無下にはできないんでしょ?」
ちなみに侯爵は公・侯・伯・子・男の5段階ある貴族の階級の中で2番目に高い位で、貴族の中でも偉い方だ。なぜ私とラクアなのかはよく分からないが、いずれにせよ、機嫌を損ねると王族との関係悪化や出資取りやめの原因になりかねないので丁重に扱う必要がある。
「話が早くて助かります。」
「あ、でもお茶会とか行ったことないから礼儀とか分からないし、服も着られそうなのが無いんだけど……」
「それなら問題ない。お前が平民で貴族の礼儀作法に疎いことは話してある。まあ、お前の俺やエルマーへの態度を見る限り、極端に礼儀を欠くようなことは無いだろうがな。それと服に関しては、姉上が使い終わったものを使えばいい。それで良かったよな、エルマー」
「はい」
「それは良かった。」
ラクアの姉上……ってことは王女か。王女のお下がりなんてそうそう着られるものじゃないな。
それにしても色々と用意周到すぎる。断ってもどの道行くはめになっていた気がする。
「それではお茶会は週末ですので、当日の朝王城へとお越しください。そこで着替えてからラクア様と共にお茶会へ向かう形になります。」
「うん、わかった」
「おはようジーク、今日も寒いね」
「ほんとだね~」
初めて部活動をしてから数日、11月ももうじき終わりを迎える。私は前よりジークと話す機会が増えた気がする。
「この前貰ったアランさんのクッキー、とっても美味しかったわ!」
「ほんとか?良かった!……よければまた何か作ってこようか?」
「ええ、お願い!」
…というより、アランとマリーがこのように2人で話していることが増えたので、そっとしておいた結果残った私とジークも自然と話すようになったのだ。アランの恋路はまだゴールは遠そうだが、なかなか順調なのではないだろうか。
「あ、そうだ!お父さんのことだけど、12月の終わり、冬休み中には会えそうだって!」
「ほんと?助かるよ、ありがとう」
「うん!お父さんに魔術大会でのカナのこと色々話したんだけど、そしたらお父さんもぜひ会ってみたいって言ってたからちょうど良かったよ!」
「ハハ、あんまり期待されると困っちゃうけどな。」
「大丈夫大丈夫、お父さん優しいから!」
まあジークのような子の親ならいかにも優しそうな気がする。ゲームで登場した騎士団長……はどうだっただろうか。例のゲーム画面以外でも出てきていた気がするが、どうにも思い出せない。
なんにせよ、これで騎士団長とのコンタクトの機会を得た。何かしら成果があるといいが。
――――――――――――
「おい、止まれ」
今日の授業も終わり、部活に行こうと部活棟への廊下を歩いていると、後ろから声をかけられた。前にもこんなことがあった気がする。
「あ」
「あ、とはなんだ。しかも若干嫌そうな顔で。相変わらず変わったやつだな」
第2王子ラクア・リアムールだ。
「ごめんつい。ところで私に何か用事が?」
「……ふん、まあいい。とりあえずついてこい。」
そういうとラクアは来た道を戻るようにスタスタ歩き始めた。今のところなんの説明もないのだが、向かっている方角には生徒会室があるので、生徒会関連だろうか。部活はあるが、基本自由参加なので問題無い。素直について行くとしよう。
しかし、この人は説明する前に有無を言わさずついてこさせないと気が済まないのだろうか。報連相は大事にして欲しいものだ。
「ここだ」
予想通り、生徒会室の前に着いた。
コンコンッ
「入るぞ」
「失礼します」
「お待ちしておりました、ラクア様、ベルナール様。」
そう言って迎えてくれたのはランドルトだ。ちなみにランドルトもラクア同様生徒会役員である。彼に会ったのはラクアの婚約者になってくれと言われて以来だ。それ以来何となく避けていたのだが、王子についてきた時点で分かりきっていたことだ、仕方ない。
生徒会室はラクアの休憩室より豪華である。本革のソファーやら金の装飾がついた椅子とテーブルやら、全体的にキラキラしている。貴族感ましましだ。
にしても、生徒会内にはランドルトしかおらず、生徒会室の中は随分閑散としている。
「ところで他の役員の方は?」
「それが、魔術大会の後始末やら意見書の内容の対処やらで非常に立て込んでおりまして……」
「大変そうです……だね。それで私はなんでよばれたの?」
「茶会に出席しろ」
「茶会?」
「ああ。」
「なんで茶会?」
「魔術学院に出資して下さっている侯爵家のご令嬢が魔術大会を観戦なさっていたようで、その際に見たラクア様やベルナール様にお会いしたいと仰っているそうです。そのためその侯爵家主催のお茶会に参加頂きたいのです。生徒会の仕事と言うよりは私用に近い形になりますが……」
「なるほど……」
「厳しいでしょうか?」
「……いや行くよ、お茶会。侯爵家で、しかも出資してもらってるなら無下にはできないんでしょ?」
ちなみに侯爵は公・侯・伯・子・男の5段階ある貴族の階級の中で2番目に高い位で、貴族の中でも偉い方だ。なぜ私とラクアなのかはよく分からないが、いずれにせよ、機嫌を損ねると王族との関係悪化や出資取りやめの原因になりかねないので丁重に扱う必要がある。
「話が早くて助かります。」
「あ、でもお茶会とか行ったことないから礼儀とか分からないし、服も着られそうなのが無いんだけど……」
「それなら問題ない。お前が平民で貴族の礼儀作法に疎いことは話してある。まあ、お前の俺やエルマーへの態度を見る限り、極端に礼儀を欠くようなことは無いだろうがな。それと服に関しては、姉上が使い終わったものを使えばいい。それで良かったよな、エルマー」
「はい」
「それは良かった。」
ラクアの姉上……ってことは王女か。王女のお下がりなんてそうそう着られるものじゃないな。
それにしても色々と用意周到すぎる。断ってもどの道行くはめになっていた気がする。
「それではお茶会は週末ですので、当日の朝王城へとお越しください。そこで着替えてからラクア様と共にお茶会へ向かう形になります。」
「うん、わかった」
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