乙女ゲームのヒロインに転生、科学を駆使して剣と魔法の世界を生きる

アミ100

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魔術大会

第35話 大会5日目:決勝後

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「う……」

「…あら、起きたのね!」

決勝で気絶した後、起きたら保健室のベッドに寝かされていた。

「はい……」

そう言って私はベッドから出ようとする。

「あ、ダメよ安静にしてなきゃ!全く無茶するわねえ……」

そういうと保健室の先生は私の両肩を押し、ベッドに戻るように促す。実際立ち上がるのも辛いので素直に従う。

「…えっと、決勝のあとどれ位時間経ちましたか?」

「まだ1時間くらいしか経ってないわよ」
「なら良かったです」

「ん?何かあるの?」

「あ、いや単に……」

ガラガラッ!!

突然保健室のドアが勢いよく開く。

「カナ!起きたんだね!!」

「ジーク……」

「えっと、その……殴っちゃってごめん!カナの様子がおかしかったから、このまま続けたら危ないと思って……!」

「いや、むしろ助かったよジーク。ありがとう。というかそれを言うなら、私の方が容赦なく攻撃してたし。」

どの道あのまま続けたところで負けは必須だったし、早い段階で止めて貰ったおかげで、極度の疲労感と多少の頭痛以外に悪いところは無さそうだ。

「それなら良かった……」

「ロバン君、ちゃんと担任の先生に報告できた?」

「はい!ちゃんと言ってきました!」

「……?」

「ああ、ベルナールさんが起きないから、HRホームルーム欠席するって報告しに行って貰ってたのよ」

「え………ああ、なるほど……」

「……カナ?まさか、その状態でHR出ようとか思ってないよね??」

図星をつかれたので目線をそらす。

「あ、いや……その……大会中でも朝と帰りのHRは必ず出ろって言われてるし……今のところ皆勤だし……」

「もう、ほんと信じられない!真面目もいき過ぎると良くないよ!」

ジークがプンスカという擬音がピッタリ合うような感じで怒っている。

「う、ごめんなさい……」

「……もうわかったよ!じゃあ先生にカナが出席扱いになるように言ってくる!」

「HRに出ないこと自体罪悪感があ」

「それでいいよね??」

「はいありがとうございます……」

ジークは再び教室へと戻っていった。

「……プッ!フフフッ!!」

保健室の先生が突如笑い出す。

「笑わないでください……」

「いやあ、だって妻の尻に敷かれた夫みたいで面白くって……!」

「う……」

「フフッ!……でもね、あの子には感謝しときなさいよ?あなたが倒れた後、ここまで運んできたの彼なんだから」

「そうなんですか?」

「ええ、そのとき彼ものすごく動揺してて、私が『ベルナールさんは疲れて眠ってるだけだから大丈夫よ』って言うまで顔真っ青にしてあなたのこと心配してたのよ?愛されてるわね、あなた」

「…そう…ですね…」

「……?まあなんにせよ、今は寝ちゃいなさい。夜になったら起こすなり寮に運ぶなりしてあげるから。」

「はい、そうします」

そういうと先生はベッドの周りのカーテンを閉めて立ち去った。

……さて、それでは寝ながら決勝中に見たゲーム画面について考えよう。

内容は確かこうだ。

騎士団長「私に…ジーク…いう…6才の…子が……の…すが、裏………人間……われ…、…ヶ月前に……なりまし…」
カナ「そんな……」

これからわかることは

・騎士団長がジークについて話しているということ

・ゲームはヒロインやジークが10代のときを舞台にしていて、"…6才" "…ヶ月前"というワードがあるので、それらを組み合わせて考えるとジークが16才の時に何かあったということ

・ヒロインの"そんな……"という発言からして、少なくとも良いことではなさそうなこと

これくらいか。正直核心に迫っていると思われる箇所は見えないままだ。ただ、今は11月の下旬、ジークは今15才で誕生日は確か1月だ。そのため概ね1年以内にジークの身に何かが起こることは確かなようだ。"何か"が何なのかは分からないが、最悪の事態も想定して慎重に行動しなくてはならない。

とはいえここでこれ以上考えたところで新たな情報は出てこない。かと言って手がかりは無いに等しい。今できることと言えば、またあの雑音が来るのを待つか、騎士団長に接触することくらいか。とりあえず騎士団長に会わせて貰えるようにジークに頼んでみるとしよう。

……しかし……今は異常に眠いな……とりあえず寝るか……
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