35 / 115
魔術大会
第35話 大会5日目:決勝後
しおりを挟む
「う……」
「…あら、起きたのね!」
決勝で気絶した後、起きたら保健室のベッドに寝かされていた。
「はい……」
そう言って私はベッドから出ようとする。
「あ、ダメよ安静にしてなきゃ!全く無茶するわねえ……」
そういうと保健室の先生は私の両肩を押し、ベッドに戻るように促す。実際立ち上がるのも辛いので素直に従う。
「…えっと、決勝のあとどれ位時間経ちましたか?」
「まだ1時間くらいしか経ってないわよ」
「なら良かったです」
「ん?何かあるの?」
「あ、いや単に……」
ガラガラッ!!
突然保健室のドアが勢いよく開く。
「カナ!起きたんだね!!」
「ジーク……」
「えっと、その……殴っちゃってごめん!カナの様子がおかしかったから、このまま続けたら危ないと思って……!」
「いや、むしろ助かったよジーク。ありがとう。というかそれを言うなら、私の方が容赦なく攻撃してたし。」
どの道あのまま続けたところで負けは必須だったし、早い段階で止めて貰ったおかげで、極度の疲労感と多少の頭痛以外に悪いところは無さそうだ。
「それなら良かった……」
「ロバン君、ちゃんと担任の先生に報告できた?」
「はい!ちゃんと言ってきました!」
「……?」
「ああ、ベルナールさんが起きないから、HR欠席するって報告しに行って貰ってたのよ」
「え………ああ、なるほど……」
「……カナ?まさか、その状態でHR出ようとか思ってないよね??」
図星をつかれたので目線をそらす。
「あ、いや……その……大会中でも朝と帰りのHRは必ず出ろって言われてるし……今のところ皆勤だし……」
「もう、ほんと信じられない!真面目もいき過ぎると良くないよ!」
ジークがプンスカという擬音がピッタリ合うような感じで怒っている。
「う、ごめんなさい……」
「……もうわかったよ!じゃあ先生にカナが出席扱いになるように言ってくる!」
「HRに出ないこと自体罪悪感があ」
「それでいいよね??」
「はいありがとうございます……」
ジークは再び教室へと戻っていった。
「……プッ!フフフッ!!」
保健室の先生が突如笑い出す。
「笑わないでください……」
「いやあ、だって妻の尻に敷かれた夫みたいで面白くって……!」
「う……」
「フフッ!……でもね、あの子には感謝しときなさいよ?あなたが倒れた後、ここまで運んできたの彼なんだから」
「そうなんですか?」
「ええ、そのとき彼ものすごく動揺してて、私が『ベルナールさんは疲れて眠ってるだけだから大丈夫よ』って言うまで顔真っ青にしてあなたのこと心配してたのよ?愛されてるわね、あなた」
「…そう…ですね…」
「……?まあなんにせよ、今は寝ちゃいなさい。夜になったら起こすなり寮に運ぶなりしてあげるから。」
「はい、そうします」
そういうと先生はベッドの周りのカーテンを閉めて立ち去った。
……さて、それでは寝ながら決勝中に見たゲーム画面について考えよう。
内容は確かこうだ。
騎士団長「私に…ジーク…いう…6才の…子が……の…すが、裏………人間……われ…、…ヶ月前に……なりまし…」
カナ「そんな……」
これからわかることは
・騎士団長がジークについて話しているということ
・ゲームはヒロインやジークが10代のときを舞台にしていて、"…6才" "…ヶ月前"というワードがあるので、それらを組み合わせて考えるとジークが16才の時に何かあったということ
・ヒロインの"そんな……"という発言からして、少なくとも良いことではなさそうなこと
これくらいか。正直核心に迫っていると思われる箇所は見えないままだ。ただ、今は11月の下旬、ジークは今15才で誕生日は確か1月だ。そのため概ね1年以内にジークの身に何かが起こることは確かなようだ。"何か"が何なのかは分からないが、最悪の事態も想定して慎重に行動しなくてはならない。
とはいえここでこれ以上考えたところで新たな情報は出てこない。かと言って手がかりは無いに等しい。今できることと言えば、またあの雑音が来るのを待つか、騎士団長に接触することくらいか。とりあえず騎士団長に会わせて貰えるようにジークに頼んでみるとしよう。
……しかし……今は異常に眠いな……とりあえず寝るか……
「…あら、起きたのね!」
決勝で気絶した後、起きたら保健室のベッドに寝かされていた。
「はい……」
そう言って私はベッドから出ようとする。
「あ、ダメよ安静にしてなきゃ!全く無茶するわねえ……」
そういうと保健室の先生は私の両肩を押し、ベッドに戻るように促す。実際立ち上がるのも辛いので素直に従う。
「…えっと、決勝のあとどれ位時間経ちましたか?」
「まだ1時間くらいしか経ってないわよ」
「なら良かったです」
「ん?何かあるの?」
「あ、いや単に……」
ガラガラッ!!
突然保健室のドアが勢いよく開く。
「カナ!起きたんだね!!」
「ジーク……」
「えっと、その……殴っちゃってごめん!カナの様子がおかしかったから、このまま続けたら危ないと思って……!」
「いや、むしろ助かったよジーク。ありがとう。というかそれを言うなら、私の方が容赦なく攻撃してたし。」
どの道あのまま続けたところで負けは必須だったし、早い段階で止めて貰ったおかげで、極度の疲労感と多少の頭痛以外に悪いところは無さそうだ。
「それなら良かった……」
「ロバン君、ちゃんと担任の先生に報告できた?」
「はい!ちゃんと言ってきました!」
「……?」
「ああ、ベルナールさんが起きないから、HR欠席するって報告しに行って貰ってたのよ」
「え………ああ、なるほど……」
「……カナ?まさか、その状態でHR出ようとか思ってないよね??」
図星をつかれたので目線をそらす。
「あ、いや……その……大会中でも朝と帰りのHRは必ず出ろって言われてるし……今のところ皆勤だし……」
「もう、ほんと信じられない!真面目もいき過ぎると良くないよ!」
ジークがプンスカという擬音がピッタリ合うような感じで怒っている。
「う、ごめんなさい……」
「……もうわかったよ!じゃあ先生にカナが出席扱いになるように言ってくる!」
「HRに出ないこと自体罪悪感があ」
「それでいいよね??」
「はいありがとうございます……」
ジークは再び教室へと戻っていった。
「……プッ!フフフッ!!」
保健室の先生が突如笑い出す。
「笑わないでください……」
「いやあ、だって妻の尻に敷かれた夫みたいで面白くって……!」
「う……」
「フフッ!……でもね、あの子には感謝しときなさいよ?あなたが倒れた後、ここまで運んできたの彼なんだから」
「そうなんですか?」
「ええ、そのとき彼ものすごく動揺してて、私が『ベルナールさんは疲れて眠ってるだけだから大丈夫よ』って言うまで顔真っ青にしてあなたのこと心配してたのよ?愛されてるわね、あなた」
「…そう…ですね…」
「……?まあなんにせよ、今は寝ちゃいなさい。夜になったら起こすなり寮に運ぶなりしてあげるから。」
「はい、そうします」
そういうと先生はベッドの周りのカーテンを閉めて立ち去った。
……さて、それでは寝ながら決勝中に見たゲーム画面について考えよう。
内容は確かこうだ。
騎士団長「私に…ジーク…いう…6才の…子が……の…すが、裏………人間……われ…、…ヶ月前に……なりまし…」
カナ「そんな……」
これからわかることは
・騎士団長がジークについて話しているということ
・ゲームはヒロインやジークが10代のときを舞台にしていて、"…6才" "…ヶ月前"というワードがあるので、それらを組み合わせて考えるとジークが16才の時に何かあったということ
・ヒロインの"そんな……"という発言からして、少なくとも良いことではなさそうなこと
これくらいか。正直核心に迫っていると思われる箇所は見えないままだ。ただ、今は11月の下旬、ジークは今15才で誕生日は確か1月だ。そのため概ね1年以内にジークの身に何かが起こることは確かなようだ。"何か"が何なのかは分からないが、最悪の事態も想定して慎重に行動しなくてはならない。
とはいえここでこれ以上考えたところで新たな情報は出てこない。かと言って手がかりは無いに等しい。今できることと言えば、またあの雑音が来るのを待つか、騎士団長に接触することくらいか。とりあえず騎士団長に会わせて貰えるようにジークに頼んでみるとしよう。
……しかし……今は異常に眠いな……とりあえず寝るか……
180
お気に入りに追加
692
あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

美少女に転生して料理して生きてくことになりました。
ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。
飲めないお酒を飲んでぶったおれた。
気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。
その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

悪役令嬢、資産運用で学園を掌握する 〜王太子?興味ない、私は経済で無双する〜
言諮 アイ
ファンタジー
異世界貴族社会の名門・ローデリア学園。そこに通う公爵令嬢リリアーナは、婚約者である王太子エドワルドから一方的に婚約破棄を宣言される。理由は「平民の聖女をいじめた悪役だから」?——はっ、笑わせないで。
しかし、リリアーナには王太子も知らない"切り札"があった。
それは、前世の知識を活かした「資産運用」。株式、事業投資、不動産売買……全てを駆使し、わずか数日で貴族社会の経済を掌握する。
「王太子?聖女?その程度の茶番に構っている暇はないわ。私は"資産"でこの学園を支配するのだから。」
破滅フラグ?なら経済で粉砕するだけ。
気づけば、学園も貴族もすべてが彼女の手中に——。
「お前は……一体何者だ?」と動揺する王太子に、リリアーナは微笑む。
「私はただの投資家よ。負けたくないなら……資本主義のルールを学びなさい。」
学園を舞台に繰り広げられる異世界経済バトルロマンス!
"悪役令嬢"、ここに爆誕!

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記
ノン・タロー
ファンタジー
ごく普通の女子高生である「武久 佳奈」は、通学途中に突然異世界へと飛ばされてしまう。これは何の特殊な能力もチートなスキルも持たない、ただごく普通の女子高生が、自力で会得した魔法やスキルを駆使し、元の世界へと帰る方法を探すべく見ず知らずの異世界で様々な人々や、様々な仲間たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく記録である……。
設定
この世界は人間、エルフ、妖怪、獣人、ドワーフ、魔物等が共存する世界となっています。
その為か男性だけでなく、女性も性に対する抵抗がわりと低くなっております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる