乙女ゲームのヒロインに転生、科学を駆使して剣と魔法の世界を生きる

アミ100

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魔術大会

第34話 大会5日目:個人戦決勝

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「非常にお待たせ致しました!いよいよ魔術大会1年生個人戦、決勝の始まりです!!」

ワァァァァーーー!!!!

「決勝はなんとA組同士の対決!危なげなくどんどん勝ち進んできたジーク・ロバン選手 vs !!準決勝でリアムール選手と激戦を繰り広げたカナ・ベルナール選手です!!」

保健室の先生とジークのおかげで怪我はほぼ完治した。とはいえ体力はだいぶ消耗したままだし、〘操血〙もクールタイムが十分でないので使えたとしても2分程度だが、最善を尽くすしかない。

「カナ!ほんとに無理はしないでね!」
「ありがとう、ジーク」

正直もう勝ち負けへのこだわりはそんなに無い。決勝が両方A組な時点でどちらが勝ってもクラスの総合成績には影響がないし、団体戦1位・個人戦2位なら個人的な成績としても上出来だ。ただ、だからといってまだ足掻きようはある中で諦めるのも違うな、といったところだ。

「それでは決勝、始め!!」

「固体化・アクアジャベリン」

〘水惑刀〙

槍と〘水惑刀〙を出し様子を見る。しかしジークが動きだす素振りはない。

「どうしたのジーク?」
「いや……その……」

ジークはモジモジしながら曖昧な返事を返す。恐らくジークの性格から言って、疲弊した私と戦うのはやはり気が引けるのだろう。

「そういうところはジークのいいところだけど、戦意のある相手に対して手を抜くのは失礼になりかねないよ。」

「え……」

「ほんとにキツかったらちゃんと降参するから、今は戦って欲しいな。」

「………うん、わかった!」

そういうとジークが剣を構える。面構えが変わった。

私はジークへ向けアクアジャベリンを放ち、私自身も〘水惑刀〙で攻撃する。

ガッ!ガッ!キィィィン!

若干私が押しているが、決定打に欠ける。

「ウインドキャノン!」

「っ……!!」

「ロバン選手、風魔法でベルナール選手を吹き飛ばした!」

ダメージは少ないが、衝撃が強く私は吹っ飛ばされる。このままでは場外だ。

バシャン!!

「ベルナール選手、落下先に半円のプールを作り場外になるのを回避した!」

そのまま自分が入っているプールごと操作し移動させて場内に戻る。

「ハァッ……ハァッ……」

ここまでの流れで既に息が上がる。予想以上に体力が減っているらしい。このままではすぐ体力が尽きて終わる。それなら一か八か、〘操血〙を使って短期決戦に持ち込むしかない。



〘操け…

ザザッ!!ザッ!!!

っ!!これ…は……まさか…!

――――ザッ!ジー!!ザザザザザッッ!!!――――

騎士団長「私に…ジーク…いう…6才の…子が……の…すが、裏………人間……われ…、…ヶ月前に……なりまし…」ザザッ
ジー
カナ「そんな…」ザザッ

――ザッ!ジーー!ザザッ!!――

……前よりも詳細な内容だ。騎士団長はジークについて話していたようだ。それに"カナ"の……

「おお……ベルナ……選手、頭を抱えた…ま動…ない!………深刻な…メージがある…か!?」

……ひとまず内容は覚えた。今は試合に集中しよう。

ただ今の出来事のせいか、意識が混濁し、判断能力が著しく落ちている。視界がかすみ、周りの音もろくに聞こえない。そしてその代わりに、ある1つの強迫観念に駆られる。それは

 "ジーク・ロバンを優勝させるな"

何故こう思うのかは全く分からない。だがひたすらこの言葉だけが頭の中を駆け巡っている。普段は根拠のないことはあまり気にとめないたちだが、今はこの言葉にでもすがっていないといよいよ気絶しそうだ。

〘操血〙

ダッ!!

「ベルナール選手、準決勝同様動きが変わった!ロバン選手に斬り掛かる!!」

ガッ!カッ!カキンッ!!

思うように力が入らない。意識が薄まりアイスジャベリンを使う余裕もない。

「カナ!お願……からも…降…して!!」

ジークが何か言っている。多分、降参してとかそんなことだろう。

キィィィン!!

刀が弾かれて、よろけてしまう。

「ア…クアラ…ンス」

ドォォォン!!

追撃を避けるために魔法で攻撃する。

………しかし、そこにジークの姿は無い。いったいどこ…

ドンッ!

いつの間に後ろに…

ドサッ……

そのまま私は意識を手放した。

「ロバン選手が背後から剣の柄でベルナール選手に一撃加え、ベルナール選手ダウン!よって勝者、そして1年生個人戦優勝者はA組ジーク・ロバン選手だ!!」

ワァァァァーーー!!!



「……優勝者はジーク・ロバン、か。確か騎士団長の息子かなんかだったかねぇ?こいつも獲物にちょうど良さそうでさあ。さて、ボスに報告するとしやしょうか」
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