乙女ゲームのヒロインに転生、科学を駆使して剣と魔法の世界を生きる

アミ100

文字の大きさ
上 下
31 / 115
魔術大会

第31話 大会5日目:個人戦準決勝②

しおりを挟む
「準決勝第2試合目!テクニカルな戦法で敵を惑わし確実に勝利を納めてきたA組カナ・ベルナール選手 vs!!巨大魔法陣に魔法掌握!まさしく王族に相応しい戦いを見せたB組ラクア・リアムール選手です!!」

ワァァァーーー!!!

「約束は覚えているか、カナ・ベルナール」

王子が話しかけてきた。

「はい、もちろんです」
「女だからと手を抜くつもりは無いぞ。降参するなら今のうちだ。」
「こちらこそ、王子殿下だからと手を抜くつもりはございません。降参するつもりもありませんよ。」
「…ふん。せいぜい足掻あがくんだな」

「それでは準決勝第2試合、始め!!」

「ウォーターショット」

とりあえず様子見で攻撃を仕掛けてみる。

「«デトニール»」

ピタッ…

予想通り攻撃は止められる。が、まあただの挨拶がわりなので問題無い。

ダッ!!

「リアムール選手、またしても速攻をかけた!ベルナール選手はどうする!?」

これもおおむね予想通り。水惑刀の存在を知った上でも、団体戦の私の動きを見れば"接近戦は苦手"と判断するはずだ。いかんせん武器が面白いだけで、本人の技量はたかが知れているのだから。

そういうわけで、速攻をかけられるのが分かっていて、特に囮になる必要が無ければそこに突っ立っている道理は無い。

バシッ!!

「おおっと!リアムール選手の剣がベルナール選手の体をすり抜けた!これは"幻影"だ!」

〘水惑刀〙・«飛水撃»

「チッ…」

ガ、ガ、ガキィィン!

「ベルナール選手が背後からの水刃を繰り出した!しかしリアムール選手、これを冷静にガードする!」

これに反応できるとは。かなり魔力を凝縮させているので«デトニール»は使えなかったらしいが、不意打ちしたのに剣で弾かれてしまった。なるほど、伊達だてに王子をやっている訳では無いらしい。私は再び"幻影"で隠れる。

さて、どうしたものか。今はとりあえず走り回って時々飛水撃を繰り出しているが、全て弾かれる。この調子ではらちが明かないし、私の体力が持たない。

「アクアランス」
「ここでリアムール選手動いた!大量の水の槍がベルナール選手を攻撃する!」

例の巨大魔法陣から水の槍が放出される。数にして60本、ランドルトの全力の1.5倍である。威力ももっとありそうだ。

「固体化・アクアウォール」

すかさず壁でガードする。

ガガガガッッ!!

なんとかガードできているが、完全に無差別に攻撃しているにしては、随分私の元にくる槍の数が多い。外れている槍も確認用に軽く飛ばしているだけに思える。«飛水撃»を浴びせていたときから思っていたが、どうも王子は私の位置を特定しているらしい。

ガガガッ!…シーン…

槍の雨が止んだので、私はアクアウォールとついでに"幻影"を解除する。

「もうかくれんぼは終わりか?」
「元素視や魔力視を使われたら、おちおちかくれんぼもできませんよ。」
「ようやく気がついたか」

そう、王子は元素視と魔力視が使えるのだ。でないと"幻影"を使っていた私の位置を、ここまで正確に捉えていた説明がつかない。

「それで?もう諦めるか?」
「それも悪くないかもしれませんが、やっぱりもう少し足掻あがかせていただきます」
「……ふん、それくらいでないと面白くない。」

そういうと王子は再び巨大な魔法陣を繰り出す。

「リアムール選手、今度は"大洪水"を繰り出す!」

こうして向き合うと想像以上の迫力だ。これを防御するのは少々無理がある。それなら……
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

鋼なるドラーガ・ノート ~S級パーティーから超絶無能の烙印を押されて追放される賢者、今更やめてくれと言われてももう遅い~

月江堂
ファンタジー
― 後から俺の実力に気付いたところでもう遅い。絶対に辞めないからな ―  “賢者”ドラーガ・ノート。鋼の二つ名で知られる彼がSランク冒険者パーティー、メッツァトルに加入した時、誰もが彼の活躍を期待していた。  だが蓋を開けてみれば彼は無能の極致。強い魔法は使えず、運動神経は鈍くて小動物にすら勝てない。無能なだけならばまだしも味方の足を引っ張って仲間を危機に陥れる始末。  当然パーティーのリーダー“勇者”アルグスは彼に「無能」の烙印を押し、パーティーから追放する非情な決断をするのだが、しかしそこには彼を追い出すことのできない如何ともしがたい事情が存在するのだった。  ドラーガを追放できない理由とは一体何なのか!?  そしてこの賢者はなぜこんなにも無能なのに常に偉そうなのか!?  彼の秘められた実力とは一体何なのか? そもそもそんなもの実在するのか!?  力こそが全てであり、鋼の教えと闇を司る魔が支配する世界。ムカフ島と呼ばれる火山のダンジョンの攻略を通して彼らはやがて大きな陰謀に巻き込まれてゆく。

ギルドを追放された俺、傭兵ギルドのエリートに拾われる〜元ギルドは崩壊したらしい〜

ネリムZ
ファンタジー
 唐突にギルドマスターから宣言される言葉。 「今すぐにこのギルドから去れ。俺の前に二度と顔を出さないように国も出て行け」  理解出来ない言葉だったが有無を言わせぬマスターに従った。  様々な気力を失って森の中を彷徨うと、賞金首にカツアゲされてしまった。  そこに助けようとする傭兵ギルドのA級、自称エリートのフィリア。  モヤモヤとした気持ちに駆られ、賞金首を気絶させる。  行く場所が無い事を素直に伝えるとフィリアは自分のギルドに招待してくれた。  俺は仕事が必要だったのでありがたく、その提案を受けた。  そして後に知る、元所属ギルドが⋯⋯。  新たな目標、新たな仲間と環境。  信念を持って行動する、一人の男の物語。

僕と精霊 〜魔法と科学と宝石の輝き〜

一般人
ファンタジー
 人類が魔法と科学の力を発見して数万年。それぞれの力を持つ者同士の思想の衝突で起きた長き時に渡る戦争、『発展戦争』。そんな戦争の休戦から早100年。魔法軍の国に住む高校生ジャン・バーンは精霊カーバンクルのパンプと出会いと共に両国の歪みに巻き込まれていく。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記

ノン・タロー
ファンタジー
ごく普通の女子高生である「武久 佳奈」は、通学途中に突然異世界へと飛ばされてしまう。これは何の特殊な能力もチートなスキルも持たない、ただごく普通の女子高生が、自力で会得した魔法やスキルを駆使し、元の世界へと帰る方法を探すべく見ず知らずの異世界で様々な人々や、様々な仲間たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく記録である……。 設定 この世界は人間、エルフ、妖怪、獣人、ドワーフ、魔物等が共存する世界となっています。 その為か男性だけでなく、女性も性に対する抵抗がわりと低くなっております。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

処理中です...