27 / 118
魔術大会
第27話 大会3日目:個人戦予選①
しおりを挟む
「さあ皆さんお待たせ致しました!これより魔術大会3日目、1年生個人戦の開幕です!!」
ワァァーーー!!
「司会・実況は2日目の3年生団体戦に引き続き、ベッジ・キャストがお送りします!!」
――――――――
今日は3日目と5日目に行われる1年生個人戦の初日である。
団体戦で優勝した時点で総合成績でも3位以内はほぼ確実なのだが、予選で敗退したりしたら十分覆されるし、どうせなら個人戦でも入賞したいので油断は禁物だ。
――――――――――
私とジークは選手用の席で司会を聞いていた。
「お互い頑張ろうね、カナ!」
「うん、そうだねジーク。今度は敵同士だ。」
「いつ戦うことになるんだろう?」
「ああ、それなら丁度…」
「それでは個人戦の対戦カードの発表です!」
司会者がそう言うと、コロシアムの中央の巨大な掲示板にトーナメント表が貼り出される。大体第2王子にプラスして団体戦で強かったメンツがそのまま出ているはずだから、注目すべきはジーク、ランドルト、ベークマン、そして第2王子ラクア・リアムールと言ったところか。
「あ、僕1試合目だ!」
「私は1番最後の試合…てことは戦うとしたら決勝だね。」
「おお!じゃあ決勝まで残らないと!」
「私と戦いたいの?」
「えっ?…あ、どうだろ、あんまり深く考えてなかった!でも1回手合わせはしたいかも」
「ハハ、そうだね。私もだよ」
さて、後私的に1番大事なのは第2王子である。ラクア・リアムールは…
「王子は第6試合だね!」
「うんそうだね。てことは私は準決勝で王子とぶつかるわけか。」
「僕は戦う機会無さそう!」
「私が勝つ前提?」
「もちろん!カナは強いもんね!それにカナも僕が決勝行く前提で話してない?」
「あ……確かにそうだね」
「お互い頑張ろう!」
「うん」
「あと注意したいのはランドルトとベークマンくらいだけど…」
「ランドルト君は第5試合だね!てことは準々決勝で王子とあたるのか!」
「それなら何となく王子が勝ちそうな気がするな…ランドルトが勝ったら勝ったで問題ないし。」
むしろその方がこちらとしては助かるのだが。
「あとベークマン君は…あれ?」
私も異変にはすぐ気がついた。なんと、トーナメント表にベークマンの名前が無いのである。団体戦で怪我こそしていたが、元々タフだし治癒魔法を使ってもらえばあれくらいの怪我は治るだろう。それにあれだけ筋肉隆々なのに、筋肉痛起こして動けないなんて間抜けなこともないはずだ。実に不思議である。
実際会場では「ベークマンは?」というような疑問の声がちらほら聞こえてくる。
すると司会者が口を開いた。
「えーベークマン選手に関してなのですが、本人から伝言を預かっているので読みあげたいと思います!…」
…伝言?
「…『団体戦で俺は自分の未熟さを知った。だからそんな半端なまま個人戦に出る気は無い。その代わり次戦うときは絶対勝つから待ってろよカナ・ベルナール』…だそうです!個人戦辞退の宣言と団体戦決勝で敗れたベルナール選手への宣戦布告だ!ちなみにベークマン選手がでるはずだった枠にはH組の補欠選手が入っています!」
…名指しかよ。正直ちょっと、いやかなり恥ずかしいのでやめて欲しい。というかそんなに目の敵にされていたのか私は。
「カナってば、変なのに目つけられちゃったね!」
「なんで私だけ…それを言うならジークとアランもだろうに……」
「まあ挑発するわ攻撃止めるわ剣折るわで特に凄かったからね、しょうがないよ!」
ジークの言葉にぐうの音もでない。
しかしベークマンのイメージといえばほぼ不良そのものだったのだが、思ったよりストイックな性格をしているようだ。これがいわゆる"漢"というやつか?……いや、やっぱり少し違う気がする。一応総合成績も争っているのだからちょっと無責任な気もするが、ベークマンに頼りすぎなH組の自業自得だなと思い直した。
何はともあれ強敵が1人減ったのはありがたい。これで第2王子戦にかなり集中できるというものだ。
「それでは!15分後から順次試合を始めていきますので、第4試合までに出場の選手は準備をお願いします!」
ワァァーーー!!
「司会・実況は2日目の3年生団体戦に引き続き、ベッジ・キャストがお送りします!!」
――――――――
今日は3日目と5日目に行われる1年生個人戦の初日である。
団体戦で優勝した時点で総合成績でも3位以内はほぼ確実なのだが、予選で敗退したりしたら十分覆されるし、どうせなら個人戦でも入賞したいので油断は禁物だ。
――――――――――
私とジークは選手用の席で司会を聞いていた。
「お互い頑張ろうね、カナ!」
「うん、そうだねジーク。今度は敵同士だ。」
「いつ戦うことになるんだろう?」
「ああ、それなら丁度…」
「それでは個人戦の対戦カードの発表です!」
司会者がそう言うと、コロシアムの中央の巨大な掲示板にトーナメント表が貼り出される。大体第2王子にプラスして団体戦で強かったメンツがそのまま出ているはずだから、注目すべきはジーク、ランドルト、ベークマン、そして第2王子ラクア・リアムールと言ったところか。
「あ、僕1試合目だ!」
「私は1番最後の試合…てことは戦うとしたら決勝だね。」
「おお!じゃあ決勝まで残らないと!」
「私と戦いたいの?」
「えっ?…あ、どうだろ、あんまり深く考えてなかった!でも1回手合わせはしたいかも」
「ハハ、そうだね。私もだよ」
さて、後私的に1番大事なのは第2王子である。ラクア・リアムールは…
「王子は第6試合だね!」
「うんそうだね。てことは私は準決勝で王子とぶつかるわけか。」
「僕は戦う機会無さそう!」
「私が勝つ前提?」
「もちろん!カナは強いもんね!それにカナも僕が決勝行く前提で話してない?」
「あ……確かにそうだね」
「お互い頑張ろう!」
「うん」
「あと注意したいのはランドルトとベークマンくらいだけど…」
「ランドルト君は第5試合だね!てことは準々決勝で王子とあたるのか!」
「それなら何となく王子が勝ちそうな気がするな…ランドルトが勝ったら勝ったで問題ないし。」
むしろその方がこちらとしては助かるのだが。
「あとベークマン君は…あれ?」
私も異変にはすぐ気がついた。なんと、トーナメント表にベークマンの名前が無いのである。団体戦で怪我こそしていたが、元々タフだし治癒魔法を使ってもらえばあれくらいの怪我は治るだろう。それにあれだけ筋肉隆々なのに、筋肉痛起こして動けないなんて間抜けなこともないはずだ。実に不思議である。
実際会場では「ベークマンは?」というような疑問の声がちらほら聞こえてくる。
すると司会者が口を開いた。
「えーベークマン選手に関してなのですが、本人から伝言を預かっているので読みあげたいと思います!…」
…伝言?
「…『団体戦で俺は自分の未熟さを知った。だからそんな半端なまま個人戦に出る気は無い。その代わり次戦うときは絶対勝つから待ってろよカナ・ベルナール』…だそうです!個人戦辞退の宣言と団体戦決勝で敗れたベルナール選手への宣戦布告だ!ちなみにベークマン選手がでるはずだった枠にはH組の補欠選手が入っています!」
…名指しかよ。正直ちょっと、いやかなり恥ずかしいのでやめて欲しい。というかそんなに目の敵にされていたのか私は。
「カナってば、変なのに目つけられちゃったね!」
「なんで私だけ…それを言うならジークとアランもだろうに……」
「まあ挑発するわ攻撃止めるわ剣折るわで特に凄かったからね、しょうがないよ!」
ジークの言葉にぐうの音もでない。
しかしベークマンのイメージといえばほぼ不良そのものだったのだが、思ったよりストイックな性格をしているようだ。これがいわゆる"漢"というやつか?……いや、やっぱり少し違う気がする。一応総合成績も争っているのだからちょっと無責任な気もするが、ベークマンに頼りすぎなH組の自業自得だなと思い直した。
何はともあれ強敵が1人減ったのはありがたい。これで第2王子戦にかなり集中できるというものだ。
「それでは!15分後から順次試合を始めていきますので、第4試合までに出場の選手は準備をお願いします!」
188
お気に入りに追加
692
あなたにおすすめの小説

異世界に転生したら?(改)
まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。
そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。
物語はまさに、その時に起きる!
横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。
そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。
◇
5年前の作品の改稿板になります。
少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。
生暖かい目で見て下されば幸いです。

底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった
椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。
底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。
ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。
だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。
翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。

ギルドを追放された俺、傭兵ギルドのエリートに拾われる〜元ギルドは崩壊したらしい〜
ネリムZ
ファンタジー
唐突にギルドマスターから宣言される言葉。
「今すぐにこのギルドから去れ。俺の前に二度と顔を出さないように国も出て行け」
理解出来ない言葉だったが有無を言わせぬマスターに従った。
様々な気力を失って森の中を彷徨うと、賞金首にカツアゲされてしまった。
そこに助けようとする傭兵ギルドのA級、自称エリートのフィリア。
モヤモヤとした気持ちに駆られ、賞金首を気絶させる。
行く場所が無い事を素直に伝えるとフィリアは自分のギルドに招待してくれた。
俺は仕事が必要だったのでありがたく、その提案を受けた。
そして後に知る、元所属ギルドが⋯⋯。
新たな目標、新たな仲間と環境。
信念を持って行動する、一人の男の物語。

雑魚キャラ転生 おっさんの冒険
明かりの元
ファンタジー
どこにでも居るような冴えないおっさん、山田 太郎(独身)は、かつてやり込んでいたファンタジーシミュレーションRPGの世界に転生する運びとなった。しかし、ゲーム序盤で倒される山賊の下っ端キャラだった。女神様から貰ったスキルと、かつてやり込んでいたゲーム知識を使って、生き延びようと決心するおっさん。はたして、モンスター蔓延る異世界で生き延びられるだろうか?ザコキャラ奮闘ファンタジーここに開幕。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる