乙女ゲームのヒロインに転生、科学を駆使して剣と魔法の世界を生きる

アミ100

文字の大きさ
上 下
27 / 115
魔術大会

第27話 大会3日目:個人戦予選①

しおりを挟む
「さあ皆さんお待たせ致しました!これより魔術大会3日目、1年生個人戦の開幕です!!」

ワァァーーー!!

「司会・実況は2日目の3年生団体戦に引き続き、ベッジ・キャストがお送りします!!」

――――――――

今日は3日目と5日目に行われる1年生個人戦の初日である。

団体戦で優勝した時点で総合成績でも3位以内はほぼ確実なのだが、予選で敗退したりしたら十分覆されるし、どうせなら個人戦でも入賞したいので油断は禁物だ。

――――――――――

私とジークは選手用の席で司会を聞いていた。

「お互い頑張ろうね、カナ!」
「うん、そうだねジーク。今度は敵同士だ。」
「いつ戦うことになるんだろう?」
「ああ、それなら丁度…」

「それでは個人戦の対戦カードの発表です!」

司会者がそう言うと、コロシアムの中央の巨大な掲示板にトーナメント表が貼り出される。大体第2王子にプラスして団体戦で強かったメンツがそのまま出ているはずだから、注目すべきはジーク、ランドルト、ベークマン、そして第2王子ラクア・リアムールと言ったところか。

「あ、僕1試合目だ!」
「私は1番最後の試合…てことは戦うとしたら決勝だね。」
「おお!じゃあ決勝まで残らないと!」
「私と戦いたいの?」
「えっ?…あ、どうだろ、あんまり深く考えてなかった!でも1回手合わせはしたいかも」
「ハハ、そうだね。私もだよ」

さて、後私的に1番大事なのは第2王子である。ラクア・リアムールは…

「王子は第6試合だね!」
「うんそうだね。てことは私は準決勝で王子とぶつかるわけか。」
「僕は戦う機会無さそう!」
「私が勝つ前提?」
「もちろん!カナは強いもんね!それにカナも僕が決勝行く前提で話してない?」
「あ……確かにそうだね」
「お互い頑張ろう!」
「うん」


「あと注意したいのはランドルトとベークマンくらいだけど…」
「ランドルト君は第5試合だね!てことは準々決勝で王子とあたるのか!」
「それなら何となく王子が勝ちそうな気がするな…ランドルトが勝ったら勝ったで問題ないし。」

むしろその方がこちらとしては助かるのだが。

「あとベークマン君は…あれ?」

私も異変にはすぐ気がついた。なんと、トーナメント表にベークマンの名前が無いのである。団体戦で怪我こそしていたが、元々タフだし治癒魔法を使ってもらえばあれくらいの怪我は治るだろう。それにあれだけ筋肉隆々なのに、筋肉痛起こして動けないなんて間抜けなこともないはずだ。実に不思議である。

実際会場では「ベークマンは?」というような疑問の声がちらほら聞こえてくる。

すると司会者が口を開いた。

「えーベークマン選手に関してなのですが、本人から伝言を預かっているので読みあげたいと思います!…」

…伝言?

「…『団体戦で俺は自分の未熟さを知った。だからそんな半端なまま個人戦に出る気は無い。その代わり次戦うときは絶対勝つから待ってろよカナ・ベルナール』…だそうです!個人戦辞退の宣言と団体戦決勝で敗れたベルナール選手への宣戦布告だ!ちなみにベークマン選手がでるはずだった枠にはH組の補欠選手が入っています!」

…名指しかよ。正直ちょっと、いやかなり恥ずかしいのでやめて欲しい。というかそんなに目の敵にされていたのか私は。

「カナってば、変なのに目つけられちゃったね!」
「なんで私だけ…それを言うならジークとアランもだろうに……」
「まあ挑発するわ攻撃止めるわ剣折るわで特に凄かったからね、しょうがないよ!」

ジークの言葉にぐうの音もでない。

しかしベークマンのイメージといえばほぼ不良そのものだったのだが、思ったよりストイックな性格をしているようだ。これがいわゆる"漢"というやつか?……いや、やっぱり少し違う気がする。一応総合成績も争っているのだからちょっと無責任な気もするが、ベークマンに頼りすぎなH組の自業自得だなと思い直した。

何はともあれ強敵が1人減ったのはありがたい。これで第2王子戦にかなり集中できるというものだ。

「それでは!15分後から順次試合を始めていきますので、第4試合までに出場の選手は準備をお願いします!」
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

ギルドを追放された俺、傭兵ギルドのエリートに拾われる〜元ギルドは崩壊したらしい〜

ネリムZ
ファンタジー
 唐突にギルドマスターから宣言される言葉。 「今すぐにこのギルドから去れ。俺の前に二度と顔を出さないように国も出て行け」  理解出来ない言葉だったが有無を言わせぬマスターに従った。  様々な気力を失って森の中を彷徨うと、賞金首にカツアゲされてしまった。  そこに助けようとする傭兵ギルドのA級、自称エリートのフィリア。  モヤモヤとした気持ちに駆られ、賞金首を気絶させる。  行く場所が無い事を素直に伝えるとフィリアは自分のギルドに招待してくれた。  俺は仕事が必要だったのでありがたく、その提案を受けた。  そして後に知る、元所属ギルドが⋯⋯。  新たな目標、新たな仲間と環境。  信念を持って行動する、一人の男の物語。

僕と精霊 〜魔法と科学と宝石の輝き〜

一般人
ファンタジー
 人類が魔法と科学の力を発見して数万年。それぞれの力を持つ者同士の思想の衝突で起きた長き時に渡る戦争、『発展戦争』。そんな戦争の休戦から早100年。魔法軍の国に住む高校生ジャン・バーンは精霊カーバンクルのパンプと出会いと共に両国の歪みに巻き込まれていく。

転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記

ノン・タロー
ファンタジー
ごく普通の女子高生である「武久 佳奈」は、通学途中に突然異世界へと飛ばされてしまう。これは何の特殊な能力もチートなスキルも持たない、ただごく普通の女子高生が、自力で会得した魔法やスキルを駆使し、元の世界へと帰る方法を探すべく見ず知らずの異世界で様々な人々や、様々な仲間たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく記録である……。 設定 この世界は人間、エルフ、妖怪、獣人、ドワーフ、魔物等が共存する世界となっています。 その為か男性だけでなく、女性も性に対する抵抗がわりと低くなっております。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

悪役令嬢、資産運用で学園を掌握する 〜王太子?興味ない、私は経済で無双する〜

言諮 アイ
ファンタジー
異世界貴族社会の名門・ローデリア学園。そこに通う公爵令嬢リリアーナは、婚約者である王太子エドワルドから一方的に婚約破棄を宣言される。理由は「平民の聖女をいじめた悪役だから」?——はっ、笑わせないで。 しかし、リリアーナには王太子も知らない"切り札"があった。 それは、前世の知識を活かした「資産運用」。株式、事業投資、不動産売買……全てを駆使し、わずか数日で貴族社会の経済を掌握する。 「王太子?聖女?その程度の茶番に構っている暇はないわ。私は"資産"でこの学園を支配するのだから。」 破滅フラグ?なら経済で粉砕するだけ。 気づけば、学園も貴族もすべてが彼女の手中に——。 「お前は……一体何者だ?」と動揺する王太子に、リリアーナは微笑む。 「私はただの投資家よ。負けたくないなら……資本主義のルールを学びなさい。」 学園を舞台に繰り広げられる異世界経済バトルロマンス! "悪役令嬢"、ここに爆誕!

処理中です...