乙女ゲームのヒロインに転生、科学を駆使して剣と魔法の世界を生きる

アミ100

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魔術大会

第18話 大会1日目:団体戦予選③

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「さあでは皆さん!続いて第2試合はC組対H組の試合です!」

「次はCとHか」

元素記号みたいな組み合わせだな、という言葉は飲み込む。

「今度はどうなるんだろうね!」


「それでは始め!」

ここで衝撃的なことが起こった。

「な…な…何が起きた!?H組ベークマン選手、C組をあっという間に倒してしまった!」

H組が、というかベークマンが、C組の1人を剣で一撃で気絶させ、それと同時に残りの2人を土魔法で吹っ飛ばし場外に追いやったのだ。この出来事に会場中がザワつく。

「おいおい嘘だろ!?1人で瞬殺かよ!」

「わああの人すごい!」

ジークはこんなときでも変わりない。

「ベークマンって……確か一般入試3位の?」

「あ!そうだ、僕入試会場で見た!確か細かい魔法操作は苦手だけど、運動神経と魔法の威力はピカイチだったよ!」

ブラム・ベークマン。焦げ茶の髪に黒い目で、身長190cmはあり筋肉隆々の大男だ。とても15,6歳とは思えない。武闘派で有名なベークマン伯爵家の次男で、本人も魔力210・属性土・傾向強闇という攻撃特化の魔法属性と、類まれなる身体能力を有している。

「なるほど。確かにあの土魔法、威力もスピードも他とは比べ物にならないね。」

「それだけじゃねえ…あいつ、相当剣の扱いに慣れてやがる。」

「確かに、アランとはまた違ったタイプの強さだね」

「決勝いったら絶対あそことだよな…」

「だね!その前に予選と準決勝だけど!」

「ハハッ、確かにそうだ!」

――――――――――――――

「えー気を取り直して予選第3試合、A組対D組!」

いよいよ私たちの番だ。3人でフィールドへと向かう。

「緊張する?アラン、ジーク。」

「僕は大丈夫!だって今日まで頑張ってきたし!」

「俺もだ!全力でやってやる!」

「そうだね、私も楽しみだ」

「それでは予選第3試合、制限時間は30分、始め!」

「こいつもかよ!?」

試合のゴングがなると同時に、ベークマン同様アランが剣を携え敵チームに突進する。敵チームは焦りながら魔法で応戦しようとする。

「させねえ」
バサッ!!
「アガッッ!!」

が、魔法が発動する前に1人切り捨てる。

「くそっ!アーススピア!」
「ソイルソード!」

残りの2人がアランを集中攻撃する。

「僕に任せて!」

そういうとジークはアランの周りに風のドームを発生させ、敵の攻撃を弾き飛ばす。いつぞやの魔法演習で丸太にやって見せたものの内側ではなく外側を攻撃するバージョンだ。

「助かった!」
「へへ、あとはカナよろしく!」
「うん」

私は既に敵2人の真横に設置してあった魔法陣を発動させる。すると人間が丸々飲み込まれる程の水が2人を押し流す。

「「うわあああ!」」
「そのまま流されて」

結局2人は魔法で反抗したが、私の無駄に多い魔力量から出る「洪水」の前に為す術なく場外となった。

「これは!3人の見事な連携プレーによってA組、D組に勝利した!」

ワーーー!!

会場から歓声が起こる。結果さっきのベークマンの動きを3人がかりで再現しただけなのだが、これくらいの方が観客は楽しめるようだ。

「3人ともすごかったわ!!!」

観客席の最前列からマリーの叫び声が聞こえてきたのでそちらに手を振る。アランの方を見やると案の定照れまくっていた。

「やったね2人とも!」

「そうだな!」

「良かったね、『とりあえずアランが突っ込もう』作戦」

「そのネーミング適当過ぎないか……」

「下手に凝った名前でなんのことか分からないよりは良くない?」

「いや、まあそうなんだけどよ……」

「とにかくうまくいって良かった!」

――――――――――――

「さあそれでは予選最後、第4試合はB組対F組です!」


「確か王子ってB組だよね?」

「うんそう、選手が誰かは確認してないけど、でてるはずだからよく見ておかないと」

「多分準決勝であたるだろうしな!」

しかしここで予想外のことが起こる。

「あれ、ラクア様は?」
「次席が出ないとかあるのか……」

なんと、第2王子は団体戦に出場していないのである。

「え、なんでだろう??あの人が代表に選ばれないとは考えにくいけど……」

「分からない……けど、私に手の内を見せたくなかったか、単純にめんどくさいからとかかな。あんまり協力してどうこうするの好きそうじゃないし……」

「どっちにしてもだいぶ身勝手だな」


「それでは第4試合、始め!」

「フレイムスピア!」
「グランドショット!」

この試合も第1試合同様魔法の打ち合いのようだ。ただそのときと違うのは…

「アクアウォール」

「B組ランドルト選手、水の壁で冷静に相手の攻撃を防ぐ!」

「その程度じゃ勝てませんよ……"アクアランス"」

「なんだよこの数!!」

「おおっと!今度は大量の水の槍で攻撃だ!」

水の槍は20個もある魔法陣から繰り出される。

「うわあああ!!」
「F組2人戦闘不能、残り1人です!」

「攻撃魔法はやや苦手ですが、問題無かったようですね。あとは御二方お願いします。」

「ウインドショット!」
「ファイアボール!」
「ぎゃあああ!」

「F組全員ダウン、勝者B組!」

――――――――

「ねえ、さっきの水魔法の人って誰だっけ?どこかで見たことあるような…」

「あの人は第2王子の従者だよ」

「ああ!前に王子見た時にいたね!」

エルマー・ランドルト。黒髪に水色の瞳をしていて眼鏡をかけている。身長は170cmとこの国の男子にしては小柄だ。ランドルト男爵家の三男で、第2王子ラクア・リアムールの乳母の子であり、従者であり、幼なじみだ。また彼は私含め2人いる推薦合格者のうちのもう1人で、魔力190、水属性、傾向弱光という、推薦合格者であることといい魔法属性といい、私とキャラダダかぶりな人物だ。

というか第2王子よ、すぐ近くに推薦合格者がいるではないか。それでもなお私を手元に置きたがるとはなんとも欲張りだ、水属性コレクターかなんかか。あと王子よりランドルトの方がよっぽど王子っぽい雰囲気だ。第2王子、そして攻略対象者があんなのでこの国もあの乙女ゲームも大丈夫なんだろうか。

「第2王子も相当らしいけど、従者までつえーんだな」

「そうだね、第2王子が出なかったのは、出なくても勝算があったからっていうのもあるかも。」

実際あの魔法操作能力の高さは厄介だ。それに相手チームの属性も私たちと同じ火、風、水だ。属性によるアドバンテージは取れない。

「次はB組とだよね、頑張らなきゃ!」

「そうだね。」
「おう!」
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