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新しい世界
第15話 魔術大会の代表決め
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「本日は1ヶ月後に迫っている魔術大会の代表決めをおこなおうと思います。」
第2王子との邂逅から約2週間、いよいよ魔術大会の代表決めの時期がやってきた。
私は第2王子に負けたら生徒会役員に入るという約束をした。よって、生徒会を極力やりたくない私は第2王子に勝たなくてはいけないのだが、そのためにはまず代表に選ばれないと話にならない。
代表は団体戦は各クラス3名、個人戦は各クラス2名選出される。一応団体戦と個人戦は別の代表を選べるが、原則個人戦の代表2名はそのまま団体戦にも出場するようだ。王子との約束の都合上、むしろ団体戦は出られなくてもいいので個人戦だけでも選ばれたい。
選出方法はクラスごとに委ねられているが、大体推薦か投票である。このクラスは何となく推薦で決める流れのようだ。入学してからというもの、比較的得意な魔法を伸ばしつつ、苦手な剣術もみんなに教わりつつ、運動量も増やして少しずつ改善してきたが、クラスメイトの評価はいかほどだろうか。
「では推薦したい人がいれば教えてください。」
「俺はロバン君がいいと思います!」
「僕もそう思います!ジークはなんでもできるし!」
まずジークの名が上がり、黒板に「ジーク・ロバン」と書かれる。実力も人脈もあるし、当然の帰結だろう。異論が出る様子もない。
「わあありがとう!じゃあ僕から推薦いいですか?」
「はいもちろんです、ロバン君」
「じゃあカナ・ベルナールさんで!」
なんと、ジークが私を推薦してくれた。彼は私と第2王子との話を知っているので、気を使ってくれたのだろう。ありがたいが急に申し訳なく感じてくる。
「皆さんはどう思いますか?」
「いいと思います!」
「当然賛成ですわ!」
「やっぱりベルナールさんは入れなきゃだよね」
どうやら他の生徒も了承してくれるようで安堵する。だがきっかけをくれたのはジークなので感謝しなくてはならない。
黒板に「カナ・ベルナール」と書かれる。
「とりあえず個人戦はこの2人でいいですか?他に候補が1人だけなら団体戦も兼任するということで。」
みんなが頷く。
「では少なくとももう1人、団体戦に推薦する人はいませんか?」
教室がシーンとする。どうやらジークと私はなんとなくみんな入れる雰囲気で、残り1人は決め兼ねているようだ。
特に声があがらなそうなので今度は私が手を挙げる。
「ベルナールさん、どうぞ」
「私はアラン・アゴーニ君を推薦します。」
教室内がザワザワする。
「理由を聞いてもいいでしょうか?」
「はい。彼の剣術スキルは学年でもトップクラスですし、魔法の扱いも元々近距離での操作はかなり才能がある上、入学当初よりかなり上達しています。それに私とロバン君を団体戦に出すのなら、私が遠距離アタッカー、ロバン君がアタッカー兼エンハンサー、アゴーニ君がタンク兼近距離アタッカーでバランスを取りやすいと思います。」
「普段から仲がいいから」というのも無い訳では無いが、今言ったのが1番の理由だ。
「なるほど、確かにそうですね!みなさんはどう思いますか?」
「……僕は賛成!」
「確かに剣でアランに勝てる奴いないもんな!」
「アゴーニ君はどうでしょう?」
少し沈黙が入る。本人の意志を聞いていなかったが大丈夫だろうか。
「……俺は、みんながいいって言ってくれるなら、やりたいです」
「いいぞアラン!」
「良かったわ!」
「では3人目はアゴーニ君で!」
黒板に「アラン・アゴーニ」と付け足される。
その後他の候補が出ることはなく、話し合いは終わった。
――――――――――――
「3人とも頑張ってね!応援してるわ!」
「ありがとう、マリー」
「……あのさ、カナさん」
「ん、どうした?」
「なんで俺のこと立候補してくれたんだ?」
「基本的にはさっき言った通りだよ。それに加えて代表決めの前からずっとソワソワしてたでしょ?出たいならぜひ出てもらおうと思って」
「……マリーさんでも良かったんじゃ?」
「いいえアランさん、私は授業の訓練くらいならいいけれど、あまり実践的な戦いは好きではないの。」
「私もそれは聞かされてたからマリーは避けたんだよ」
「そっか…でもなんか悪いな…俺が選ばれたのってカナさんのおかげだし…」
今日のアランは随分と卑屈モードだ。
「そんなこと言ったら私だって、ジークが第2王子のことで気を使って推薦してくれたから代表になれたわけだし」
「あれ、第2王子ってなんのことだっけ?」
「……え?」
「……?あ!カナ王子に負けたら生徒会役員にならなきゃいけないんだっけ??完全に忘れてた!」
「忘れてたのか……」
「……ハハッ、ハハハ!」
アランが突如笑い出す。
「アラン、笑わないでよ!」
「すまんすまん、しかしジークは相変わらずだな!……でもそうだな、代表になったからには頑張ろうぜ!」
「そうだね」
「うん頑張ろう!」
どうやらアランも吹っ切れたようで良かった。
さて、これから1ヶ月間、対第2王子戦へ備えつつ、クラスを勝利に導けるよう頑張ろうではないか。
「マリーにかっこいいところ見せないとね、アラン?」ボソッ
「!!頼むからからかうのはやめてくれ!!」
第2王子との邂逅から約2週間、いよいよ魔術大会の代表決めの時期がやってきた。
私は第2王子に負けたら生徒会役員に入るという約束をした。よって、生徒会を極力やりたくない私は第2王子に勝たなくてはいけないのだが、そのためにはまず代表に選ばれないと話にならない。
代表は団体戦は各クラス3名、個人戦は各クラス2名選出される。一応団体戦と個人戦は別の代表を選べるが、原則個人戦の代表2名はそのまま団体戦にも出場するようだ。王子との約束の都合上、むしろ団体戦は出られなくてもいいので個人戦だけでも選ばれたい。
選出方法はクラスごとに委ねられているが、大体推薦か投票である。このクラスは何となく推薦で決める流れのようだ。入学してからというもの、比較的得意な魔法を伸ばしつつ、苦手な剣術もみんなに教わりつつ、運動量も増やして少しずつ改善してきたが、クラスメイトの評価はいかほどだろうか。
「では推薦したい人がいれば教えてください。」
「俺はロバン君がいいと思います!」
「僕もそう思います!ジークはなんでもできるし!」
まずジークの名が上がり、黒板に「ジーク・ロバン」と書かれる。実力も人脈もあるし、当然の帰結だろう。異論が出る様子もない。
「わあありがとう!じゃあ僕から推薦いいですか?」
「はいもちろんです、ロバン君」
「じゃあカナ・ベルナールさんで!」
なんと、ジークが私を推薦してくれた。彼は私と第2王子との話を知っているので、気を使ってくれたのだろう。ありがたいが急に申し訳なく感じてくる。
「皆さんはどう思いますか?」
「いいと思います!」
「当然賛成ですわ!」
「やっぱりベルナールさんは入れなきゃだよね」
どうやら他の生徒も了承してくれるようで安堵する。だがきっかけをくれたのはジークなので感謝しなくてはならない。
黒板に「カナ・ベルナール」と書かれる。
「とりあえず個人戦はこの2人でいいですか?他に候補が1人だけなら団体戦も兼任するということで。」
みんなが頷く。
「では少なくとももう1人、団体戦に推薦する人はいませんか?」
教室がシーンとする。どうやらジークと私はなんとなくみんな入れる雰囲気で、残り1人は決め兼ねているようだ。
特に声があがらなそうなので今度は私が手を挙げる。
「ベルナールさん、どうぞ」
「私はアラン・アゴーニ君を推薦します。」
教室内がザワザワする。
「理由を聞いてもいいでしょうか?」
「はい。彼の剣術スキルは学年でもトップクラスですし、魔法の扱いも元々近距離での操作はかなり才能がある上、入学当初よりかなり上達しています。それに私とロバン君を団体戦に出すのなら、私が遠距離アタッカー、ロバン君がアタッカー兼エンハンサー、アゴーニ君がタンク兼近距離アタッカーでバランスを取りやすいと思います。」
「普段から仲がいいから」というのも無い訳では無いが、今言ったのが1番の理由だ。
「なるほど、確かにそうですね!みなさんはどう思いますか?」
「……僕は賛成!」
「確かに剣でアランに勝てる奴いないもんな!」
「アゴーニ君はどうでしょう?」
少し沈黙が入る。本人の意志を聞いていなかったが大丈夫だろうか。
「……俺は、みんながいいって言ってくれるなら、やりたいです」
「いいぞアラン!」
「良かったわ!」
「では3人目はアゴーニ君で!」
黒板に「アラン・アゴーニ」と付け足される。
その後他の候補が出ることはなく、話し合いは終わった。
――――――――――――
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「ありがとう、マリー」
「……あのさ、カナさん」
「ん、どうした?」
「なんで俺のこと立候補してくれたんだ?」
「基本的にはさっき言った通りだよ。それに加えて代表決めの前からずっとソワソワしてたでしょ?出たいならぜひ出てもらおうと思って」
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「そっか…でもなんか悪いな…俺が選ばれたのってカナさんのおかげだし…」
今日のアランは随分と卑屈モードだ。
「そんなこと言ったら私だって、ジークが第2王子のことで気を使って推薦してくれたから代表になれたわけだし」
「あれ、第2王子ってなんのことだっけ?」
「……え?」
「……?あ!カナ王子に負けたら生徒会役員にならなきゃいけないんだっけ??完全に忘れてた!」
「忘れてたのか……」
「……ハハッ、ハハハ!」
アランが突如笑い出す。
「アラン、笑わないでよ!」
「すまんすまん、しかしジークは相変わらずだな!……でもそうだな、代表になったからには頑張ろうぜ!」
「そうだね」
「うん頑張ろう!」
どうやらアランも吹っ切れたようで良かった。
さて、これから1ヶ月間、対第2王子戦へ備えつつ、クラスを勝利に導けるよう頑張ろうではないか。
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