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10 マゴニアの女の子
しおりを挟む昔、竹取の翁といふもの有りけり。
竹を取りつゝ、よろづの事に使ひけり。
その竹の中に、もと光る竹なむ一筋ありける。 あやしがりて寄りて見るに、筒の中光りたり。 それを見れば、三寸ばかりなる人いとうつくしうてゐたり。
連れ帰られた女の子は、翁とその妻に、大切に育てられ、3ヶ月がすぎる頃には、年頃の娘に育っていた。光り輝くほどに美しいので、輝夜「かぐや」と呼ばれるようになった。
求婚者が何人も現れるも、頑なに断り、その噂はとうとう主上にまで届く。
主上は無理矢理連れ帰ろうとしたが、女の子があまりに嫌がる為に、文通で心を通わすに留めた。
——月をみるよりよりに我、なれを思ふ月にひにけに
——みちてはかける月なりて、みましのこころふじつではべり
3年が経った頃、女の子は光の神と雷の神から告げられる。
「お前は十分に罰を受けた。今こそ、記憶を返してやろう。3度月が満ちた時、迎えにいこう。その時に、地上の穢れは記憶ごと祓われる。」
その日から、毎日、月を見ては涙を流す女の子に、翁と妻がどうしたのかと問うも、泣くばかり。
宥めすかしてやっと聞けば、
「私は遠い昔、この地に降りたいという願いのために罪を犯しました。罰として降りたこの地上は、夢で見ていたほども楽しくもなく、それは辛いものでありましたが、あなた達に出会って、ヒトの心に触れ、美しいものがヒトの中にあるのだと知りました。罪を許され、空に帰るお迎えが来る今となっては、何もかもが懐かしい。」
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