輝く人

彩柚月

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 長い時をかけて、竹は女の子の命を吸い取り、やがて、その命は収束し、枝の中に形を作った。

 小さな小さなその命は、竹の節を胎内として、育っていた。

 光の神と雷の神は、
 「これは困った。今は出せない。」
 「育つまで待つしかない。」

 やがて、女の子は人の形を成したが、その頃には竹が硬くなってしまって、割ることができない。

 光の神と雷の神は、
 「これは困った。このままでは隙間がなくなってしまう。」
 「ヒトが気付いて取り出してくれるように、光らせてみるか?」

 光の神は女の子を光らせてみるが、竹が分厚くて光が外に漏れてくれない。

 「電気を通す金を敷き詰めてみよう。電気を通せば光が漏れるだろう。」
 「それなら子を守る綿がわりにもなるように絹を着せておこう。」

 根を通して、それらの物を子となった女の子の周りに敷き詰める。

 「これで、誰か気付いてくれると良いが。」
 「節が下の方にあるうちに、割ってくれると良いが。」

 
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