輝く人

彩柚月

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3 テンペスタで。

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 テンペスタは風の国。
 いつも風が吹いている。
 国の周りは雲が覆っている。
 いつもどんより曇り空。
 雲はゴロゴロ電気が走る。

 テンペスタの空人の糧は水。
 マゴニアから貰った雲で水を作る。
 テンペスタの空気はいつもジメジメ。

 「父、あれは何?」
 「ヒトという生き物だね。」

 「父、あれは何をしているの?」
 「ヒトが雨乞いをしているね。」

 「父、雨を降らせてあげないの?」
 「神雷の様が禁止したから、ヒトに関わってはいけないよ。」

 「ねえさま達は時々地上に降りているのに。」
 「あれは水浴びをしにいくんだよ。決してヒトの来ない山の頂きに。時々羽衣も洗わなくては、飛べなくなるからね。」
 
 「私も飛べるわ。次は私も行きたいわ。」
 「羽衣の長さが足りなくて、空に昇ってこられない。長くなるまでは降りてはいけないよ。」
 
 女の子の羽衣は、今は自分の背より少し足りない。

 「いつになったら、羽衣は長くなるの。」
 「大きくなったら、お前の背より長くなる。」

 「父、私はいつ大きくなるの。」
 「あと100年くらいかな。」

 がっかりしょんぼりする女の子に父は言う。

 「マゴニアに連れて行ってあげよう。水を持って行って、雲を持って帰るんだよ。そうすれば気晴らしになるだろう。」

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