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ディクソンという人
しおりを挟むクレイド国は長子相続制に対し、アクエスト国は男子相続制だ。
したがって、アクエストは少々男尊女卑のきらいがあるものの、それはそれ。国同士は上手く付き合ってきた。
そして、ここが難しいところではあるが、アクエストが男子相続制を取っている理由。それは、性別により引き継がれる遺伝子を重視しているとのことだ。どうやら、遺伝子の中には、男性のみにしか引き継がれないものと、女性にしか引き継がれないものがあるらしい。
そのうちの、男性のみが引き継ぐ遺伝子を大切にしているらしい。
国を起こした最初の王が男性であったということだ。王家には初代国王の血が正しく流れている。
そのことを、忌々しくもアクエストの国民全員が知っている。
アクエスト国とクレイド国は隣国だ。どちらもそれなりに長い歴史があり、隣国であるが故のありがちな諍いによる、今の時代からは考えられないほどの敵対国として緊張状態の時代もあった。戦争もあった。貿易の妨害合戦もあった。
長い戦いの中で皆が疲弊し、やっと取り付けた平和条約。
それ以降、始めは平和の維持の為に。今では繋がりを強固にする為に。婚姻による繋がりを繰り返した。
つまり遡ればリチャード王子と私は遠く血が繋がっている。
そんな中、ディックの曽祖父は当時のクレイドの姫と繋がるべく、婿にきた。当時、クレイド国では疫病が流行り、貴族平民共々、多くの命が失われた。
土が汚れたのだと歴史書は語る。
ともかく、国の舵取りをする人員が著しく減ってしまったクレイド国に、新しく公爵家を起こす名目で、当時のアクエス国の王弟が来てくださったのだ。それがアクア家。
アクエスト国への感謝と、アクエストの民であったことを誇りにとの皇家の計らいで、アクエストに纏わる言葉を苗字にしたとのことだ。
その後、アクア公爵家は、国を助け功績を残し、勢力を拡大し、再び皇家から姫が嫁がれている。ディック様の母上様だ。彼は順位は低いものの皇家継承権も持っている。
今や、帝国となったクレイド国への貢献は歴代のアクア家の功績が計り知れない。
さらに、忌々しいことに、アクア家は初代から今まで男子が長子である為、アクエスト王家血が正しく流れているのだ。
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