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巨大な家計簿
しおりを挟む移しきれていない政務のひとつに、王宮内の予算がある。従業員の給与から施設の修理、細々とした備品の追加などなど。要するに家計簿だ。
お金の采配とは、その規模がどれほど大きくとも、全て家計簿の巨大版でしかない。国家予算なんて大仰な言い方をしようが、扱う金額がどれほど多額だろうが、所詮は「王宮」のための家計簿でしかない。
巨大な国家予算の中の「王宮」に充てられた予算の配分をどう動かそうが、橋は直らないし、道の整備もできない。
大切な事であると同時に、管理体制を整える上では「王宮の家計簿」は後回しにせざるを得ない些事であった。
基本、税金で賄われている以上、この家計簿は隅々まで管理され、1シルバーも無駄にしたり不明であってはならない。
なので、この大事なめんどくさい王家の家計簿はエリザベスが自ら担当している。
大量の予算申請書を見て溜息が出てしまうのも仕方ない。めくってみたところで、結局は可否をつけるなり額の調整をするなり、1枚ずつ処理するしかないのだが、パラパラとめくってみたくなるのも仕方ない。
そうして少しだけ自分を慰めつつ、スイッチを強制的に入れる儀式みたいなものだ。
現実逃避しているとも言えるが、パラパラとめくる手がふと止まった。
王と愛人の服飾代。
もうひとつ、今度は大きな溜息がでた。
少しも躊躇せず、「否」と押して処理済みの箱にヒラリと入れた。
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