公女は祖国を隣国に売ることに決めました。

彩柚月

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王太子の事情

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どうしたら良いんだ。

学院を卒業したら、マリアと会えなくなる。その後、あのロザリアと夫婦となり、この先の長い人生を……無理だ。嫌だ。そんなこと、耐えられる気がしない。

なんとかしてマリアを手元に置きたい。侍女にしたらどうだ?仕事をさせてしまうことにはなるが、私の側付きにして、何もさせなければ良い。

ダメだ。王宮の使用人は伯爵以上の家からしか取れないことになっている。男爵令嬢のマリアは王宮に上がれない。どこかの養子にするか?


受け入れてくれる家はあるだろう。子が居ない伯爵家なら喜ぶはずだ。もしくは没落しそうな家に少し金を積めばあるいは…。金はどこから調達する?私の個人資産で足りるか?


早速当たってみると、子が居ない伯爵夫婦が見つかった。自分達が没した後は、爵位返上をするつもりで手続きをするつもりらしい。それを止めさせ、マリアを養子に迎えて貰えるように話すと、マリアが承諾するなら、ということだった。

そうだった。まだマリアに相談をしていなかった。急いでマリアに事情を話すことにする。

「え…うん…。ちょっと、時間が欲しい。」

「何故だ?悪い話ではないだろう?」

「それはそうだけど…両親に相談もなく決められないし、それに、それって、つまりは伯爵家の跡取りになるってことじゃないの?」

「あ…」

そうか。そうしたら、後継教育で忙しくなり、かつ、跡取りのマリアの所には、求婚者が殺到するだろう。

私は自分の浅はかな考えに自己嫌悪に陥る。

「話はなかったことにしてくれ…」

「ううん。話自体は良い話だから、両親と相談してみる。その伯爵家の名前を教えてくれる?」

「いや、しかし、」

「それに、もしかしたら行儀見習いとかで、王宮に上がれるかもしれないし。」

ダメだ。そんなことをしたら、一緒に居られなくなってしまう。と、言いたかったが、私以外の男と結婚するかもしれないことに考えが及んでいないのか、単純に養子に入れることにには前向きなマリアにモヤモヤと嫉妬心が湧き起こるものの、結局、思いの他、嬉しそうなマリアにねだられ、伯爵の名前を告げてしまった。


マリアは、私と離れることに抵抗はないのだろうか…。

ダメだ。それなら尚更、私の側に縛りつけなくては。マリアは私の癒しなのだ。誰にも渡したくない。


考えを巡らせる。

どうすれば、マリアを側に置ける?

寝る時間になって、布団の中に入ってからもグルグル考える。

「…別に伯爵家の跡取りになっても良いんじゃないか?」

ふと閃いた。世の中には家令という、家と領地の運営をする職業の者が居たはずだ。それを雇えば、跡取りという名前さえあれば良いのだ。

伯爵令嬢どころか、伯爵になってしまえば、王宮に居ることに問題はなくなるし、家令に家の運営を任せて、私の側に居ても良いだろう。そして、その後継には、私とマリアの子を1人伯爵家の子にすれば良いのではないのか?

そうだ。最悪、マリアが養子になるように、その後継者も養子を迎えれば良い。

そうとなれば、あとの問題は、愛人を持てない条件のロザリアとの婚約だ。

それも、ロザリアと婚約しているからダメだというのなら、ロザリアとの婚約がなくなれば良い。

確か…確か。破棄は瑕疵がなければできないが、解消はお互いが納得すれば良いのではなかったか。

私は嫌なのだから、ロザリアさえ納得させられれば、解消できるのではないか。


何か上手く行く気がしてきた。問題は解決できる。



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