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◆ブラザーコンプレックス
しおりを挟む兄受け
司波 朔汰(しば さくた)
弟攻め
司波 律喜(しば りつき)
◇◇◇
『サクにぃちゃんっ!だっこ!』
『ほら、おいでリツ』
舌ったらずでよく俺の後ろをついてまわり懐く2個下の弟、律喜。そんなリツが世界一可愛くて俺はメロメロだった。こんな可愛い弟を産んでくれた両親には感謝だ。
そして、いつしか時が経ち、俺が18歳でリツは16歳になった。
「サクにぃ、ネクタイ結んで~」
「またか?まったく、仕方ないな~。にぃちゃんがいないと何もできないんだから」
高校生にもなったというのに相変わらず俺を頼って甘えてくるリツ。うん。すっごく可愛い。
あの頃は天使みたいに可愛かった見た目だったリツも成長に連れて俺の身長を追い越し、顔も父親似のイケメンになっていた。それでも中身は変わらないからいくつになっても弟は可愛いと思ってしまうのは必然だった。ちなみに声だって色気のある低音ボイスで毎回俺は痺れています。
「よし、できたぞ」
キュッとネクタイを結んだ。
「ありがとう、サクにぃ」
お礼に、チュッとおでこにキスされた。
サービスまでくれるなんて可愛いな、リツは。
弟にとてつもなく甘い俺が『次からは自分でやりなよ』なんて絶対言えるはずがない。ご褒美もくれるなんて最高の弟だよ。
こうやって甘えてくれるのも今しかないかもしれないし、今後大人になっていくにつれ鬱陶しく思われないかとそう考えるだけで泣きそうだ。
一生このままでいてくれ、なんて無理だよな…。
人はいつしか変わってしまうが、俺の弟への愛は変わらない。ブラコンとでもなんとでも言ってくれ。
頼られるのが嬉しくてずっと弟を甘やかしていこうと思う。そこは曲げない。
「サクにぃ、早く学校行かないと遅刻しちゃうよ」
「そうだったな、リツと一緒にいると楽しくて時間の感覚忘れてた」
「サクにぃ可愛いな~。そう言われたら学校なんて行きたくなくなってしまうじゃん。…というわけで学校休んで僕とイチャイチャする?」
リツは自身の低音をいかして耳元でエロく囁き、後ろから俺を抱きしめる。
「こーら。なに言ってんだ。にぃちゃんも休みたいけど、お前が中学生の頃『学校行かないで!』って言われてほとんど休んじゃったし、今年受験生だから休んだら留年しちゃうだろ」
本音はイチャイチャしたいけど。
「じゃあ、留年してよ」
「え~。そうしたらみんなのにぃちゃんになっちまうぞー。リツだけのにぃちゃんじゃなくなる嫌だろ?」
「それは絶対やだ!やっぱり留年しないで」
先ほどより抱きしめられている力を強くする。苦しいがそこも可愛いから許す。
「だろ?それに学校でも会えるし、今日も朝早起きして弁当作ったから一緒食べよう」
ちなみに俺は、朝早起きしていつもリツに弁当作っている。
いつだったかなー。
リツに『サクにぃの作った弁当が食べたい』と言われて、それがもう日課になっている。
料理なんて最初の頃は全然ダメだったが今は得意分野でもある。そうさせてくれたのはリツのおかげだ。
だから、リツの彼女になる相手は俺という壁を越えないとダメだ。そうでないと大事な弟を渡せない。本音言うと寂しいからリツに彼女なんてできて欲しくない。そんなわがまま通るわけないが。
「サクにぃは受験生だし、それなら仕方ないよね。でもサクにぃの作った弁当食べれるから頑張る」
「よしよし、いい子だ」
すっぽりと抱きしめられているため、頭を撫でることができないからその代わり腕をなでなでした。
そして、いつものように手を繋いで一緒に学校へと向かった。
「じゃあ、またお昼な」
「離れるの寂しいね」
仲良く繋いでいるお互いの手。リツは寂しいのかなかなか手を離してくれない。そういうところも全部可愛い。まあ、これもいつものことだけど。
「困ったな~」
嘘だよ。全然困ってません。
むしろもっとやってくれても構わない。
それから遅刻ギリギリまで一緒にいて、チャイムが鳴る前にそれぞれ自分のクラスへと向かった。
今日も、視線すごかったな…。
いつも弟と登校すると周りの視線がすごかった。特に女子なんか、きゃあきゃあ言ってる。
まあ、俺の自慢の弟だし、その上あの素晴らしい顔面偏差値だ。モテないはずがない。兄の特権で一緒にいさせてもらっているが本当誇らしく思っている。
「おーい、朔汰」
「どうした、鈴木」
同じクラスで友人の鈴木。席は隣同士だ。鈴木には悪いが下の名前は忘れた。というか覚える気がない。だって、弟以外興味ないし。
「また朝、恒例の10分の詰め込み愛やってたな」
「なにそれ」
詰め込み愛って何だよ。
「弟とやっていただろ。お互い見つめ合ってさ。それにじゃれあう姿は目の保養って言ってたぞ、女子が」
「は?」
「わかってないみたいだな。もう佐伯に聞いたほうが早いかも」
ビクッと前の席の佐伯さんが反応した。
「ちょ、ちょっと私に振らないでよ!」
迷惑そうに顔を真っ赤にしている佐伯さん。
「なんだよ。さっきまで兄弟愛萌えー!とか叫んでいたじゃん」
「そ、それは言わない約束じゃない!!!朔汰くんに変に思われたじゃない!あんたのせいでもし恒例の兄弟イチャイチャ見れなくなったら責任取ってよね!チッ、もう知らない!!」
なぜか舌打ちされた。もしかして俺、鈴木のせいで佐伯さんに嫌われてしまった?
とんだ被害だ。良かった、鈴木の下の名前覚えてなくて。
4時間目。古典の時間だ。
すると、窓から騒いでいる声が聞こえてきた。
俺の席は窓際のためよく外が見れる。
あ。あれはリツのクラスだ。
リツのところは体育の時間なんだな。
ずっと見ていると…あ、こっち見た。
リツもこっちに気づき目が合った。小さく手を振ったら、あっちも嬉しそうに手を振ってきた。
それから古典の授業なんて集中できず、ずっとリツを外から眺めていた。
にぃちゃんがいないと何もできないとか朝言ったがあれは冗談だ。ネクタイは自分で結ぼうとせず甘えてくるが他は何でもできるリツ。
自慢話をすると、弟は頭脳明晰で運動神経抜群。おまけに顔面最強で、性格も穏やか。
俺だけに甘えてくるところが可愛い。
やっぱり弟というのは可愛い。
他のやつに兄弟の話を聞くと弟は生意気な生き物っていう回答が多かった。うちは違う。
弟は神様だ。
みんなはこの良さを知らないからもったいないな。
それから走るかっこいいリツを眺めて満足した。
そして、お昼。
リツがいつものように俺のクラスまで迎えにきて、誰もいない屋上の階段で弁当を食べる。
「いただきまーす」
お行儀良く手を合わせて、俺が今朝作った弁当を頬張るリツ。
「う~~~ん!おいしい!!!」
「ふふっ、それは良かった」
いつも美味しそうに食べてくれるので、こっちも嬉しい。とても反応がいいのでもっと作りたくなる。
「やっぱり、サクにぃの作った弁当はすごく美味しい」
「こらこら、ゆっくり食べな」
箸を勢いよくすすめるので止める。それじゃあムセるぞ。
「体育で消耗したせいかお腹空いてたんだ」
「お腹空いてる時は何でも美味しく感じるよね」
「あ、今サクにぃ意地悪したでしょ?お腹が空いてなくてもサクにぃのは美味しい!」
「あ、バレた?でも本当に褒めてくれるからにぃちゃんも嬉しいよ。作りがいがある」
「これからも僕だけのために作ってね」
「当たり前だ。リツが飽きるまで作るつもりだし」
「また意地悪した!飽きるなんてことないから」
ぷくぅと口を膨らませ、拗ね始めた。
「ははっ、リツは俺のこと大好きだな~」
「大好きだよ。それにサクにぃも僕のこと大好きでしょ?」
「なんだ、知ってたのか」
「見え見えだからね」
それもそうだ。だって俺たち隠す気ないし。
それから二人して笑い合った。
「ごちそうさまでした」
弁当を食べ終え、俺はリツの膝に頭をのせる。所謂、膝枕だ。リツは俺の頭を優しく撫でる。
昨日はリツが俺に膝枕をして休憩していた。交互にやっている。それが自然とルーティンみたいになっている。
「体育の授業の時、上からずっと見てたけどやっぱりリツの走る姿かっこいいよね」
「見てくれてたんだ!なんか照れる」
「いつも見てるよ。だって俺窓際だから」
「そっか。僕、めちゃくちゃ頑張った。褒めて?」
またリツの甘え坊が始まった。それにデレデレになる俺。
「偉い、偉いぞリツ!周りで見ていた女子たちもキャーキャー騒いでたぞ、この人気者」
「あれ?サクにぃ、もしかして嫉妬してるの?」
「そりゃあ、するぞ!寂しく感じたがリツがかっこいい姿なんて俺の方がいつも見てるし!それにこんなに素晴らしいリツがモテないはずがないだろ」
「サクにぃ可愛いね。もっと嫉妬していいんだよ。…ねぇ、もし僕に彼女ができたらどうする?」
「普通に嫌だよ」
そう答えた瞬間、チュッと軽く唇に何かが触れた。
え…?
一瞬のことで戸惑った。
「ごちそうさま」
ゆっくり、リツの顔が離れていく。
え、
「え、え…!?」
「サクにぃ、可愛い」
キ、キスされた!?
しかも膝枕されながら。
慌てて自分の口元を押さえる。
ちょ、心臓がバクバクなんだが。
なぜキスされたんだとぐるぐる頭の中で混乱する。
「ドキってした?」
「す、するだろ!」
「ふふ、僕もすっごくドキドキしてる。…手かしてみて」
俺の手をとり、そのままリツの胸の方にもっていかれた。そして、リツの鼓動が手のひらに伝わる。
リツもドキドキしてる。
何で?
いつものキスとは違くて、唇にされた。
「この意味わかる?」
「わからない」
「じゃあ、考えといて。それまで僕からは口利かないから」
「え!なんで…急に」
そう言って、俺を一人残して出て行った。
え…どういうことだ?
その日、いろいろなことがありすぎて頭が回らない。それに毎日一緒に帰っているのにさっき『今日は先帰るね。意味がわかるまで帰らないから』って連絡がきた。
いつもは俺のクラスが終わるまで廊下で待っているのに今日は姿がなかった。
ほ、本当に俺一人で帰るの?
いつぶりだろって思うくらい、久々に一人で帰った。
どうして急に態度が変わってしまうんだ。もしかして、兄離れってやつじゃないだろうな!?それなら泣くぞ。
でもキ、キスされたし、どういうことだ…。
少しだけ会えないだけで、もうリツ不足。それにまだリツは家に帰ってきていない。不良にでもなったら悲しい。
それから数時間後、玄関からドアが開く音がした。
俺はすぐに玄関に向かう。
「リツ、遅いぞ!」
「まだ20時じゃん」
良かった。返事はしてくれる。
無視されるんじゃないか心配した。
「…それより今日のこと考えた?」
「か、考えたって…」
「じゃ、わかるまで話しかけないで」
そ、そんな…。
初めて、キツい口調で言われた。
どうして急に意地悪するんだよ…。自分でもわかるくらい目に涙が溜まっていく。
一応、最低限の返事はしてくれるが避けられているのには変わりない。
それに、なぜキスしたのか聞くと答えてくれない。こっちから話しかけないと絶対会話なんて無理だ。
以前と違う態度に戸惑ってしまう。家の中でも目も合わせてくれない。
「リ、リツ…おはよう。ネ、ネクタイ結んでやろうか?」
「自分でやるからいい。わかるまで話しかけないでって言ったよね?それともまたされたいの?」
ネクタイも結ばせてくれなくなった。
学校も一緒に登校できなくなった。
たちまち『あの司波兄弟がケンカ!?』って話題になり学校中で大騒ぎになった。
「朔汰くん…もしかしてケンカしたのって私のせい?」
不安そうにクラスメイトの佐伯さんが話しかけてきた。
「え、なんで?違うよ」
「この前、鈴木のせいで…変なこと言われたでしょ」
そう言えば、何か言われた記憶があるがもう忘れていた。
「大丈夫だよ。佐伯さんのせいではなくて、俺がその…多分、悪い」
「さ、朔汰くん!?」
ポロポロと勝手に涙が流れる。
「おい佐伯!何、俺の朔汰泣かせてんだよ」
「す、鈴木!佐伯さん関係ないから!俺が勝手に泣いただけ」
「よしよし。朔汰は今つらいよな。俺の胸かせてやるよ」
鈴木は俺が泣いているのをみんなに見られないように胸をかしてくれた。意外といい奴なんだと思った。
「鈴木!下心丸見えなんだけど!しかもあんたとのなんか全然見てて萌えないからー!朔汰くんが汚れちゃう!」
「今、下半身と戦っているから話しかけないでよ。佐伯」
「やっぱり下心じゃん!!ケンカしていることをいいことにあんたのせいで余計変な輩が集まったら許さないから!私は固定cp命だからやめてーーー!!律朔しか勝たんのよーーーーッ!!」
二人の話が耳に入らないくらい俺はリツのことで頭がいっぱいだった。
つらい。にぃちゃんつらいよ。
リツは俺がいなくても大丈夫なのか?
そう考えただけで余計辛くなった。
学校が終わったら、リツのクラスに行こう。でも行ってもリツは考えるまで話を聞いてくれない。
キスの意味…。
自分の唇に触れる。
心臓がうるさい。
俺、変だ。
もしかして、俺…リツのこと。いやいや。
だって俺たち兄弟で男同士だし。
何回もずっと同じことを考えてしまっていたら、放課後になっていた。帰る前に急いでリツのクラスへ行くと、目にしたのはリツが女の子と一緒に歩いた。
嫌だと思った。
それを見て胸がズキっと音を当てた。
兄貴失格だ。
でも俺にあんなことしといて自分は女の子と仲良くしているなんて…。
「リツ!」
女の子と二人で行かないで、と思いながら呼び止めた。
「えっ!生の朔汰先輩!!」
女の子が俺を見てびっくりする。
そりゃあ、驚くよね。俺たち今ケンカ中ってことになっているから。
「…なんで、来たの?」
「べ、別にいいだろ…。リツの意地悪!え、えっと…そ、その子は?」
聞いたのはいいが、もし返答が彼女とかだったらショック。
「サクにぃには関係ないでしょ」
リツはその子を隠すように俺を睨む。
初めて睨まれてしまった。
俺は女の子に嫉妬してしまう。
…なんだ、これ。
情けない。
「サクにぃ?」
「リツのバーカ!!もう知らないからな!」
負け犬の遠吠えみたく、最後に放った言葉はまるで小学生だ。しかも泣いてその場から泣いて逃げるなんて。
…くそっ。
あぁ、俺って、そっか。
リツのこと、ちゃんと好きなんだ。
もちろん、恋愛の対象として。
さっきまで男同士とか兄弟だとかで悩んでいたけど、ちゃんと好きなんじゃん。
でもそれを言えなかった。
自覚するのが遅すぎた。
きっと、嫌われた。
「君、一人?」
どこかの路地裏でうずくまって泣いていると、知らない誰かに話しかけられた。
見上げると、20代くらいのチャラい男の人だった。
「見て分かりませんか」
どう見ても今、一人にしてほしいんですけど。そっとしてほしい。
「強気で可愛いね。こんな綺麗な子がこんなところで何泣いてるの?」
「あっち行ってください」
「ますます気になっちゃうなー」
チャラ男の手が伸ばされた時だった。
「あの兄貴に触れないでくれます?」
リ、リツ…?
「てめぇ、邪魔すんな!」
殴りかかってきたチャラ男を素手で止めたリツ。
「警察呼びますよ」
「チッ」
敵わないと思ったのかチャラ男はどこかへ行った。
「な、なんでここに…」
「GPS」
怖っ。てかそれよりも
「た、助けてくれてありがとう。でもさっきの女の子は…」
「それよりサクにぃが大事だから」
「リ、リツ~っ!」
「泣き虫なサクにぃ。一緒に帰ろ」
リツのことになると涙が止まらない。
俺の喜怒哀楽はリツでできている。
それから家に帰り、俺はこの気持ちを言葉にして伝えようと思う。リツには隠し事したくない。
「お、俺、あれから考えたんだ…。で、でも兄弟で男同士…なのにって」
声が震える。
リツは優しく俺の手を握った。
「いいからゆっくり聞かせて」
「離れて気づいたんだ。あとキスされた時ドキドキが止まらなくて、ずっとリツばかり考えていた。そ、その俺、リツのことが好きなんだ!もちろん恋愛として」
勇気を振り絞って告白したら、リツは俺の頭を撫でたあと抱きしめた。
「よく言えました。やっと言ってくれた。サクにぃ、僕もサクにぃのこと大好き。もちろんサクにぃと同じで恋愛としてだよ」
「リツ…っんン」
考える時間もあたえない隙に深いキスをしてきた。
「サクにぃ…サクにぃ…」
「待って、ここ玄関だから」
「僕の部屋に行こう」
それから、たくさんリツの部屋でキスをした。
その朝。
「サクにぃ~、ネクタイ結んで」
「自分で結べるんじゃ…?」
「何言ってるの?結べないよ」
「全く仕方ないな~」
今日も相変わらず弟に甘い俺でした。
鈴木からは『仲直りしたのか…ちぇっ。てかさ前よりイチャイチャの度合いがやばくなってない?』なんて言われた。
【リツside】
「朔汰、今日も可愛いね」
「っ!またにぃちゃんをからかっているだろ!」
可愛いと言われるのが嫌らしい。
恋人になって、サクにぃから朔汰と名前で呼ぶようになった。
朔汰は可愛い。母親似の綺麗な顔をしている。性格も可愛いし、昔から僕一筋のところも全部可愛い。本人がなんて言おうが可愛い。
「今日も弁当作ってくれた?」
「当たり前だろ。今日はお前の大好物のハンバーグを入れてやったぞ」
「やった!ありがとう。食べるの楽しみ」
さっきも言ったがこんな綺麗な顔をして性格も可愛い上に料理もうまいなんて。僕の嫁はなんでもできるな~。しかも僕のためにうまくなったっていうのもまた堪んない。
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朔汰を変な目で見るな。
朔汰は生まれたときから僕だけ。
誰にも邪魔はさせない。
「…っ、ま、待ってリツ!!は、はずかしい」
「朔汰、大丈夫だよ。何度もしたでしょ」
今日は家に僕と朔汰しかいない。好きな人を前に我慢できるほど人間ができていない。
余裕がなくなる。
「ンんっ、んンッ」
「ほら。今奥まで入ってるのわかる?」
「んっ、はぁ…っぁッんンン」
「ココ、キモチイイんだね。あ、やば…っ僕もイキそう」
それからたくさん二人で気持ち良くなった。
「朔汰、愛しているよ」
「…っ、俺も」
【高校卒業した朔汰の話】
俺は、高校を卒業し、大学生となった。リツと離れるのは嫌だが2歳差という壁がある。でも家では一緒にいられるし。
あと、もうすぐリツの誕生日がある。自分の稼いだお金で何か買ってあげたいと思い、初めてアルバイトをすることにした。
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「ごめん。課題が多くてさ」
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「二人の時間が減っちゃう。嫌だよ」
「ごめんな。ほらおいでリツ」
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リツはまだ高校生なのに株とかやってて儲けているらしい。なんて凄い奴だ。
「心配かけてごめんな。これからはちゃんとリツに言うね」
「絶対そうしてね。でも時計ありがとう。大事にする」
ちなみに、俺の誕生日にはリツから指輪をもらいました。
【完】
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