ヤンデレBL作品集

みるきぃ

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◆狂弟 -きょうだい-

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性格が歪んだ不良兄受け
柚野 百千(ゆずの ももち)


優等生弟攻め
柚野 億一(ゆずの おくいち)




◇◇◇




俺は、あいつよりも劣っている。

それは十分に自覚しているつもりだ。


俺には持っていないものをあいつは持っている。誰からでも愛されているあいつ。全部持っているくせに何が不満なんだ。


親も友人も恋人も、全部あいつに奪われた。心の底から憎い。俺のことが嫌いなら放っておけよ。こっちだって、昔から何もかも愛されている弟が嫌いだ。



みんな、あんな奴のどこがいいんだ。仮面をかぶった優等生の顔。俺は知っている。お前がとてつもなく性格が最悪なことを。


小さい頃の話。


『ももちにいちゃん、大好き』

『俺はお前なんか嫌いだ』


そう言ったら、すぐ泣く弟。


『また、百千は億ちゃんを泣かせて!』


と親に怒られる。そうだ、いつも俺が悪者扱い。本当のことを言っただけなのに。だって、俺がせっかくできた友達の大切なおもちゃをこいつは壊して俺のせいにした。そりゃあ嫌いにもなる。誰も俺の話なんか聞かない。弟の言ったことを信じる。親に怒られている俺を見て、奴は泣いているフリをしながら、俺を見てニヤリと笑っていた。

それを見た時、心底嫌いになった。



そして高校生になった現在でも続いている。




「おはよう、ももち」


「・・・」


一番見たくない顔を朝起きた時に見るなんて最悪だ。わざわざ起こしに来るな。ドアの鍵をかけて寝たはずなのに、なぜいつも平然な顔して当たり前のように入ってくるんだ。


弟の名前は億一。俺の名前は百千。名前の数でも負けている。そこも気に食わない。


歳は俺が1コ上。昔は『ももちにいちゃん』なんて呼ばれていたが、今は下に見えているのか呼び捨てだ。


「ももちのこのプラチナブロンドの髪色、綺麗でいいね。とても似合っている」

「きも。触んな」


人の髪をいじくりまわす億一の手を払う。こんなに嫌っているのに、近づいてくるので本当迷惑だ。それから俺は話しかけてくる弟を無視して、制服に着替えて部屋を出た。弟を俺についていくように、一緒に部屋出る。




「百千また髪色明るくなって!」

「うるせ、ババア」

「相変わらず、口が悪いわね。少しは億ちゃんを見習いなさい。まったく…なんでこうも違うのかしら」


俺を見て呆れた母親。


「母さん、ももちはね、こう見えてすっごく可愛いんだよ。パンツの柄がクマだった」


こいつッ!

全然フォローするつもりない。つか、さっき着替えている時に見やがったな。別に何をはいていようが勝手だろうが。


「億ちゃんは優しいわね。まぁ3年前に買ってあげたものを大事に使っているのはいいことだけど、母親に対する態度がなっていないのよね」


ここから早く出て行きたい。高校卒業したら絶対、この家から、この家族からおさらばするつもりだ。もう少しの辛抱だ。

優等生の弟。不良の兄。両親も弟には甘くなる。弟の億一は学校でも人気者だ。陰で俺は出来損ないの兄だと言われる。


中学で初めてできた彼女もこいつに奪われた。

『私、実は億一くんが好きなの』と一方的に振られた。言いたくないが弟はもっとレベルの高い学校に進学できたはずなのに残念ながら、よりにもよって俺と同じ学校に通いやがった。理由は『通学に便利だから』というものだった。


家でもあんな奴の顔見るのが嫌なのに学校でも見ないといけないとか最悪だ。俺は弟に奪われるのが怖かった。だから、もう一人でいる方がマシだと思い、学校では一匹狼。髪を派手に染め、誰も近づけないような雰囲気を出している。校則はとくに厳しくない学校なので大丈夫。ゆるい方だ。あと、こんな見た目だが授業は真面目に聞いている。なので、成績も悪くない。




「ももちいる?」


昼休み。女子が騒めき出した声が聞こえたと思ったら、一番見たくない顔がクラスに現れた。普通、兄の教室に来るか?頭がおかしい。最悪だ。バレないように早く逃げよう。俺はすぐに席を立ち、教室を出た。


だけど、秒殺で見つかった。



「あ、ももち待ってよ」


「ついてくんな」


「じゃあ、こっち向いて」


奴は俺の腕を掴んだ。


「触るな!」


嫌がっている俺をよそに億一はそれでもかってくらい力を込め離さない。涼しい顔してむかつく。


「はい、これ弁当。一緒に食べよう」


「いらねぇし、お前なんかと食いたくねぇ」


飯がまずくなる。


「本当つれないな。ツンツンしちゃって…まぁそこも可愛いけど」


「気持ち悪いこと言うな。あと、何度も言うが教室に来るな」


前から言っているのにいうことを聞かない。


「それは無理だよ。ももちが心配なんだから」


「それ迷惑だから。本当、お前なんか嫌いだ」


同じ空気を吸いたくない。



「なんで…そんなこと言うの。僕はももちしか見ていないのに酷いよ」


また俺が悪者扱い。




「お前のそういうとこ、マジ無理だから。離せよ」


手を振り払って、俺はそのまま歩き出した。



「こんなに優しくしているのに…、ももちを振り向かせるには優しくしなきゃ…いいの?」


後ろで俺を見つめる弟の目は歪んでいたとは知らない。


「…うっ!や、めろ」


なぜこうなる?弟は完全におかしくなった。ある日突然、俺を殴ったり、蹴ったりと暴力を振るうようになった。


「はは、やっとこっちを向いてくれた。最初からこうしていればよかったのかな?ふふ…ももちが悪いんだよ?あ、血が出ちゃったね」


「んんっ!」


口の端の血を拭うかのように、キスをしてきた。弟は狂っている。



「ももち、ももち、ももち。すっごく可愛い。大好き、大好きだよ」




そして、狂ったかのように俺の名前を呼びながら何度も犯された。

兄弟で男同士なのにこんなのおかしい。


弟から逃げたい。





【完】


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