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◆厨二病ナルシスト
しおりを挟む厨二病ナルシスト受け
枢木このみ
攻め
葉室廉也
◇◇◇
僕はすべてにおいて完璧だ。生まれた時から皆から愛され、可愛がられて大切に育てられた。
「はぁ…、なんて美しいんだろうか…」
自分が美しすぎてため息がこぼれる。鏡と睨めっこ。うーん…、睨めっこというよりは見つめ合いっこかな?もちろん、映っているのは僕だけど、この美しさは見惚れちゃう域に達している。朝からかれこれ自分顔を見つめ拝んで1時間は経っている。まぁいつもの日課だけど。あぁ、これは早くギネスや世界遺産に登録してもらわないといけないレベルの美しさだ。
しかし僕は、有名にはなってはいけない星に生まれているのだ。なぜなら偉大な魔力を持っているからである。有名になってしまうと厄介な敵に狙われてしまうリスクがあるのだ。そんな面倒な事態に正直なりたくない。まぁいざ危険な目にあったらすぐに封印している魔力を発動させるがな。だがこの偉大なパワーで世界が滅んでしまうのは面白くないのでなるべく使いたくないのが本音。平和が大事。この地球にそんな魔力を持っているのは僕だけ。選ばれしものとでも言っておくか。力は皆を守るために授かったものだから過ちはおかしてならない。
「あぁ、僕って見た目だけではなく、優しいし性格まで完璧だよね」
そう鏡の自分に話しかけている時だった。コンコンと誰かが扉の音をノックする。
ん?何者だ。せっかく美しい顔に浸っていたというのに邪魔するのは。もしかして悪の手先ではないよな?この僕の美しさを妬んで。まぁ無理もない。気持ちはわかる。なんせ僕は完璧だから。
「このみ様、早くここ開けて」
聞こえた声は聞き覚えのある声だった。あぁ、なんだあいつか。扉を開けると、
「このみ様!!」
と、すぐ僕に飛びつきスリスリしてきた。
「よくもまぁ毎日飽きないものだな」
「飽きるわけがない。それよりこのみ様今日も素敵だ」
「そうかそうか、もっと言ってくれ」
こいつは僕の熱烈な信者の葉室廉也。ここは全寮制の学校であり、来なくていいといつも言っているが毎朝迎えに来てくれる。僕も本当罪な男だ。
葉室との付き合いは長い。僕と葉室はド田舎出身で住民もかなり少なかったところで育った。小・中学生の頃は、わずか全校生徒10人前後で同級生は葉室のみ。その頃から葉室は僕を慕っていた。葉室は、僕には劣るがそれなりにかっこいい部類にはいるイケメンだ。
僕を様付けするのは昔からのこと。
また同じこというけど、葉室は、僕には劣るがかなり喧嘩が強い。だから僕の隣にいることを許してやっている。
昔から葉室は僕が言うことに『すごいね!このみ様は何でも知っているんだね』と僕をいいように引き立ててくれているので気分がいい。
高校は都会でと昔から決めていたため、この全寮制の学校に入学した。そして葉室も僕についてきたってわけ。
中学卒業の際に、『このみ様!都会には悪者が多いと聞くのでこれをプレゼントします!どうか被って下さい!!』と、ヒーローものの仮面を渡された。最初、は?と思いいらないと断ったが、『何を言っているんだ!このみ様のその美貌に失神するものが増えて、いずれ敵を呼び寄せちゃうかもしれない』と真剣な顔で言われたので、それもそうだ思い、学校では仮面を被っている。僕の素顔を見て、先生の公認済み。美しさ故の配慮だ。
現在僕は、平穏な生活を送っている。…っていうのは嘘だ。
なんだ、これは。
僕の机に『厨二病乙』『ナルシすぎキモ』『痛すぎ仮面』などと書かれていた。すぐに葉室によって消されるけど。誰が一体こんな幼稚なことをするのかといつも不思議に思う。仮面で素顔を隠していても満ち溢れるオーラは隠せないのかな?ふふ、全くみんな僕がそう美しいからって僻むな。それにこんな悪口痛くも痒くもない。仕方ないことだと腹を決めていた。
「おい、そこを退いてくれるか?」
教室の入口で通り道を塞いでいた一般生徒に丁寧にそう言い、僕を見るなり嫌な顔されたが退いてくれた。
『あいつ生意気』『葉室を盾にするなんて卑怯者だよな』なんて声が聞こえたが無視した。
生意気ってなんだよ。意味が分からない。
丁寧に『そこを退いてくれるか?』って言っただけだ。
僕と葉室は同じクラスで席が隣同士。隣で見ていた葉室に『さっきの僕、失礼な言い方だったか?』って聞いたら『ううん。優しかったよ』って返ってきた。うん、そうだよな。僕が正しかったよな。あいつらが変なだけ。
「そうだ、葉室。昨日さ、魔力の加減ができなくて、いろんなものを焦がしてしまったんだ。だから今日の夜お前の料理食べさせてくれないか?」
「もちろんいいよ。このみ様と一緒にいられるだけで幸せ。偉大な魔力を持っているからコントロール大変だよね」
と頭をなでなでしてくれた。
『葉室もこんな変なやつに付き合わなくても』『葉室くんは優しすぎるよ』『あんな奴、葉室がいなかったら何もできないくせに』と外野がうるさい。
言っとくけど、僕の方が葉室より強いんだぞ。なぜなら偉大な魔力を持っているから。みんなわかっていない。勘違いしている。まぁ、僕は優しい心を持っているので、人に対してそんな卑怯なことはしない。
すると、僕と葉室が話しているのにも関わらず、割って入ってきたクラスメートの女子。
「ねぇ、葉室くん。今日、空いている?」
その女子は、僕よりかなり劣るがちょっとした美人で有名だった。
「今日予定入っているからごめんね」
「え~そんなこと言わないで。どうせ予定って言っても仮面くんのことでしょ?たまには私たちにも構ってよ」
女子は葉室の腕を掴み、胸を当てていた。
「ごめんね、俺はこのみ様優先だから」
「なんで~。…ちょっとあんたね。葉室くんを独り占めにしないでくれる?」
女子が葉室に断られてイラついたのか僕にそう言ってきた。
「別に独り占めなんかしていない」
「してるじゃん!!だったら今日、葉室くんを貸してよ!絶対私たちといた方が楽しい」
「貸すなんて葉室は物じゃないんだぞ!それに僕といた方が葉室も楽しいに決まっている!!」
「は?調子に乗らないで!この際言うけど、いつも意味不明な厨二病発言しかしないあんたのことなんて誰も好きになんかならないんだから」
「意味不明な発言って…?誰も好きに…?」
「みんなあんたのことなんて嫌いよ!自覚ないの?きもいんだけど」
グサッと胸に刺さる。
やばい…、泣きそう。
仮面越しだから泣いてもバレないからいいけど、今のはきつい。
今日料理作ってくれるって葉室は言ってくれたけど、本当は嫌だったり…?いつになく不安になる。
すると、隣で聞いていた葉室がドンッと机を蹴った。
「お前、最低だな。このみのこと馬鹿にするのもいい加減にしろ、殺すぞ」
低め声で、かなり怒っている葉室に対して、女子は黙ってどこかへ行った。
いつも僕のこと様付けして呼ぶけど、呼び捨てされて呼ばれたのは初めてで驚いた。
「このみ様、大丈夫?」
今にも泣きそうだった僕を守ってくれて、選んでくれたことが嬉しかった。
その日の夜。
「葉室、料理作ってくれてありがとう。美味しかった。…あと今日僕のこと庇ってくれて嬉しかった」
「俺はこのみ様が一番だから、あんなこと言われて我慢できなかったし許せなかった」
「ありがとう。なんで、みんな僕に酷いこと言うんだ?田舎にいた時と全然違う」
慣れなくて泣いてしまう。
「やっぱり都会は怖いね」
「うん…。敵に見えてくる。あーぁ、こんなことになるなら、田舎にいた時、葉室と二人だけの時が楽しかったな」
「…っ!このみ様!!」
「なんだよ、すぐに抱き着くなよ。…なぁ、葉室いつものして欲しい」
「…いいよ」
葉室は僕をベッドに運んだ。そして僕は目を閉じ、葉室の唇が僕の唇と重なった。口の間から溢れ出る唾液。息も途切れ途切れ苦しくなるも気持ちがいい。
『えっちなこと友達同士でもするんだって、このみ様。だから俺としない?』と中学の頃、言われてずっとこの行為が続いている。キスをしながら、葉室が片手で器用に僕の服を脱がしていく。ギシッと、ベッドの軋む音が部屋に響く。僕は裸になり、葉室は僕のを握ってそれを上下運動させた。
卑猥な音が僕の耳を刺激してその度に恥ずかしくなる。
「っ…ンぁ、ん、はむ…んぁ、ろ」
「ッ、もっと?」
葉室は僕のお尻に手を伸ばしてきた。その瞬間、全身がビクッとはねた。
「指いれるね」
グニュリ、と長い指を一本入れてきた。
「ぁッ、は、んぁ…っ」
「次は二本目」
体内に二本の指を感じ、バラバラにうごめき、抜いては入れてをリズミカルに繰り返した。
「もういいよね」
そう言い、ゆっくりと葉室のがはいってきたと思ったら、葉室は腰を振るのを早くした。自然に力が抜けてしまう。
指でされた時以上の快楽が全身に走りビクンと震えた。
「このみ様、ちゅっ…ッ大好きだよ、」
「僕も好き…っンぁ」
もう僕は葉室がいないとダメみたい。
【葉室廉也side】
小・中学校は俺とこのみの二人だけの世界だった。高校生になると全寮制で、田舎にいた時と比べ物にならないくらい人で溢れていた。
このみは、本当に可愛い。
厨二病なところとか自分大好きなところとかたまらなく愛おしくて尊い存在。
どうやったらこのみが俺だけになるかを考えた。
押してダメなら引いてみろ作戦は絶対しない。それは頭おかしいやつがすること。そんなことしたら絶対離れていくから俺はしない。まず俺がこのみと離れるなんて無理。
クラスのみんなはこのみが俺のことを独り占めしているって言っているが実際独り占めしているのは俺の方。
綺麗な顔に仮面までさせて、ね。
「大好きだよ、このみ」
一生そばにいてね。
寝ているこのみを抱きしめた。
【完】
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