ヤンデレBL作品集

みるきぃ

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◆別れたら嫌がらせを受けた

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主人公受け
八前蒼汰


浮気攻め
西田翔馬



◇◇◇





「西田。もう俺たち別れよう」

俺は、目の前にいる彼氏、西田翔馬に別れを告げた。



「なに言ってんの。それ本気?冗談でも怒るよ」


今にも殴りかかってきそうな雰囲気を醸し出す。なんでお前が怒っているんだよ。


「本気だし、冗談でもないよ。第一、悪いのは西田だろ。他の奴と浮気しやがって」


ことの発端はお前だ。浮気はこれで何回目だよ。俺は何回も浮気をされて許せる優しい男じゃないから。もうお前に対する想いもなくなった。


「はっちゃん大好きな俺が浮気なんてするわけないだろ」


「なんだよそれ。ふざけるな。あれが浮気じゃなかったらなんていうんだよ」


こいつは俺がいる目の前で、何度も他の奴とキスしたり、それ以上のことを…。考えただけで胸糞悪い。



「俺は、はっちゃん以外の奴のことなんてどうでもいい」



「気持ち悪いこと抜かしてんじゃねぇよ。お前はそう言えば、すぐ許してもらえるとおもってんだろ。もうお前とは無理だ。さようなら、学校でも話しかけてくんな」




俺はそう言い残して、奴の目の前から離れた。二度と顔を見たくないけど、不可抗力的に、学校では目にするだろうし。だって、同じクラスだ。



ちなみに俺、八前蒼汰。18歳。昨日別れた西田とは2年間付き合っていた。

もう、辛かった日々にも別れられて心がスッとしている。



そして、次の日。

今度は俺だけを見てくれる奴と出会いたい。そんなことを思いながら、気まずさ100%だけど西田と同じクラスへと足を踏み入れた。




「おはよう、はっちゃん」



昨日別れたばかりなのに、堂々と俺に挨拶しやがった。



「そこ退いてくんない?俺の席なんだけど」



「やーだ」



「お前、俺が昨日言ったこと忘れてないだろうな」


「そんなことより、俺のここに座っていいよ」



おいで、と言わんばかりに西田は自分の膝を叩いた。


「話になんねえ。あ、小森。俺と席交換して」


「は、八前くんっ、いいよ。…ぼ、僕の名前知ってくれてたんだ」



空気を読んだのか小森はすぐに譲ってくれた。話したことないけど、名前くらい知っている。おかしなことを言う小森にとりあえず今は感謝した。



すると、西田がものすごい怖い顔して、












「…俺以外の奴と話してんじゃねぇよ」


そう言っていたなんて知らない。



そして、西田と別れてから数日経った日のことだった。


「なんだこれ…」




自分のロッカーを開けると、私物が無残な形になっていた。



「誰がこんなこと…」


俺は、思考が止まった。


「おはよう、はっちゃん」


「うわ、」



俺は、誰かの声に驚きながらも、すぐにロッカーの扉を閉める。



「どうしたの、そんなに慌てて」



「お、お前かよ…、てか話しかけてくんなよ」



俺は、話しかけてくる西田を無視して、先にクラスに向かった。


何で、俺のロッカーがあんなことにって考えていたそばから、 


「なんだ、あれ…」



教室に入ると黒板には、『男が好きなビッチ八前』と殴り書きで書かれていた。しかも机の上にはゴミがたくさん置かれていた。



「うわ、誰だ、こんなことした奴」



後から教室に入ってきた西田も黒板を見て黒板消しで消してくれた。


「はっちゃん、あんなの気にしちゃだめだよ」



消したとすぐに俺に駆け寄ってきて、机の上のゴミも片づけてくれた。何がどうなってんだ…。俺、何かしたか?周りが一瞬にして信じられなくなった。…怖い。もともと、友達もいないし、誰にも迷惑かけていない。


俺は、こいつにも浮気もされて別れたら、次は学校では嫌がらせを受けるなんて、ついてねぇな。




何事もなかったかのように授業が始まるが俺は息が詰まりそうだった。


クラスにいるのは耐えられなくなって、教室から出て帰ることを決めた。














「はぁ…、何なんだよ」



家に帰ると、すぐに布団の中に潜った。


もう、一生出たくないと思った矢先、ピンポンとインターホンが鳴った。スルーしていたら何度も連打して鳴らしてきた。



「あぁ、もう誰だよ!」



宅配便か?とイラつきながらも玄関の扉を開けた。



「…は、八前くん、急にごめんね」



「こ、小森?」



息を切らして、走ってきた様子だったクラスメイトの小森。


「話したいことがあってきたんだ」


「話したいこと…?」



あんなことがあってから今は誰とも話したくなのに。



「昨日僕、帰りに見ちゃったんだ」



急に真剣な顔で話し出す小森。



「見たって何を…」


声が震える。



「あの黒板に「はっちゃん!」


小森の後ろから現れたのは、西田だった。



「に、西田?お前なんでここに」


俺の言葉に西田はにっこりと笑って、


「はっちゃんが心配だったから」


と言った。不覚にも今弱っている俺は心が少しだけ温かくなった。



「に、西田くん?」


小森は顔を曇らせ、引きつった。


「あれ、なんで、小森が一緒にいんの」


先ほどとは、うってかわって声が低くなった西田。



「八前くんごごごめん!また今度話すね!!じゃ」



西田の迫力にビビったのか、小森は逃げるように帰って行った。



「あ、帰ってしまった…」



結局、小森は俺に何を伝えにきたのか?と疑問だけが残った。



「はっちゃん…」



西田はそう俺を呼び、目の前に来ると、優しく俺を抱きしめた。


「おい、西田なにすんっ!」


離せと言おうとしたが突然、キスをされた。



「はっちゃんっ、はっちゃんっ」


気持ち悪いくらい俺の名前を呼びながら深いキスを落としてくる西田。


「やめ、っ、ん」



俺の話なんて聞こうとせず、西田が満足するまで我慢することしかできなかった。



「唇、腫れちゃったね」


やっと、キスを終わらせてくれたのはいいが、おかげで俺は唇がヒリヒリしている。だってキス中、噛んできたし。



 「お前、しつけぇんだよ」


唇を拭った。


「家はいっていい?」 



西田のその言葉に今、ここが玄関の前でしかも外だったということに気がついた。


最悪、近所の人が誰も見ていないことを祈ることしかできなかった。




「俺、はっちゃんともう一度付き合いたい」



家の中に入り、ソファに腰を下ろすと西田がそう言ってきた。




「無理」



だって、俺たちもう終わった仲じゃん。何を今更…。




「なんで、そういうの。はっちゃんはもう俺のこと嫌いになった?」




「嫌いもなにも、お前が浮気したせいだろ!」




「それは、はっちゃんを守るためなんだよ」





「は…?」




俺を守るために、浮気ってなんだよ。





「言いたくなかったけど、俺はっちゃんともう一度付き合いたいから言うね。アイツら、はっちゃんに悪いことされてほしくなければキスさせろとか抱きしめろとか言ってきたんだ」



「何だよそれ…」



「最近、嫌がらせにあっているでしょ。原因はそいつらがやったんだと思う」




西田は、本当のこと言ってごめんね、と付け足した。



浮気も全部俺のことを考えて仕方なくやったってこと?




「もっと、他に方法はなかったのかよ…」



浮気以外で。


「ごめんね、はっちゃんを守りたいと思ってすぐに考えることができなかった。逆にそれではっちゃんを傷つけていたと後から後悔した」




その言葉に涙が溢れてくる。




「俺、…みんなから嫌われてるの?」
 

自分で言ってて、辛くなる。



もしかしたら、何気にみんなから人気のある西田といつも一緒にいるから、よく思わない人がいたかもしれない。



「俺だけは嫌ってないからね」



俺の涙を拭って、俺が安心するように頭を優しく撫でた後、抱きしめてくれた。




もう、俺を見てくれる人は、目の前にいる西田だけだと思った。



「西田…、なんで俺なんか構うの」



「何でって、大好きだから」



それじゃあ、理由にならない?と、おかしく笑う。




それから俺らは、また一からやり直すとかのように、キスをした。







【西田side】




俺の可愛いはっちゃん。

大好きなはっちゃん。



俺には、はっちゃんだけが全てだった。




「西田くん。ちょっといい?」



ある日の放課後、美人で有名な東雲菜々に呼ばれた。





「あのね、西田くんって八前くんと仲が良いよね?」



頬を赤く染めながらそう聞いてきた。


嫌な予感がした。



はっちゃんは、かなりモテる。他が放っておくわけないと思っていたが非常に不愉快だ。



それから、この女にアドバイスということを理由に、はっちゃんは経験豊富な人が好きと嘘をつき、キスやなんやらやって、はっちゃんへの好意を俺へと向けさせた。




そして、次々現れるはっちゃんを狙う薄汚い奴ら。



お前らなんか、はっちゃんに相応しくない。




でも、このせいではっちゃんから別れを告げられた。


正直、焦った。



それから、はっちゃんをまた手に入れるため俺だけしか頼る人いないという選択肢を作った。


そして、弱っているはっちゃんは俺を選んでくれた。



もう一生離さないし、これからはっちゃんに近づいてくる奴は、前みたいなことはせず、手段を選ばない方法で消すことに決めた。





「はっちゃん、愛してるよ」


そして、泣いた目を真っ赤にして寝ているはっちゃんにキスを落とした。




もう、逃げないでね。




【完】



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