ヤンデレBL作品集

みるきぃ

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◆好きすぎて前が見えない

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泣き虫ネガティブ受け
西川 隆太(にしかわ りゅうた)


勘違い暴力男攻め
相良 拓也(さがら たくや)




◇◇◇






「たくやっ…やめ、て…痛い…よ…」



僕は泣きながら相良拓也という男にそう言う。一応付き合っている彼氏だ。


僕、西川隆太は今、彼にDVを受けている。


所謂。デートDVってやつ。





「お前、浮気しただろ」


彼は、僕の髪を引っ張りながらそう言う。



「浮気なんてしてない…っ!!」



浮気なんかしたことない。



僕が好きなのは、拓也だけ…浮気なんてしない。


どうしてこんな酷いことするの?






「嘘をつけ、隆太。……じゃあこの男は誰なんだよ」




拓也は、携帯を取りだして、その画面に映っているものを僕に見せた。




「こ、これって…」


拓也の携帯の画面に映し出されていたのは、僕と仕事仲間の加藤くんだった。


多分、この日は、残業で一緒に夜まで仕事をしていたときのかもしれない。




「見てみろ。こんな笑顔で笑ってさ。…そんなに俺を怒らすのが楽しい?」




そう言う拓也の表情は、不気味で暗く、僕の恐怖感が溢れさせるものだった。




…でも、ちゃんと拓也に伝えなきゃ。




怖いけど真実を言わないと彼がおかしくなりそうで僕は、恐る恐る口を開いた。




「た、拓也?違うんだ…これは、仕事仲間の加藤くんでこの日は残業で一緒に…」


「だから?何」



僕の話がまだ終わってないというのに彼は、遮って聞いてくれない。


「俺、言ったよね?俺以外の男に喋ったり近寄ったりすんなってさ」



すると彼は、僕の両手を強く掴んだ。



「なんで素直に言うこと聞かないの?ねぇなんで?」



掴んだ手を痛くなるまで力を入れられる。



「だ、だって…っ…しょ、しょうがないもん…。仕事なんだから…イっ!」



「は?仕事だから、だって?ふざけんな。だったら今すぐ仕事辞めろ」



「な、なんで!!」



せっかく働けた仕事なのに。



「お前が仕事したいって俺に言っただろ?俺、その時なんて言ったと思う?」



「えっ…?」




「仕事は、してもいいけど約束は守れって言ったんだ」



やく…そく…?



「他の男と二人きりでいないこと。……そう言ったよね?お前は、俺のなんだ。だから他の野郎と一緒にいんな。わかった?」


「う、うん…」



僕は、拓也の顔を合わせずコクンと頭を下げて頷いた。



「おい、どこ見てんだよ?俺を見て頷け、バカ」




拓也は、そう言って僕の顎を掴み、顔を無理矢理上げた。



こんなの…こんなの…僕の知っている拓也じゃない!拓也は、もっと優しかった。こんな風に殴ったり、暴言吐いたり、怖い顔したりしない。


僕が知っている拓也は、優しくて、誰より僕を大切にして、いつも笑顔で笑っていた。

そんな彼に僕は、惹かれたんだ。


いつからこんな風になったんだろう…。


拓也から告白されて僕は、嬉しかった。

付き合った前は、優しく接してくれたのに付き合った途端、束縛してきたり今の拓也ができあがった。





じゃあ…拓也をこんな風に変えたのは

―――僕のせい?


あぁ、なんでわからなかったんだろう。






全部、全部、全部―……

僕が悪いんだ。




「ごめん…拓也…」


許してとは言わない。

だけど、前の拓也みたいに優しく笑ってよ…。

ねぇ、お願いだから。


そんな怖い顔して僕を見ないで。


もっと優しくして、ねぇ…拓也。






「わかった。今日は許す―」



やっぱり拓也は、優しいな…。

こんな最低な僕を許してくれるなんて。


「でも、また次同じことがあったら一生許さないから。覚悟しといて」


「わ、わかった。僕は拓也だけだよ」



僕は、約束した。

きちんと、守った。



だけど、過ちをおかしてしまった。


仕事場では極力人を避けたはずなのに、帰りに加藤くんにふいに肩を抱き寄せられ飲み会に誘われた。

ちゃんと断った。

だけど、その場面を拓也に見られてしまった。





「ねぇ、俺言ったよね?次同じことしたら許さないって。覚悟しといてとも言ったよね?」


「うん…ごめんなさい」


「もうお前を家から外に出さないから」



「た、拓也、ちゃんと、聞いて欲しいんだ!」


「お前を監禁する」


「待って。ぼ、僕、近くに加藤くんがいるなんて知らなくて」


「俺以外の男の名前呼ぶんじゃねぇよ!!」


「あっ、やめ…いた…ぃ」





「おい、聞いてんのか?なに、泣いてんだよ?浮気者が」



もう、僕は拓也を傷つけてばかりのだめ人間。


泣きたいのは拓也のはずなのにどうして、涙がこんなに出るのかな…っ。







だから、いいよ。





拓也、僕を閉じ込めて。




【完】
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