ヤンデレBL作品集

みるきぃ

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◆キスフレ

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受け
羽咲 三矢(はさき みや)

攻め
湯山 紘遥(ゆやま ひろはる)


その他攻め
佐田




◇◇◇






今まで17年間生きてきてキスをしたことがない。そんな俺、羽咲三矢。




「なー、紘遥ー、」

「どうした?三矢」



「キスってどんな感じなの」


「え?」


紘遥は、目を見開いて食べていたポテチを落とす。




「いや、だからキスだよ、キス。どんな?」


女子にキャーキャー騒がられているモテ男の湯山紘遥。とても人気がある紘遥は、よく彼女を取っ替え引っ替え。相変わらず、イケメンな顔に腹がたつ。



…俺は今まで彼女もできたことないし、あぁ、もう察してくれ。


すると、紘遥からごくりと息をのむ音が聞こえた。




「み、三矢知りたいの?」


「うん。知りたい」



このままじゃ、一生彼女ができないかもしれない。





「三矢」



「ん?」



「目閉じて」



なぜか、俺の肩に手を置き、柄にもなく緊張している紘遥がいた。


どうして?と疑問に思ったがとりあえず、紘遥に言われた通りに目を閉じた。




すると、軽く唇に何かが触れた。



え…?




まさか、と思って目を開いたら紘遥とキスをしていた。




「っ!んんっ!」


驚いてすぐにでも離れようとしたが紘遥は俺の後頭部に手を回してそれから唇の隙間から口の中へと舌を入れて深いキスをした。


ちょ、な、何これ…。俺は動揺し過ぎて、頭がパニックになった。


そして、すぅっとお互いの唇から糸が引いて離れた。



「…っ、な、何すんだよ!」


口元をゴシゴシと拭った。




…ありえない。


男同士でキスとか何だよ。





「だって、三矢。キスのこと知りたいっていうから」




「誰が実践しろって言ったんだよ!」



俺はだな、キスの感想を聞きたかったんだよ。



まさか、こんな形で俺のファーストキスが奪われるなんて…。






「三矢」


紘遥は相変わらずイケメンオーラを出しながら俺の頬を両手で覆う。



「…んだよ」



すると、また紘遥の唇が俺のに軽く触れた。





「おおおい!!人の話聞いてたか!」


慌てて、紘遥の胸ぐらを掴む。




「ごめん。三矢がキスしてって顔してたからつい」



「ついじゃねぇよ!!お、俺はな!お前と違ってキスなんかの免疫ねぇんだよ!」



セカンドまで奪われる羽目になるとは…。




「でも、これでキスがどんな感じかわかったでしょ」




「…っ」



そ、そりゃそうだけど…。




「…で、どうだった?俺とのキスは」



「し、知らねぇよ」



「正直に答えてよ。俺とキスしたい奴なんて山ほどいるだよ?」



「モテ男はいちいちうるさいですね」


誰が、キス気持ち良かったって言ってやるか。





「言わないとまたキスするよ?」


ニヤと、口の端をあげて笑う。






俺はムカついたので



「言えばいいんだろ、言えば。全然気持ち良くなかった。お前とするより隣のクラスの佐田とした方がマシだったかも」



佐田という奴は、爽やかイケメンって有名な奴。佐田は紘遥と違って、女遊びはしないいい奴。

別に佐田ともキスなんかしたくないけど紘遥に、ムカついたのでそう言ってやった。





ちらっと、紘遥の顔を見ると明らかに不機嫌です、っていうオーラが出ていた。




「三矢、それ冗談でも言わないで」


俺の顎を掴み、そう言った。



んだよ。

そんなに気持ち良くなかったって言われるのが嫌だったのかよ。




「うそうそ。気持ち良かったよ」


俺は子供を宥めるかのように言った。




「…全然、わかってないな」


「何が」


「別に」


「ごめんって。拗ねるなよ」


まさか、紘遥がここまで根に持つ奴だとは思わなかった。





「それより、俺とのキス気持ち良かったんだ」


「まぁ、今までしたことないからわからないけど、気持ち良かった」




「三矢、素直で可愛いな」


「おい、馬鹿にしてるだろ」



「してないよ。それより、もっとキスしていい?」



「なんで」


お前、女いるくせに欲求不満なのかよ。



「三矢はしたくないの?」


「いや、そういう問題じゃなくて、男同士でキスなんかしないだろ」



「え、今時男同士でもするよ」



「まじ?」



初耳だ。



「…ね、してもいい?」



まぁ、これが普通なのか?





別に気持ち良かったし、いいか。




俺はそう決めて、頷き目を閉じた。


それから俺たちはキスを毎日する友達…所謂、キスフレンドになった。







「んんっ、!お、おい!舌は入れるなって言っているだろ!」



「なんで?嫌なの」




「そ、そういうんじゃなくて…っん、ん、!」



俺の話を聞かず、深いキスをしてくる紘遥。



嫌とかそういうんじゃなくて

こ、こんなの慣れないつうか、無理!





そのまま、抵抗しても紘遥の力には敵わず、されるがまま好きなように唇を奪われていく。






「三矢、可愛かった」


「はぁ…、っ」



こいつ、息をさせる余裕すらあげなかった。


殺す気なのかな。




「三矢…俺っ、もっとしたい」


「馬鹿か。俺これ以上したら死ぬわ」


紘遥の頭をバシっと軽く叩く。




「ケチ」



「ケチとかの話じゃねぇんだよ!!俺キス慣れしてないって言ったよな!あんな深いやつしやがって…」



おかげで、なんか唇が腫れてる気がする。


「ごめんね。三矢の前だったら感情が抑えきれなくなっちゃって」



「これからは抑えろよ」


「努力する」



そう言うが本当だろうか。



紘遥とのキスはすげぇ気持ちいい。

キスってこんな感じなんだな。




俺もいつか、彼女作ってあんな深いキスできるのかな。



できるように紘遥とのキス、その時の練習ってことで特訓しないとな。俺も努力しよ。






それから、紘遥はキスの時、ゆっくりと俺に合わせながらキスに付き合ってくれた。





そんなある日、事件が起きた。





イチゴミルクを買いに学校の廊下を歩いていると『羽咲!』と呼び止められた。


ん?と、声のした方を振り返った。




「あ、佐田じゃん。どうしたの」


「最近、なんかあったの?」


相変わらず、爽やかだなと思いながら佐田の話を聞く。



「最近?」



「なんか、唇。腫れている気がして」


そう言って優しく人差し指で俺の唇を触れた。



「あ、それ本当?」


「うん」




「きっと、紘遥のせいかも」



「湯山?」



「うん。あいつキスがしつこくてさ」



「え、羽咲…湯山と、キスしてんの?」




なぜか驚いた顔をする。




「うん。まぁ、友達同士だしキスするの普通じゃん」



佐田は一瞬、目を見開いて、にっこりと笑った。





「あっ、そうだったね!」


佐田は突然、思い出したかのように言った。




「そうだよ」


「じゃ、じゃあさ、俺たちも友達同士だし…そのキスしてみない?」



「え?」




「だって、湯山だけって変じゃん」



確かに言われてみれば、それもそうだよな…。





「いいよ」


これも練習と思えばいいか。そんなあっさりと頭の中で解決して、目を閉じた。


すると、ごくりと息をのむ音が聞こえた。



そして、佐田が俺の肩に手を置いた。





「だーめ」


すると、俺の口が誰かの手によって塞がれた。





「紘遥?」


「おい。勝手に三矢に触れないでくれる?」



「湯山、邪魔だけど」



爽やかな佐田がなぜがドス黒い何かを出している。




「紘遥?どうしたんだ?こんなところで」



「三矢は本当馬鹿だね。帰るよ」



「え、ちょっと待って」




強引に手を引かれた。


佐田が何か後ろで言っていたが届かなかった。






「三矢、どういうことかな?」


連れて来られたのは、男子トイレの個室の中。




「何が?」


「なんであんな奴とキスしようとしたの」



「え?、あ、そうだった!佐田とキスすんの忘れてた」



「俺、怒るよ?」




「な、なんで?」



なんか悪いことしたっけ。



「キスしていいのは俺とだけなんだよ」



「でも、佐田も一応友達だし…」



「キスは一人の友達しか、したらいけないってルールなの」




「ま、まじかよ!」



「そうだよ。2人以上としたら変なレッテル貼られるよ」



例えば、キス魔クソ野郎とかね。と紘遥は言った。





「うわぁ、それは無理無理」



「でしょ。じゃあ、もう俺以外とキスしようとしたらダメだよ」



「わかった!俺、紘遥としかしない!!」



しょうがないけど、キスの練習はこれからも紘遥に頼もう。




「じゃあ、ここ誰もいないからしてもいい?」


「え、…うんいいよ」



そして、お互いの唇が触れ、紘遥は何度も角度を変えて俺の唇を貪る。










「んん、っぁ!」



紘遥の手が俺の股間の方に伸びた。




「ココ、気持ちいい?」



「や、やめてっ…!」




そう言っているのに、そこをズボンの上から揉む紘遥。









『キスよりもっと気持ちいいことしようね。誰も俺たちの仲に入って来れないように』




それから、俺は紘遥と、キス以上なことをした。




【完】



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