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しおりを挟む「優しくしていただきありがとうございます。少し緊張がとけてきました」
顔を合わせたと思ったら眩しいくらいの笑みを向けられて、つい目を逸らしてしまった。
…どうしよう、可愛い。
「す、すみません。今度は僕が緊張してきました」
上手くリードできない。
「ふふ、リアムは面白いね」
「…っ!もう僕の心臓を悪くさせないでくれ」
それからお互いの趣味やいつも何をしているかなど他愛もない会話をした。
マリーには双子の兄がいて、趣味はお菓子作りというのが知れた。
「へぇ、マリーはお菓子も作れるのか。すごいね。今度食べてみたいな」
「ふふ、いいよ。将来私の旦那さんになったらね」
え。
「…いいのか?」
嬉し過ぎて、息をのむ。こちらからアプローチしようと思ったらまさか向こうから来るなんて。
「もちろん。あ、いやならいいけど」
「いやなわけがない!!僕以外の奴と一緒になるなんて想像しただけで今死にそうになった」
「リアム大袈裟だよ」
「真剣だよ!」
「そっか。ありがとう」
マリーと出会って数時間も経っていないのにこの子を誰にも渡したくないと思った。全部が愛おしくて今までに感じたことない感情に戸惑う。
これを独占欲というのだろうか。
「リアム、挨拶の時間よ」
遠くの方で陛下たちが僕を呼ぶ。他の人と顔を合わすより今この時間が大切だが仕方ない。
「またマリーに会える日を楽しみにしているよ」
「うん、私も」
寂しくなるがゆっくり椅子から立ち上がるとマリーが足を崩してしまった。
「わぁっ!」
「マリー!」
支えようとしたがそのまま二人とも倒れる形になってしまった。
…ん?口に何か…。柔らかい感触。
マリーの顔がこんなに近くあって、…気づくとマリーとキスをしていた。
…っ、なにこれ、やばい。
「ご、ごめんなさい…!!ケガは?」
マリーはすぐに僕から退いて謝った。キ、キス…?ぼ、僕がマリーと?静まれ、僕。いくら事故でも嬉しがるな。冷静に、冷静に。
「ケガはしていないよ。マリーとならもっと素敵な場所でしたかったな…、ってマリー?泣いているの?」
興奮した気持ちを抑えて言うと、マリーが涙を流していた。もしかして僕とのキスが嫌だった…?
「ご、ごめんなさい。わ、私、その…キスが初めてで。恥ずかしいから誰にも言わないでほしいの」
良かった…。僕とのキスが嫌で泣いた訳ではないのか。安堵する。
「もちろん、言わないよ。君と二人の秘密だ」
キスが初めてか。僕と一緒だ。
マリーの最初の人になれて嬉しい。これからもそこは僕だけのものであってほしい。本当に可愛らしい人だ。もっとたくさん話したかった。
それから僕は戻り、マリーに別れ際に『責任は必ずとるからね』と伝えた。恥じないような立派な人間に必ずなる。今のままではまだまだ不足だ。君に釣り合うような人間になりたい。
僕にとって教養を身に付けることは義務だった。
楽しいや面白いなど感じたことは一度もない。あったのはプレッシャーだけだ。
だけど、マリーと会ってから変わった。
頑張ればまた会える。マリーと過ごす未来があるなら、きつくても毎日楽しいと感じた。
早く、君に会いたい。
応援ありがとうございます!
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2024年から失礼します!
NLとBLが混ざったような作品は初めて見たので読んでいてとても楽しいです🎶
更新待ってます...!!!✨️
大好きな作品で続きがすごい気になります!
はやくアレンが攻略者たちに溺愛されてほしいな、、
更新待ってます(◍´꒳`)
とても好みのお話で続きがめっちゃ気になります…!!
更新を楽しみにしてます…