悪役令嬢の双子の兄

みるきぃ

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「ねぇ、君」


「わっ!」



余裕がなく、後ろから急に声をかけてしまい驚かせてしまった。これでも礼儀を習っていたつもりだが失礼なことをしてしまったと反省する。



「驚かせてしまい、申し訳ないことをした」


深々と頭を下げた。これで嫌われてしまっては本末転倒だ。自分のこの大胆な行動に驚いている暇はない。





「こんばんは、ワグナー家の皆さん」


「あら、これはこれは陛下ではありませんか」 



身内が集まってきた。

とりあえずきちんと挨拶をしなくては。



「初めまして、僕はリアム・サイラス。一目、君を見た瞬間魅了されてしまいました」 



彼女の手を取り、手の甲にキスをした。透き通った肌に綺麗な手。とても華奢だ。それにとても良い匂いがする。驚いた表情や声も可愛い。全部が僕好みだった。




「君のエメラルドの瞳、とても綺麗で素敵だ」 


「あ、ありがとうございます。私の名前はマリー・ワグナーと言います」 




マリー…。

マリーというのか。何度も心の中で読んだ。

隣で陛下が『口説いている』なんて言っていたが実際その通りだ。



「せっかくだし、二人で少し話しみたらどうかしら?」


タイミングよくそう言ってくれた母。

初対面のため、いろいろ話してみたい。この機会を無駄にしたくない。



「じゃあ、マリー。リアム王子とたくさんお話ししてきなさいね」



 僕と一緒なら安心と思ったのか二人きりにさせてくれた。とてもありがたい。




男の僕がリードしてあげないと。





「では、行きましょうか」 


マリーの手を握り、外のテラスへ案内した。

王子ということを忘れてこのまま二人でどこか違う国にでも行きたいと思ってしまった。









「君を独り占めにして悪いことしたな…」 


「え?」 



今更だが王子という特権をいいことに僕から話しかけたため、他の者達が話しかけづらそうだった。



「僕だけでなく、会場の皆が君に夢中だった。それを横から僕が…」


 「そ、そんなことないですよ!私なんかリアム様ほどでは」 



「マリーはとても魅力的な人だ。あと、僕はリアムでかまわないよ」 


「い、いいんですか?ありがとうどざいます」


マリーは少し緊張しているみたいだった。身分なんて気にしなくていいのに。



「そんな緊張なんかしなくていいよ」 



「ご、ごめんなさい。今日パーティーに初めて参加して、それに家族以外の人とあまり話したことなくて…。リアムみたいな素敵な方と話すなんて私にはハードルが高すぎて…」



「そっか。マリーは可愛いね」 



可愛らしい反応をするので、ついついマリーの頭を馴れ馴れしく撫でてしまった。




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