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しおりを挟むなぜそうなった?と思うのが普通だが、よく考えてみればそのほうが安心ではないのかというとこに辿り着いた。
だって、ヒロインちゃんが俺と結ばれれば、攻略対象は自然とマリーの方にいくじゃないかと考えた。マリーは俺がみんなと関わってほしくないと言っていたが、俺がヒロインを阻止していれば、楽に攻略対象の誰かをマリーがものにできると思う。
ヒロインちゃんのこと弄ぶなと叩かれそうだがでも、俺だって青春したい。
ヒロインちゃんと俺…。そんなことできるのか。ヒロインであるミシェル・テナを虜にさせる魅力が俺にはあるのか?いや無理だ。今まで無視したし、本人の前で手作りのクッキーも捨てた。でもだけど、だけどさ。これしか方法が浮かばないんだよ!発想力ミジンコだってわかっているよ。
一体どうしたらいいのか考えることはいくらでもできるが考えているうちにマリーの愛しい人がヒロインちゃんと結ばれてしまったら意味がない。あの時あぁしていればよかったなと後悔はしたくない。
「マリー」
「何?アレン」
「俺、マリーのために頑張るから」
「ふふ、急にどうしたの?でもありがとう」
今日一可愛いマリーの笑顔が見ることができたので、俺にできることはしてあげたい。そして幸せそうなマリーの顔をずっと見ていたい。そして、俺もその横で幸せに暮らしたい。そう目標は、めでたしめでたしだ。
マリーの機嫌を何とか取り戻し、俺は明日から自分の考えた作戦を実行することに決めたのだった。
「おはよう。アレン」
教室に入ると、いつものようにオリバーが俺に気付いた途端、笑顔になり挨拶をしてきた。だが俺はそれをいつものように無視をする。オリバーがこっちこっちと手を振っていたがそれも無視し、離れたところに座ると、オリバーは自分の荷物を持って急ぎで、俺の横の空いている席に座った。
別に誰も俺の横に座りたがらないのにそんな急がなくてもっていつも思う。本当、オリバーはワンコみたいで癒される。それを無視する俺って極悪非道のクズ人間だと思うよ、自分でも。オリバーとは普通に友達として話したい。仲良くなってゲーセンとかで遊びたい。まぁゲーセンないけど、とにかく遊びたい!
「アレン!おはよう。今日も素敵!」
すると、遅れてヒロインのミシェル・テナが登場した。三人掛けである椅子であったため、空いている俺の横に座った。
つまり、俺はいつもオリバーとヒロインちゃんに挟まれて座っている。
いつもはオリバーにしたように無視するのが決まりだ。だけど今日違う。
だって昨日考えたから。
「おはよう、ミシェル。そんなこと言ってくれて嬉しいよ。ありがとう」
シーンとなる空気。
まさか俺から返事がもらえると思っていなかったのがヒロインちゃんは目を見開いて時間差でぼっと顔が真っ赤になった。
「きゃあ!え、えっと、嘘!アレンが私だけに挨拶してくれた!夢?」
興奮気味で驚きが隠せていないヒロインちゃん。
「夢じゃないよ」
と本人に伝えたら机の上で伏せて何やら呟いていた。
俺はヒロインちゃんの反応が面白くてその横にいるオリバーがどんな顔していたか気付かなかった。
「…なんで僕だけ無視するの」
いつも笑顔で尻尾を振っているワンコではなく、低い声に冷たい目をしていた。
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