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しおりを挟むその申し出とは、それはパーティーで出会った攻略対象である三名。
リアム・サイラス、レオナルド・ベイン、オリバー・シェーン。
ヴァル・リードは、なぜか俺だってわかっていたため申し出はこなかった。
まさか本当に申し出があるなんてな。 それより、なぜ俺に酷いことを言ったレオナルド・ベインからも申し出があるんだよ。 不思議だ。きっと親から言われたとか?知らないけど。あんな酷いことをいう奴とマリーと一緒になってほしくない。
ちなみに、申し出の返事はいつでも良いとのことだった。
三名以外に他にも申し出の候補者はいたと聞いたが有名どころしか興味のない親だったためこうなった。
「アレン、私が熱出たばかりにごめんね」
「俺は大丈夫だよ。それより体は大丈夫?」
俺の問いに頷き、すっかり元気になったマリー。
「それより、アレン聞きたいことがあるんだけど」
「なに?」
「パーティーで私の格好をして参加したって本当?」
「うん。お母様の頼みで」
「そっか。だから私に申し出が…」
「どうした?」
「ううん!何でもない。私これから、アレンを守るために鍛えるわ」
「え、急にどうしたんだ?逆に俺がマリーを守りたいんだけど」
「~っ!もうそんなこと言うからダメなのよ!タラシ!」
マリーは何やらご機嫌ななめになってしまった。 でもすぐに機嫌が良くなって、マリーが作ったお菓子を一緒に食べた。
それから俺とマリーは勉学に励みながら、とうとう学園に入学する歳になった。
「アレン、マリー。あなたちはもうここから離れ、学園生活が待っているわ。どうか無事に頑張ってね」
もう俺たちは15歳になった。俺は何とかしてマリーを悪役の道に進まないように良い子になるよう接してきた。
「アレン、この制服どうかしら?」
入学前日の夜、マリーに呼び出されたと思ったら、学園の制服を試しに着て俺に見せてきた。明日からこの家を離れ、学園に行く。寂しい気持ちはあるがここからが本番だ。
「とても似合うよ」
俺がそう言うと、嬉しそうにクルクル回るマリー。 あぁ、俺の妹、まじ天使だ…。 俺たちは成長するとともに部屋は別々になった。最初、マリーは駄々をこね、俺と一緒の部屋が良いと言って聞かなったが何とか説得して別々の部屋になった。 俺はマリーの部屋から出て明日に備え、自分の部屋で眠りについた。
「アレン!」
学園に出発前にハリーが息をあげ、俺の部屋に来た。 俺は制服に着替え、荷物も整えている時だった。
「アレン…、本当に行くの?」
「そうだよ。決まったことだからね」
「僕、心配だよ…」
「ハリー心配してくれてありがとう。また休みの日は戻ってくるよ」
「それでも、一緒にいたいよ」
ハリーは相変わらず優しいな。素晴らしい幼馴染みをもった。
「経った三年間だけだ。そんな悲しい顔しないで、ほらハリーは笑顔が一番だろ?」
俺は、指でハリーの口角をあげると泣き出した。
「ハリー?ごめん、泣かせるつもりはなかったんだ」
俺もしかして不謹慎なことしたかも。
「アレン大好きだよ」
すると、泣きながら俺を抱きしめてきた。 幼い頃は同じくらいの身長だったのにハリーも成長して俺より身長が高くなり、胸におさまった。
「俺も。永遠の別れじゃないんだから泣かないで」
ハリーの背中をさすった。 そこまで俺のことを思っていてくれていたなんて嬉しいな。
ハリーは泣きやみ少し落ち着いた。
「ねぇ、アレン。顔あげて?」
「ん?どうしたんだ?」
ハリーの言われたとおり顔をあげた。
すると、
「んっ」
え?
ハリーと俺の唇が重なっている。頭が真っ白になり、体が固まった。 キスをされているというのが徐々にわかってくると、恥ずかしくなった。
「顔真っ赤だよ?僕のこと、意識してね。アレン」
ちょっとハリー?今のはどういうことだ。 別れの挨拶…?いやいやキスはないだろ。頭の中が混乱した。
不覚にもドキドキした。キスなんか免疫ねぇよ。前、リアムとキスしたのは事故だったし…。
「じゃあ、僕もアレンに相応しい男になるから忘れないでね」
手を振って、ハリーは部屋から出ていった。
俺は終始、思考が停止していた。
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