悪役令嬢の双子の兄

みるきぃ

文字の大きさ
上 下
11 / 43

11

しおりを挟む



その申し出とは、それはパーティーで出会った攻略対象である三名。 

リアム・サイラス、レオナルド・ベイン、オリバー・シェーン。 


ヴァル・リードは、なぜか俺だってわかっていたため申し出はこなかった。 


まさか本当に申し出があるなんてな。 それより、なぜ俺に酷いことを言ったレオナルド・ベインからも申し出があるんだよ。 不思議だ。きっと親から言われたとか?知らないけど。あんな酷いことをいう奴とマリーと一緒になってほしくない。 


ちなみに、申し出の返事はいつでも良いとのことだった。


三名以外に他にも申し出の候補者はいたと聞いたが有名どころしか興味のない親だったためこうなった。






「アレン、私が熱出たばかりにごめんね」 


「俺は大丈夫だよ。それより体は大丈夫?」


 俺の問いに頷き、すっかり元気になったマリー。 


「それより、アレン聞きたいことがあるんだけど」


 「なに?」 



「パーティーで私の格好をして参加したって本当?」 


「うん。お母様の頼みで」 


「そっか。だから私に申し出が…」 


「どうした?」 


「ううん!何でもない。私これから、アレンを守るために鍛えるわ」


 「え、急にどうしたんだ?逆に俺がマリーを守りたいんだけど」 



「~っ!もうそんなこと言うからダメなのよ!タラシ!」 



マリーは何やらご機嫌ななめになってしまった。 でもすぐに機嫌が良くなって、マリーが作ったお菓子を一緒に食べた。










 それから俺とマリーは勉学に励みながら、とうとう学園に入学する歳になった。



 「アレン、マリー。あなたちはもうここから離れ、学園生活が待っているわ。どうか無事に頑張ってね」 


もう俺たちは15歳になった。俺は何とかしてマリーを悪役の道に進まないように良い子になるよう接してきた。 



「アレン、この制服どうかしら?」 


入学前日の夜、マリーに呼び出されたと思ったら、学園の制服を試しに着て俺に見せてきた。明日からこの家を離れ、学園に行く。寂しい気持ちはあるがここからが本番だ。 



「とても似合うよ」 


俺がそう言うと、嬉しそうにクルクル回るマリー。 あぁ、俺の妹、まじ天使だ…。 俺たちは成長するとともに部屋は別々になった。最初、マリーは駄々をこね、俺と一緒の部屋が良いと言って聞かなったが何とか説得して別々の部屋になった。 俺はマリーの部屋から出て明日に備え、自分の部屋で眠りについた。 




「アレン!」 


学園に出発前にハリーが息をあげ、俺の部屋に来た。 俺は制服に着替え、荷物も整えている時だった。 



「アレン…、本当に行くの?」 


「そうだよ。決まったことだからね」 


「僕、心配だよ…」


 「ハリー心配してくれてありがとう。また休みの日は戻ってくるよ」 



「それでも、一緒にいたいよ」 


ハリーは相変わらず優しいな。素晴らしい幼馴染みをもった。 



「経った三年間だけだ。そんな悲しい顔しないで、ほらハリーは笑顔が一番だろ?」


 俺は、指でハリーの口角をあげると泣き出した。 



「ハリー?ごめん、泣かせるつもりはなかったんだ」 


俺もしかして不謹慎なことしたかも。 








「アレン大好きだよ」 

すると、泣きながら俺を抱きしめてきた。 幼い頃は同じくらいの身長だったのにハリーも成長して俺より身長が高くなり、胸におさまった。 



「俺も。永遠の別れじゃないんだから泣かないで」 


ハリーの背中をさすった。 そこまで俺のことを思っていてくれていたなんて嬉しいな。 

ハリーは泣きやみ少し落ち着いた。








「ねぇ、アレン。顔あげて?」 


「ん?どうしたんだ?」 


ハリーの言われたとおり顔をあげた。 


すると、 


「んっ」 


え?

ハリーと俺の唇が重なっている。頭が真っ白になり、体が固まった。 キスをされているというのが徐々にわかってくると、恥ずかしくなった。





 「顔真っ赤だよ?僕のこと、意識してね。アレン」 



ちょっとハリー?今のはどういうことだ。 別れの挨拶…?いやいやキスはないだろ。頭の中が混乱した。 


不覚にもドキドキした。キスなんか免疫ねぇよ。前、リアムとキスしたのは事故だったし…。 




「じゃあ、僕もアレンに相応しい男になるから忘れないでね」 



手を振って、ハリーは部屋から出ていった。



俺は終始、思考が停止していた。 




しおりを挟む
感想 46

あなたにおすすめの小説

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。 そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。 ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。 そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

タイトル未定

みるきぃ
BL
前世で大好きだった少女漫画の推しキャラの親友かつ幼なじみに転生した俺。推しキャラの幸せのために幼少期から計画を立てて完璧な男に鍛え上げようと頑張る話。『悠生、愛してるよ』『君の方が気になる』いや、何か思ってたの違う。って話。

【蒼き月の輪舞】 モブにいきなりモテ期がきました。そもそもコレ、BLゲームじゃなかったよな?!

黒木  鳴
BL
「これが人生に三回訪れるモテ期とかいうものなのか……?そもそもコレ、BLゲームじゃなかったよな?!そして俺はモブっ!!」アクションゲームの世界に転生した主人公ラファエル。ゲームのキャラでもない彼は清く正しいモブ人生を謳歌していた。なのにうっかりゲームキャラのイケメン様方とお近づきになってしまい……。実は有能な無自覚系お色気包容主人公が年下イケメンに懐かれ、最強隊長には迫られ、しかも王子や戦闘部隊の面々にスカウトされます。受け、攻め、人材としても色んな意味で突然のモテ期を迎えたラファエル。生態系トップのイケメン様たちに狙われたモブの運命は……?!固定CPは主人公×年下侯爵子息。くっついてからは甘めの溺愛。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い

BLゲームの世界でモブになったが、主人公とキャラのイベントがおきないバグに見舞われている

青緑三月
BL
主人公は、BLが好きな腐男子 ただ自分は、関わらずに見ているのが好きなだけ そんな主人公が、BLゲームの世界で モブになり主人公とキャラのイベントが起こるのを 楽しみにしていた。 だが攻略キャラはいるのに、かんじんの主人公があらわれない…… そんな中、主人公があらわれるのを、まちながら日々を送っているはなし BL要素は、軽めです。

処理中です...