悪役令嬢の双子の兄

みるきぃ

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「はぁ…最悪だ」




 ため息が出る。

なんで、あいつは俺のことを知っていたんだ。 



もう、俺だってバレてたら意味ないじゃん!

どうすればいいんだよ…。





「大丈夫?頭痛いの…?」


 「え…?」 


頭を抱えていた俺に、声をかけてくれたのは、大人しそうな男の子。 待て待て。この流れわかるぞ。わかる。しかもこの顔見たことある! 





「女の子が一人でこんなところにいたら危ないよ」 


確か…オリバー・シェーン!辺境爵家の末っ子で大人しいキャラだ。 




「ありがとう。どこも痛くないよ」


 「なら、良かった」 



何で次から次へと、攻略対象と出会うんだ。聞いていないぞ。 さっきから立て続けに休む暇もなくキャラたちと会うため、驚かさればかりだ。 



「僕の名前は、オリバー・シェーン。オリバーでいいよ。君は?」 


あなたの名前は知っていました。なんて言えないので、初めまして感を出した。 


「私はマリー・ワグナー。私のこともマリーで大丈夫。ところでどうしてオリバーはここに?」 


「僕、シェーン家の末っ子で、いつもお姉様やお兄様と比べられて…それで嫌になってここに来たら、君が悲しそうな表情していて声をかけたんだ」 



「そうだったんだ…。オリバーは優しいね」 



良い子だな。

人と比べられるのは嫌だよな。




 「そんなことないよ」 


「あるよ。だって、自分だって嫌な思いをしていたのに、私を心配してくれるなんて」 


とてもマネできない。




 「そんなこと言ってくれるのは君だけだよ」


 オリバーは少し嬉しそうだった。 



「私もね、ワグナー家で世間から良いイメージもたれないし、嫌な思いしていたけど、こういうふうに家とか関係なく話しかけてくれて嬉しかった。ありがとう」



 「そ、そんなことないよ!君はとても素敵な人なんだから家とか関係ない」 


「ふふ、さっき会ったばかりなのにオリバーといるとなんか落ち着くな…」



 「え…、本当?」 


「うん」 


癒されキャラだ。さっきの二人がやばかったから余計。 感謝しかない。 





「マリーと会って、さっきまで悩んでいたことがちっぽけなことに思えた。比べられるのはやっぱり嫌だけど、僕だけを見てくれる人がいるなら心が温かくなった」 



「こんなに優しいオリバーだもん。きっと、皆見てくれるよ」 



「…っ。ぼ、僕、今嬉しくて変な顔しているかも」 



顔を見えないように手で隠した。 オリバーはゲーム上でも良いキャラだったから、マリーきっと分かり合えるだろう。 



今後、学園に入学して攻略対象がどう成長しているか楽しみだ。まぁ、大体は知ってるけど。




そうして、いろんなことがあったパーティーも終わった。 





後日、三名からマリーに婚約者候補の申し出がきていた。 




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