タイトル未定

幼少期

18

「うん、そうだよ！ゆうせいがかっこいいって話をしてたんだ！顔だけじゃなくて性格もイケメンってみんな言ってたよ！」



「待って。かっこいいとかまじで照れるからやめて」



そんな話してたとか恥ずっ！

予想外だったので不意打ち過ぎる。


自分でいうのも何だが、確かに伊澄悠生というキャラは男前だ。でも性格もイケメンってなんだよ、ほ、褒めても何も出ないぞ。

とりあえず、櫂の話を聞く限りだと俺の恥ずかしい話ではなく良かった。


俺よりもこれから先は、櫂の魅力にみんなが気づいていく。


ヒロインの乙葉ミカに出会うまであと何年かかるんだ。今が小４だから、高校生までは遠い。それまでに櫂を立派な男に鍛えあげるのが俺の役割。



「でもね、みんなと話すのは楽しかったけど、なんかね、とてもいやだったの」



「い、嫌…？」


「みんなより、ぼくのほうがゆうせいのいいところもっと知ってるのに、他の子がわかった気でいてさ…、むかついちゃった。なれなれしくゆうせいのこと言っててなんか、いやだった…」



「え？」


それって簡単に言うと、同担拒否みたいな感じ？



「そう思うぼくって、いやなやつなのかな…」



「な、何を言っているんだ！櫂が嫌なやつなわけあるか。誰だって、そう思うって」


「そ、そうなの…？」


「俺だって、もしみんなが同じようなこと言ってたら嬉しい反面、俺の方がとっくの昔に櫂の良さ知ってるのにって思うよ。一番最初に良さ気づいたの俺だからみたいな」


「よかったぁ、ゆうせいもぼくと同じですっごく嬉しい…っ」


櫂は不安そうだった顔から安心した表情になった。



櫂には、何事にも前向きに育って欲しい。

いつも俺って、どうも櫂のことになると親目線になってしまう。まあ、どの親も子の幸せを見届けるのが普通だ。俺の目標と一致しているため、親目線になってしまうのは必然的だ。




「ね、ゆうせい…っ、1番気になっていたんだけど…そ、のさ…、えっと」


「気になること？」


言いづらそうに言葉を濁す櫂。

何やら言いにくいことなのか？








「…えっと、ね、ゆ、ゆうせいはもう友だちできた？」


真っ直ぐ見つめられる瞳。


「友達…？」


櫂が気になっていたことは、俺に友達ができたかどうかだった。もしかして、言いづらそうに聞いてきたのは俺に友達ができないのではないかと心配してくれているのか？

優しいのな、櫂は本当。




「うん、教えて…？」


「…うーん、どうだろう。あ、でも一人話した子はいるよ」


「え…」


なぜか、その途端に悲しそうな顔をする櫂。

てっきり喜んでくれると思ったが違ったみたいだった。