タイトル未定

幼少期

10

白雪にドヤ顔されたが、ここは素直に負けを認めるしかない。まあ、1位を櫂にあげれたと思えば大丈夫。


全員、借り物競走を終えたところで、先生が結果の発表をした。


「1位に輝いたのは3年5組白雪ひめかさんです！お題はなんと『仲良くなりたい人』でした！おめでとうございます！」


1位の白雪は、櫂と前に出てきて注目を浴びている。




「そして、惜しくも2位が同じく3年5組伊澄悠生くんです！お題は『笑顔がすてきな人』でした！次に3位は～…」


2位からは口頭でアナウンスするだけだった。

すると、さっき俺とゴールして隣に座っていた生意気なガキが俺の背中を叩いてきた。


「おいお前！かってにオレ様をつれだしたと思ったら、あんな…あんなのっ！笑顔がすてきってはずかしいやつだな！」



「勝手に連れて出してごめん。君が笑っているのが目に入ったから」



笑いがたまたまだけど。


「な、なんだよ！それ！はじめましてなのに、オ、オレ様しかガンチューになかったってことか？！お前ほんとはずかしいやつだ！！」



なんだろ。

うるさいガキだな。厄介な相手を釣って…連れてきてしまったようだ。本当は、櫂とゴールするつもりだったから、適当に選んで連れてきたっていうのはさすが最悪だし可哀想だよな。



「恥ずかしい思いさせてごめんな。でも、一緒に走ってくれてありがとう。お前のおかけで2位がとれた」


はい、この話終わり。これでもう黙ってくれ。



「…っ、そ、そうだぞ！オレ様のおかげだぞ！それにお前じゃなくてハヤトってよべよ！！ちなみに2年せいだ！覚えておけゆうせいっ！」



「あ、名前知ってるんだ。俺、3年」


「う、うるさいぞ！…あ、あれだ！さっき先生がはっぴょうする時言っていたから！お、お前がかっこよくてしらべたとかそういうじゃないからな！かんちがいすんな！ばか！あとオレ様よりイッコ上だからってチョーシのんなよな！」


え、誰もそんなこと言っていないし勘違いしていないぞ。年齢は関係ないと思うが、運動会楽しくて調子にのって見えていたのかな。

まあ確かにそういえば、2位発表の時、先生が俺の名前を言っていたな。




「わかってるって。今日はありがとな、ハヤト」


「…～っ！、はずかしいやつ！じゃあな！」




ハヤトは逃げるようにどこかへ行ってしまった。

照れ屋さんなのか？



お前が名前でそう呼べって言ったのに、呼んだら逃げるとかどういうことだ。謎すぎる。別にもう関わることはないだろうし、いいか。



そんな俺たちを遠くで櫂が寂しそうに見ていたなんて知らなかった。