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しおりを挟むふと、あることを思い出した。ずっと言いたかったことがあったんだ。
「そう言えば、ヘンリ爺さん!今思い出しましたがエイデンに変なこと教えないでください!」
「はて…?変なこととはなんぞや」
「あれですよ、ほら、魔力量の多い者から口移しで魔力をあげることができるっていうやつ!」
自分で教えたことをきちんと思い出してください。責任感あるのかな…この爺さん。こちらは大変迷惑しました。根に持つタイプとでもなんとでも言ってくれて構わない。
「おかしいのぉ…。あれは他言無用と言っておったじゃんがな。エイデンが約束を破るとは…」
「他言無用だったんかよ」
おっと、つい心の声が。
「確かにわしが教えたがなぜ知っておるんじゃ?もしや、そういう状況にでも合ったか、ほほほ」
「…っそ、それは」
言葉が詰まる。鋭い。鋭すぎる。
「エイデンもやる男じゃな~。早速口説かれたか」
何処となくヘンリ爺さんは自慢げだった。いやそういう問題ではなくて。
「口説かれたとかではなくてですね…。エイデンってめちゃくちゃ優しいじゃないですか…。俺の魔力量がゴミなの知ってか自分の魔力をどうにか分け与えられないかって考えてくれてたんですよ。なのでそこに情はないというか。純粋で優しいエイデンに何変な入れ知恵しちゃってくれてんですかって思ってたわけで」
オタクの悪い癖で早口になってしまった。
「そうかいそうかい。エイデンと末永く幸せになるんじゃぞ」
もうやだ。何言ってんだ。半泣きになりながら折れた。
「ただいま。あれルアン?今俺の話してた?」
長居をしてしまったせいかエイデンが帰ってきた。
「おぉ、いい時に帰ってきたのぉ。実はなルアンがエイデンと仲良く…「あーーー!ヘンリ爺さん!違うでしょ!一緒に修行するって話でしょ!」
ヘンリ爺さんがまた変なこと言いそうだったので止めに入った。
「それは本当ですか!」
エイデンはとっても嬉しそうだった。あ。まぶし。オーラがキラキラしてる。
「ごほん。本当じゃぞ。二人とも弟子になったからには最後まで責任を持つことにしたのじゃ」
「ありがとうございます。ルアンと一緒に修行できるなんて嬉しいです」
「わしも嬉しいぞ」
敵対視されてもいいくらいなのに、そんなに喜んでくれるなんて、俺泣きそうなんですが。あぁこれはある意味暴力的優しさですよ。
エイデンを見ると癒されるしストレス解消になる。あぁ、SNSがあったら呟きたい。裏垢界隈の俺ですが。『お腹が空きすぎてもう死ぬかもと思った時、冷蔵庫の奥で見つけたもやしくらい尊い』と心の中で呟く。
「でもどうやってルアンを説得したんですか?俺が言ってもダメだったのに…」
「それはなー「あーーー!!そうだ用事思い出した!ではまた1週間後よろしくお願いします!」
そう言い残し、光の速さで家に帰った。賄賂という名の写真を餌にされたからなんて言えない。
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