超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ

文字の大きさ
27 / 71

27

しおりを挟む



「げ、下僕…?なにそれ」

そんな極悪非道なことを推し様にさせるなんてこと…あ。そう言えばそんなことあったな。色々あって忘れてたけど、あれ冗談話じゃなかったんですか。


「忘れていると思った。でも大丈夫、いくらでも言うから。ルアンと関われるならそれでもいいってね」


自然に隣の席に座り出した。ちょっとエイデンさん。俺と関わっても良いことないぞ。待て、そんな目でこっちを見るな。エイデンは少し寂しそうに捨てられた子犬みたいな目でこっちを見てくる。それはずるいよ…俺の中の保護団体がぁ。そんな目で見られたら何も言えなくなる。


「あぁもう、す、好きにしろ!」


「ありがとう。ルアン」


一瞬にして明るくなるエイデン。幻覚なのはわかっているがどこか嬉しそうに尻尾をぶんぶん振っているのが見える。あの、撫でてもいいですか。もちろん、お金は払うんで。思わず手が伸びそうになるのを必死に堪えた。偉いぞ自分。


「何で俺とそんなに関わりたいのか知らないが勉強の邪魔だけはするなよ」


色々聞きたいことが山ほどあるが将来良きライバルになるため、こんなところで馴れ合ってはいけない。俺は気にしないことにし、エイデンから目線を本に移した。


「もちろんだよ。あ、今日は精霊に関しての本を読んでいるんだね」


「しーっ。集中してるから黙って」


それからエイデンも大人しく隣で俺が読み終えた本を手にとって読み始めた。

本のページを捲る音だけが静寂の中響いた。気づくと、何時間か経過していた。隣ではエイデンも真面目に本を読んでいた。そろそろ帰りたいが読むのを邪魔したくないな。パタンと本を閉じて席を立つ。



「じゃあな。その本は貸しておくから」


「あ、待ってルアン!言いたいことがあるんだ」


腕を掴まれ引き止められた。


「なに」


「ヘンリ爺さんが来ないのかって言ってたよ。それに俺も来てほしいと思ってる」



「もう少し勉強してから行くって伝えといて」


冷静に返すが思わずきゅんとしてしまうところだった。これだからまったく、天然たらしは怖いぜ。



「そっか…そうだよね。そう伝えておくよ。ルアンとたくさん話したくて急ぎ過ぎてしまったみたい。ごめんね」



「…べ、別に」


謝らなくていいんだよーっ!自分が情けなくて泣けてくる。

エイデン…君ってやつは、本当に主人公の鑑過ぎるよ。一生推します。そして良きライバルになりましょう。チョロいです。はい。







「あ、そうだ。言うの遅くなったけど、ちなみに俺もヘンリ爺さんの弟子になったんだ」


「はっ、弟子だと?!」


思わず声が出て、驚いてしまった。弟子になるということは更に強くなる気ですか。追いつけなくなるじゃん。夢が遠くなるのを悟った俺でした。



しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。 そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。 ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。 そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?

詩河とんぼ
BL
 前世では過労死し、バース性があるBLゲームに転生した俺は、なる方が珍しいバットエンド以外は全て処刑されるというの世界の悪役子息・カイラントになっていた。処刑されるのはもちろん嫌だし、知識を付けてそれなりのところで働くか婿入りできたらいいな……と思っていたのだが、攻略対象者で王太子のアルスタから猛アプローチを受ける。……どうしてこうなった?

災厄の魔導士と呼ばれた男は、転生後静かに暮らしたいので失業勇者を紐にしている場合ではない!

椿谷あずる
BL
かつて“災厄の魔導士”と呼ばれ恐れられたゼルファス・クロードは、転生後、平穏に暮らすことだけを望んでいた。 ある日、夜の森で倒れている銀髪の勇者、リアン・アルディナを見つける。かつて自分にとどめを刺した相手だが、今は仲間から見限られ孤独だった。 平穏を乱されたくないゼルファスだったが、森に現れた魔物の襲撃により、仕方なく勇者を連れ帰ることに。 天然でのんびりした勇者と、達観し皮肉屋の魔導士。 「……いや、回復したら帰れよ」「えーっ」 平穏には程遠い、なんかゆるっとした日常のおはなし。

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼不定期連載となりました。 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

悪役令息(Ω)に転生した俺、破滅回避のためΩ隠してαを装ってたら、冷徹α第一王子に婚約者にされて溺愛されてます!?

水凪しおん
BL
前世の記憶を持つ俺、リオネルは、BL小説の悪役令息に転生していた。 断罪される運命を回避するため、本来希少なΩである性を隠し、出来損ないのαとして目立たず生きてきた。 しかし、突然、原作のヒーローである冷徹な第一王子アシュレイの婚約者にされてしまう。 これは破滅フラグに違いないと絶望する俺だが、アシュレイの態度は原作とどこか違っていて……?

俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします

椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう! こうして俺は逃亡することに決めた。

処理中です...