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おまけ
生徒会長
しおりを挟む【会長side】
「会いたい…」
言葉が簡単に漏れるくらい、頭の中はあいつのことを考えていた。夏休みに入って一度もあいつの姿を見ていない。
以前、あいつから貰ったハンカチを眺めているとなぜか、もう会えない気がして胸が苦しくなった。
昔から勘が鋭いので、嫌な予感がしてたまらない。
ま、どうせそんなことはないだろう。そう考え、ベッドから起きあがる。俺の寮室は、生徒会ということなので一人部屋としては広い。冷蔵庫を開け、冷たい水をとりコップに注いだ。水を飲みながら、夏休みが明けたら俺様から話しかけてやるかなんて考えていた。
…いい加減、早く、夏休みなんか終わっちまえ。まだ始まったばかりなのにそんなことを考えてしまう。
そんなある日、瑞希が学園のものを壊して退学になったという話を聞かされた。俺様にとっては別にどうでもいい話だった。前まではあんなに瑞希のことを考えていたのに今は全然これぽっちもない。
むしろ逆に、ライバルが減って安心していた。
なぜかそんなことを思った。
「…ライバル、か」
まるで、俺様が…。いや、考えないでおこう。
もう知ってるから。
この感情に。
まあ、とりあえず今度会ったら優しくしてやろう。そしたら、どんな反応するか楽しみだ。
顔真っ赤にして、照れてふにゃって俺様に笑顔見せてくれんのかな。
そんな妄想に浸っていたら、以前のパーティーの時に俺様があいつのために選んだドレスが目に入った。ソファのとこに置いてある。
あいつの名前と一緒の色。
せっかく選んでプレゼントしてやったのになぜか送り返された。ま、今度また着せてやればいいか。
そーいえば、
「あん時の…ドレス似合っていたな…」
写真でも撮っておけば良かった。きっとウェデイングドレスも似合うんだろうな。
……。
すると、はっとなる。
「何、考えてんだ…」
首を振る。まだそれは早いだろ、いくらなんでも。とりあえず今はあいつに早く会いてぇな…。その思いは、叶うはずなく消え去った。夏休みが明けてもあいつの姿はない。
嘘だろ…、心の底から絶望した。親父(理事長)に聞いても何も教えてくれねぇし、諦めきれなかった。調べても、探しても何をやってもあいつの姿はない。
生徒会や学園中の奴らが壊れ始めた。
このままもう、会えないのか…?脳裏にあいつの顔が浮かぶ。
「…くそっ」
唇を噛む。俺様は今まで何をしてたんだ。やり直せるなら、一番最初の出会った頃から始めたい。
大好きな子の笑う顔。
怒る顔。
困る顔。
泣き顔。
いろんな表情が見たかった。
はは、これはきっと罰だ。
大切な人は失って気づいた。
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