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自己中な不良くん
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しおりを挟む【笹山side】
Zクラスにあの転校生がやって来てから変わった。しかもあの転校生、俺と力の差を感じなかった。というか、ムカつくけど俺よりあっちが上回っていた。何度か呼び出しするたびに負けての繰り返し。こっちは仲間を連れているのにも関わらず。
なのにあいつは『ああもう!あおいといる時間が減っちまうじゃないか!』と涼しい顔して立ち去った。
どこかの族でもやっているのか?あの強さは喧嘩なれしているとしか考えられん。だから俺たちは極力もう突っかかったりするのをやめた。
だけど腹立つことがある。力の差でもだけど、ずっと俺のパシリと一緒にいる。おかげで俺らは不満大有り。せっかくの暇潰しがあの転校生のせいで全部壊れた。教室では二人の世界作ってイチャイチャモード。調子乗りやがって…。今はよく喋ってなんかしてさ。俺たちといるときは怯えて震える声だったのに。楽しそうにしているところ全部全部ムカつく。お前は俺のパシリだろ?なんで、あんな奴といるんだよ。そんな気持ちで頭がいっぱいだった。
―――ふはっ、だけど、今はもうアイツはいない。理由は何か知らないが、とりあえず前の日常が取り戻せる。この上なく、久々に面白いと感じた。パシリの分際で調子に乗るから悪い。
今日はこいつになにしてもらおっかな。あーそうだ。
「ほら、今日は特別に俺の膝の上に座らせてやるよ」
ありがたく思えと、パンパンと膝を叩き促す。
「…え、で、でも」
「あ?うるせぇんだよいいから言うこと聞けバカ」
「そ、そんな…ぼ、僕その重いし…」
「は?なに聞こえない。俺の言うこと聞けないの?それとも嫌なわけ?どっち」
俺がせっかく膝にのせてやると言ってるのにお前は何様だ。
「ほら、笹山さんも言ってることだし座れよ」
「え、あの。ちょっ」
俺の舎弟がパシリの背中を押し無理矢理、膝の上に座らせる。
「ご、ごめんな…さい。い、今すぐ退きます…」
「は?ダメに決まってるだろ」
俺は逃げられないように羽交い締めにする。普段なら座らせるなんてことは絶対しない。ましてはこんなやつに触れるなんて。だけど、無性に触りたくなった。
「笹山ー、羽交い締めとかさすがっす」
「今度はなにして楽しませてくれるのかな」
「ほんとに膝の上にのってやんのー。はずかしー」
クラスの皆は、ざわつき始める。ふ、面白い。ぎゅっと抱き締める力を強くする。
「さ、笹山くん…っくるし」
「黙れよ」
俺の許可なしに喋ってんじゃねーよ。
って、ん?
うわっ。なに、こいつすげぇいいにおいするんだけど。俺は、自分の顔をこいつの首筋に近づけた。やば。嘘だろ。なんで、こんなにいいにおいすんだ。癖になりそうだ。意外に俺好みのにおいだった。…香水か?…なんだ?しかも、折れそうなくらい細いけど、抱き心地はとてつもなくいい。ふは、気づかなかった。
「お前俺の抱き枕な」
なんか、いい夢みれそー。そのまま目を閉じて今すぐにでも眠れそうだ。
「あ、あの…」
「あ?」
せっかく、眠るつもりだったが邪魔しやがって。
「そ、そんなに…においかがれると…」
「あ?なに俺に文句でもあんの?」
「ご、ごめんなさい。な、なんでも…ありません」
少し震えてる小さな体。…むかつく。俺は、後ろからこいつの首筋の髪を掻き分け、無意識にそこを舐めた。
「ひゃっ、」
ビクッと小さな体が波をうった。あ、反応した。首弱いんだ。
「うわ!もしかして次は羞恥プレイかよ!笹山やるねー」
「だいたーん!」
とか言って周りの連中は楽しそうに盛り上がっている。
「さ、笹山くん…」
ブルブル震えているのが伝わってくる。
「あ?」
やばい。超楽しい。俺がこいつを支配しているみたいで。気分がいい。
「ぼ、僕…その、」
「ちゃんと喋れよ」
「…ッ」
グダグダ喋るこいつに腹が立ち、俺は後ろからこいつの前髪を引っ張った。うわ…パシりで地味男のくせに髪の毛サラサラしてやんの。しかもふわふわだし。なにこいつ。ムカつく。
「笹山ー、ベタベタ触りすぎじゃね?(笑)」
「こんなやつ汚染されたゴミっすよ?」
「いつものようになんかパシろうぜ」
誰がなんて言おうと関係ない。俺が決めることだ。邪魔ものが消えて大喜び。…のはずだった。
ガラッー
勢いよく教室のドアが開いた。皆が視線をそこに向け、うるさかった教室が静寂に包まれる。
「あ、見っけ~」
そう言って、ドアを開けて入ってきた張本人は、意外な人物だった。皆が急なことに驚く。もちろん、俺もだ。
「ん?これどういう状況かな~?」
その意外な人物は、俺の前に来て不自然に笑う。
それをこっちが聞きたい。
「なんの用っすか?生徒会の会計さん」
生徒会の会計がこのZクラスになんの用だ。不思議でたまらん。せっかく、これからお楽しみの時間だったのに邪魔された気分で最悪だ。
「ねぇ、なんで君の上にこの子がのっているの?」
少し苛立ちの混ざった声で俺に問いかけてきた。俺の質問は思いっきりスルーしやがった。
「ちょっと今、お楽しみ中なんすっよ。だから邪魔しないでくれませんかー」
俺は邪魔されるのが心底嫌いだ。
「へぇ、なにそれ面白そうだね~」
さっきまで不機嫌な表情だった会計が、ぱっと明るくなった。そういや、前に食堂で派手にこいつを罵倒したり、生徒会でいじめていたよな。…本当、悪趣味。まぁ、俺も人のこと言えないけどね。てことは、会計も日頃の鬱憤晴らしにこいつをいじめに来たとか?はっ、ウケる。
「もしかして、こいついじめるの混ざりたいわけですかー」
だとしても俺が認めないけどね。
こいつは俺だけに支配されて、もう俺だけしか考えられないようになって、全部俺に従うようになればいいんだ。
「うーんと、それは嫌だね」
「はぁ?」
だったら何しに来たんだ。
「だって俺、そういうのは一人で楽しみたいんだよねー、だから皆でとか無理」
はは、うざ。何を言うかと思いきや、なにそれ。
「じゃあ、俺、今楽しんでるんで他当たってくださいねー」
パシリを後ろから見せつけるように抱き締めた。諦めろ。
「…なにそれ、見てて鬱陶しい。俺はこの子に用があんだよ。さっさとその汚い手退けろ」
チャラチャラしてた口調が急にドスのきいた声になった。
いくら、一人で楽しみたいからと言って意図がわからない。
それより、
「あれー、ちょっと性格変わってません?まあ、そう強く言われても断るけどね」
「そんなこと言ってもいいんだ…仕方ない。君が裏で悪いことしているの皆にバラして、学校退学させちゃおうかな」
「…っ!!な、なに!?」
こいつ、一体何を知っているんだ。急になぜそれを…。
「俺は別にどうでもいいけど。困るのは俺じゃないしさ」
「ッくそ」
「じゃあ、この子俺が借りるねー、ばいばいー」
「あの、えっ、ぼ、僕…」
俺からパシリを引き離し、二人で教室から出て行った。
「クソッ!!」
俺は机を蹴飛ばす。あぁもうイライラする!楽しみをなぜ皆奪っていく。死ねッ!!
「笹山ー、もしかして族でいろいろ悪いことしてるのバレたんっすか」
「うるせぇ!!」
そんなのどうでもいい。やっとあの転校生の邪魔者が消えて楽しさに浸っていたつうのに、面白くねぇ。
「そしたら俺たちまで危なくね?生徒会の情報こわー」
「つか、あいつ連れていって何か企んでんですかね」
「ただいじめるだけだろ」
「まじお気の毒。アハハ!」
何笑ってんだよ。楽しくねぇ楽しくねぇッ!!!!
俺はその笑った奴を殴った。
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