上 下
30 / 96
【第一部】

30、好き?

しおりを挟む
 けい、けい、すき。はやく触って。
 
 期待で硬くなっていた胸の先を指で弾かれると、全身に電流が走ったみたいに痺れた。
 
「好き。慧が好き」
 
 あれ? 何言ってるんだろう私。
 気がついたら、慧の身体にぎゅっと抱きついてそんなことを口走っていた。
 
「……え? いま、なんて」
「気持ち良いからもっとして?」
 
 とりあえず誤魔化しておくと、慧は不可解そうな顔をしながらも再び私の胸に手を伸ばす。
 
 一瞬焦ったけど、深く追求されなくてよかった。
 
 何であんなこと言ったんだろ。
 たぶん、ベッドの上で気持ちが盛り上がってるからだよね。
 
 しばらくはそのことが頭に引っかかっていたけれど、行為を進めていくうちに、すぐにそれも忘れてしまった。
 
 胸を触っていた慧の手が、下の方に降りていく。
 
 触れられる前からすでにシーツに滴るくらいに湿っていたソコに触れられると、それだけで身体が震えた。
 
 普段から器用で要領が良いからかな。
 一回で私のいいところを覚えたみたいで、この前よりもずっと上手くなっていて、慧の指で私はあっという間に高められていく。
 
「ゃ、けい、そこ、そんなにしたら……っ」
「イッちゃいそうですか」
 
 こくこくと頷くと、同じところを何度も擦られて、何も考えられなくなる。
 
「花音先輩、顔見せて。花音先輩がイくとこ見たい」
「やだ……」
「可愛い。大好きです」
 
 さすがにあの時の顔を見られるのは恥ずかしくてぷいっと顔を背けたけど、すぐに慧の手で顔を元の位置に戻され、口付けられる。
 
「けいっ、もうほんとにだめ、だって」
「うん、いいよ」
 
 身体に力が入らなくなって慧の腕にしがみついたけど、慧は中を擦る指を止めてくれなくて、慧の腕の中であっさりとイッてしまった。
 
「慧。もう、」
「挿れていいですか?」
 
 こくりと頷くと、慧は私の頭を撫でてから、ベッドを離れる。
 
「ゴム、前と同じとこにあります?」
「うん」
 
 こちらを振り返った慧に返事をすると、慧は棚からコンドームの箱を取り出す。箱を開けて、包みを取り出したとこまでは見てたけど、それをじっと見つめたまま慧は動かなくなってしまった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

クリスマスに咲くバラ

篠原怜
恋愛
亜美は29歳。クリスマスを目前にしてファッションモデルの仕事を引退した。亜美には貴大という婚約者がいるのだが今のところ結婚はの予定はない。彼は実業家の御曹司で、年下だけど頼りになる人。だけど亜美には結婚に踏み切れない複雑な事情があって……。■2012年に著者のサイトで公開したものの再掲です。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~

汐埼ゆたか
恋愛
絶え間なく溢れ出る涙は彼の唇に吸い取られ 慟哭だけが薄暗い部屋に沈んでいく。    その夜、彼女の絶望と悲しみをすくい取ったのは 仕事上でしか接点のない上司だった。 思っていることを口にするのが苦手 地味で大人しい司書 木ノ下 千紗子 (きのした ちさこ) (24)      × 真面目で優しい千紗子の上司 知的で容姿端麗な課長 雨宮 一彰 (あまみや かずあき) (29) 胸を締め付ける切ない想いを 抱えているのはいったいどちらなのか——— 「叫んでも暴れてもいい、全部受け止めるから」 「君が笑っていられるなら、自分の気持ちなんてどうでもいい」 「その可愛い笑顔が戻るなら、俺は何でも出来そうだよ」 真摯でひたむきな愛が、傷付いた心を癒していく。 ********** ►Attention ※他サイトからの転載(2018/11に書き上げたものです) ※表紙は「かんたん表紙メーカー2」様で作りました。 ※※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~

泉南佳那
恋愛
 イケメンカリスマ美容師と内気で地味な書店員との、甘々溺愛ストーリーです!  どうぞお楽しみいただけますように。 〈あらすじ〉  加藤優紀は、現在、25歳の書店員。  東京の中心部ながら、昭和味たっぷりの裏町に位置する「高木書店」という名の本屋を、祖母とふたりで切り盛りしている。  彼女が高木書店で働きはじめたのは、3年ほど前から。  短大卒業後、不動産会社で営業事務をしていたが、同期の、親会社の重役令嬢からいじめに近い嫌がらせを受け、逃げるように会社を辞めた過去があった。  そのことは優紀の心に小さいながらも深い傷をつけた。  人付き合いを恐れるようになった優紀は、それ以来、つぶれかけの本屋で人の目につかない質素な生活に安んじていた。  一方、高木書店の目と鼻の先に、優紀の兄の幼なじみで、大企業の社長令息にしてカリスマ美容師の香坂玲伊が〈リインカネーション〉という総合ビューティーサロンを経営していた。  玲伊は優紀より4歳年上の29歳。  優紀も、兄とともに玲伊と一緒に遊んだ幼なじみであった。  店が近いこともあり、玲伊はしょっちゅう、優紀の本屋に顔を出していた。    子供のころから、かっこよくて優しかった玲伊は、優紀の初恋の人。  その気持ちは今もまったく変わっていなかったが、しがない書店員の自分が、カリスマ美容師にして御曹司の彼に釣り合うはずがないと、その恋心に蓋をしていた。  そんなある日、優紀は玲伊に「自分の店に来て」言われる。  優紀が〈リインカネーション〉を訪れると、人気のファッション誌『KALEN』の編集者が待っていた。  そして「シンデレラ・プロジェクト」のモデルをしてほしいと依頼される。 「シンデレラ・プロジェクト」とは、玲伊の店の1周年記念の企画で、〈リインカネーション〉のすべての施設を使い、2~3カ月でモデルの女性を美しく変身させ、それを雑誌の連載記事として掲載するというもの。  優紀は固辞したが、玲伊の熱心な誘いに負け、最終的に引き受けることとなる。  はじめての経験に戸惑いながらも、超一流の施術に心が満たされていく優紀。  そして、玲伊への恋心はいっそう募ってゆく。  玲伊はとても優しいが、それは親友の妹だから。  そんな切ない気持ちを抱えていた。  プロジェクトがはじまり、ひと月が過ぎた。  書店の仕事と〈リインカネーション〉の施術という二重生活に慣れてきた矢先、大問題が発生する。  突然、編集部に上層部から横やりが入り、優紀は「シンデレラ・プロジェクト」のモデルを下ろされることになった。  残念に思いながらも、やはり夢でしかなかったのだとあきらめる優紀だったが、そんなとき、玲伊から呼び出しを受けて……

ヤリたい男ヤラない女〜デキちゃった編

タニマリ
恋愛
野獣のような男と付き合い始めてから早5年。そんな彼からプロポーズをされ同棲生活を始めた。 私の仕事が忙しくて結婚式と入籍は保留になっていたのだが…… 予定にはなかった大問題が起こってしまった。 本作品はシリーズの第二弾の作品ですが、この作品だけでもお読み頂けます。 15分あれば読めると思います。 この作品の続編あります♪ 『ヤリたい男ヤラない女〜デキちゃった編』

友情結婚してみたら溺愛されてる件

鳴宮鶉子
恋愛
幼馴染で元カレの彼と友情結婚したら、溺愛されてる?

私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした

日下奈緒
恋愛
課長としてキャリアを積む恭香。 若い恋人とラブラブだったが、その恋人に捨てられた。 40歳までには結婚したい! 婚活を決意した恭香を口説き始めたのは、同期で仲のいい柊真だった。 今更あいつに口説かれても……

ワケあり上司とヒミツの共有

咲良緋芽
恋愛
部署も違う、顔見知りでもない。 でも、社内で有名な津田部長。 ハンサム&クールな出で立ちが、 女子社員のハートを鷲掴みにしている。 接点なんて、何もない。 社内の廊下で、2、3度すれ違った位。 だから、 私が津田部長のヒミツを知ったのは、 偶然。 社内の誰も気が付いていないヒミツを 私は知ってしまった。 「どどど、どうしよう……!!」 私、美園江奈は、このヒミツを守れるの…?

処理中です...