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13、魔王の娘は魔界に帰りたい
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「今日も楽しそうだね」
「アデルさま!」
「アデル……。勝手に入ってくるなと言ったろう」
いつのまにか部屋に入ってきていたアデルがミアたちに声をかけると、リリスは嬉しそうにアデルの側にすり寄り、ミアは不満げにそっぽをむく。
「アデルさま、もうお仕事は終えられたんですか?」
「うん。今日は早めに終わったから、夕食に誘うついでにミアに会いにきたんだ」
「わざわざ呼びにきてもらわなくとも、時間になったら食堂に行く」
「そうだよね。でも、俺が会いたかったから、ここにきたんだ」
アデルの言葉にリリスがキャーと照れて、逃げるように窓から出ていく。
「リリス! どこに行く!」
ミアが呼び止めたが、その時にはもうリリスはミアの声が届かない遠くの空を飛んでいた。
「ミア」
リリスがいなくなったあと、不意にアデルに手を掴まれドキリとしたミアは、あわててアデルの手を振り払う。
「……ミア」
アデルはもう一度ミアの手を掴もうとしたが、その時床に落ちていた手紙の残骸に気がつく。
「手紙? 誰かに書いたの?」
「ああ、お前が私を虐げていることを父に告発した。お父様からも早速返事がきたぞ」
「そうなんだ。破られてるけど……」
ミアは腰に両手を当てて自慢げにそう言うが、アデルは破られた手紙の破片を拾って苦笑いを浮かべた。ミアはムッとしたようにアデルをにらみ、アデルの手からそれを取り上げようどするが、アデルは軽々と避ける。
ムキになって取り返そうとなるミアをかわし、アデルはミアを後ろから抱きこんでしまう。
「虐げてるつもりなんてないんだけどな。何が不満なの? 嫌なところがあったら直すから、教えてよ」
「……そういうところだ」
後ろから抱きしめられたまま首筋に吸いつかれ、ミアは頬を染めてきゅっと目をつむった。
「そういうところって? 何て書いたの?」
「お前との婚姻を無効にして、魔界に帰りたいと……」
ミアの赤い髪の毛をかきあげながら、アデルがちゅっちゅっと首筋にキスを落とすと、ミアは快感に耐えるようにドレスを握りしめる。
「ダメだよ。ミアは俺のしもべなんだから、魔界に帰るなんて許さない。もしミアが帰るなら、俺も魔界に行く」
後ろから抱きしめる手に力を込めたあと、アデルはミアに気づかれないようにさりげなく彼女のドレスの背中についているリボンを解いていく。
「何を言っておる。仮にもお前は王子で勇者の子孫なんだから、そんなことが許されるわけ……なっ!?」
反論しようとした矢先、今まで着ていたドレスがストンと落ちてしまい、ミアは顔を真っ赤にした。装飾も多く、腰からふわっと広がったスカート部分にはボリュームがあるが、固く結ばれた背中のリボンさえほどいてしまえば、簡単に脱げるデザインなのである。
黒の下着だけになってしまったミアをアデルが抱き上げ、天蓋付きのベッドに下ろす。
下着だけになって心もとないミアが泣きそうな顔でアデルを見上げると、アデルはミアの唇に自分の唇を重ねる。
「アデルさま!」
「アデル……。勝手に入ってくるなと言ったろう」
いつのまにか部屋に入ってきていたアデルがミアたちに声をかけると、リリスは嬉しそうにアデルの側にすり寄り、ミアは不満げにそっぽをむく。
「アデルさま、もうお仕事は終えられたんですか?」
「うん。今日は早めに終わったから、夕食に誘うついでにミアに会いにきたんだ」
「わざわざ呼びにきてもらわなくとも、時間になったら食堂に行く」
「そうだよね。でも、俺が会いたかったから、ここにきたんだ」
アデルの言葉にリリスがキャーと照れて、逃げるように窓から出ていく。
「リリス! どこに行く!」
ミアが呼び止めたが、その時にはもうリリスはミアの声が届かない遠くの空を飛んでいた。
「ミア」
リリスがいなくなったあと、不意にアデルに手を掴まれドキリとしたミアは、あわててアデルの手を振り払う。
「……ミア」
アデルはもう一度ミアの手を掴もうとしたが、その時床に落ちていた手紙の残骸に気がつく。
「手紙? 誰かに書いたの?」
「ああ、お前が私を虐げていることを父に告発した。お父様からも早速返事がきたぞ」
「そうなんだ。破られてるけど……」
ミアは腰に両手を当てて自慢げにそう言うが、アデルは破られた手紙の破片を拾って苦笑いを浮かべた。ミアはムッとしたようにアデルをにらみ、アデルの手からそれを取り上げようどするが、アデルは軽々と避ける。
ムキになって取り返そうとなるミアをかわし、アデルはミアを後ろから抱きこんでしまう。
「虐げてるつもりなんてないんだけどな。何が不満なの? 嫌なところがあったら直すから、教えてよ」
「……そういうところだ」
後ろから抱きしめられたまま首筋に吸いつかれ、ミアは頬を染めてきゅっと目をつむった。
「そういうところって? 何て書いたの?」
「お前との婚姻を無効にして、魔界に帰りたいと……」
ミアの赤い髪の毛をかきあげながら、アデルがちゅっちゅっと首筋にキスを落とすと、ミアは快感に耐えるようにドレスを握りしめる。
「ダメだよ。ミアは俺のしもべなんだから、魔界に帰るなんて許さない。もしミアが帰るなら、俺も魔界に行く」
後ろから抱きしめる手に力を込めたあと、アデルはミアに気づかれないようにさりげなく彼女のドレスの背中についているリボンを解いていく。
「何を言っておる。仮にもお前は王子で勇者の子孫なんだから、そんなことが許されるわけ……なっ!?」
反論しようとした矢先、今まで着ていたドレスがストンと落ちてしまい、ミアは顔を真っ赤にした。装飾も多く、腰からふわっと広がったスカート部分にはボリュームがあるが、固く結ばれた背中のリボンさえほどいてしまえば、簡単に脱げるデザインなのである。
黒の下着だけになってしまったミアをアデルが抱き上げ、天蓋付きのベッドに下ろす。
下着だけになって心もとないミアが泣きそうな顔でアデルを見上げると、アデルはミアの唇に自分の唇を重ねる。
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