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43話 青春のやり直し
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広夢くんと回る文化祭は、最高に楽しかった。
すごく話しやすいし、高校生の時に同じ年の彼氏がいたらこんな感じだったんだろうな。もう体験できないはずの青春のやり直しをしているみたいで、ずっとこのままでいたくなる。
毎回のことなんだけど、これがゲームの中じゃなかったら良かったのになって思っちゃう。いや、ゲームじゃなかったら、広夢くんみたいなクラスの人気者系さわやかイケメンと話せる機会なんて一生なかったんだけどね。
でも本当に、元の世界に戻ってから、ちゃんと現実の人と恋愛できるかが心配。
そんな心配をしつつも、広夢くんとたこせんや焼きそばを一緒に食べたり、お化け屋敷で遊んだりしながら、めいっぱい文化祭デートを楽しむ。
途中、悠真とその友達、千夏ちゃんと柚ちゃんとすれ違った。悠真は相変わらずクールな対応だったけど、千夏ちゃんと柚ちゃんは「がんばれ」って感じでこっそり合図を送ってくれた。応援してくれてるのかな……。
もうそろそろ文化祭の時間も終わりに近づいていたとき、体育館付近で一成先輩と西園寺さんで見つけた。
声をかけようか迷っていたら、西園寺さんが早足で一成先輩から離れていく。後に残された一成先輩は、困ったような笑顔を浮かべていた。
どうしたのかなって考えているうちに目が合って、一成先輩に手を振られる。
「何かあったんですか?」
そのままスルーするのもどうかと思ったので、一成先輩に近づいて声をかける。
「ああ、うん。怒らせちゃったみたいで」
「え、と、大丈夫ですか?」
「よくあることだから。あとで連絡してみるよ」
ため息をつきながらも、一成先輩は笑顔を作る。
よくあることって……。あんまり上手くいってないのかな? というか、あとで連絡するよりも、今追いかけた方がいいんじゃないのかな?
とは思うんだけど、恋愛経験の少ない私が余計なことを言わない方がいいよね。
そのまま立ち去ろうとしたら、一成先輩に呼び止められる。
「悠真は?」
……。そういえば、一成先輩には悠真って付き合ってるって誤解されてるんだった。
「さっき友達と一緒にいるところ見かけましたよ」
「でも、」
何か言いたげな目で、一成先輩は隣にいる広夢くんをチラリと見る。
「そ、そろそろ失礼しますね! いこ、広夢くん」
このままだとまずいことになりそうだったので、強引に話を切り上げ、広夢くんの手をとった。
すごく話しやすいし、高校生の時に同じ年の彼氏がいたらこんな感じだったんだろうな。もう体験できないはずの青春のやり直しをしているみたいで、ずっとこのままでいたくなる。
毎回のことなんだけど、これがゲームの中じゃなかったら良かったのになって思っちゃう。いや、ゲームじゃなかったら、広夢くんみたいなクラスの人気者系さわやかイケメンと話せる機会なんて一生なかったんだけどね。
でも本当に、元の世界に戻ってから、ちゃんと現実の人と恋愛できるかが心配。
そんな心配をしつつも、広夢くんとたこせんや焼きそばを一緒に食べたり、お化け屋敷で遊んだりしながら、めいっぱい文化祭デートを楽しむ。
途中、悠真とその友達、千夏ちゃんと柚ちゃんとすれ違った。悠真は相変わらずクールな対応だったけど、千夏ちゃんと柚ちゃんは「がんばれ」って感じでこっそり合図を送ってくれた。応援してくれてるのかな……。
もうそろそろ文化祭の時間も終わりに近づいていたとき、体育館付近で一成先輩と西園寺さんで見つけた。
声をかけようか迷っていたら、西園寺さんが早足で一成先輩から離れていく。後に残された一成先輩は、困ったような笑顔を浮かべていた。
どうしたのかなって考えているうちに目が合って、一成先輩に手を振られる。
「何かあったんですか?」
そのままスルーするのもどうかと思ったので、一成先輩に近づいて声をかける。
「ああ、うん。怒らせちゃったみたいで」
「え、と、大丈夫ですか?」
「よくあることだから。あとで連絡してみるよ」
ため息をつきながらも、一成先輩は笑顔を作る。
よくあることって……。あんまり上手くいってないのかな? というか、あとで連絡するよりも、今追いかけた方がいいんじゃないのかな?
とは思うんだけど、恋愛経験の少ない私が余計なことを言わない方がいいよね。
そのまま立ち去ろうとしたら、一成先輩に呼び止められる。
「悠真は?」
……。そういえば、一成先輩には悠真って付き合ってるって誤解されてるんだった。
「さっき友達と一緒にいるところ見かけましたよ」
「でも、」
何か言いたげな目で、一成先輩は隣にいる広夢くんをチラリと見る。
「そ、そろそろ失礼しますね! いこ、広夢くん」
このままだとまずいことになりそうだったので、強引に話を切り上げ、広夢くんの手をとった。
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