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40話 攻略のため

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 それから数日が過ぎ、ついに文化祭当日となった。

「お母さん、私と悠真が付き合ってるってすっかり勘違いしちゃってるよ」

 一緒に登校している最中、家でのことを悠真に愚痴る。
 今朝だって「彼氏によろしくね」なんて言われて、すっごく気まずかった。

 そういうのじゃないのに。
 悠真は攻略対象じゃないし、私は広夢くん攻略中なんだから。

 まあ、たしかにこの前は悠真にキュンとしちゃったけど。で、でも、あの状況だったら、誰でもキュンキュンすると思う。悠真じゃなくたって……。
 
「うちの親にも話がいったみたいで、からかわれた」

 自分の中で色々葛藤していたら、横から言葉が返ってきた。

「え~……なんかごめん」

 絶対お母さんが言いふらしてるよね。
 悠真のお母さんだけならまだしも、色んな人に言い回ってないと良いけど。
 
「いや、元はといえば僕が……」

 何かを言いかけていた悠真がハタと足を止める。
 
「僕が?」

 うつむいてしまった悠真に近づく。


「今後は軽率な行動は避けるよ。いきなり抱きしめたりしてごめん」

 ため息混じりに言って、悠真は再び歩き始める。
 
「……ん」

 その後を私もトボトボとついていく。

 謝らなくていいよ、嫌じゃなかったよ。
 そう言ったら、おかしいかな。おかしいよね。
 私が悠真から抱きしめられたかったみたいに聞こえちゃうよね。
 
「攻略にも支障が出るかもしれないし」
「だね」

 私の方を見ないで、悠真は話し続ける。

 攻略か、そうだよね。
 
 悠真は仕事でここにいるんだし。
 いつも私を助けてくれるのだって、全部攻略の手助け――仕事のためなわけで。別に私を好きだからじゃない。

 悠真は、最初っから攻略できないんだから。

 そんなの、分かりきったこと。
 なのに、何でだろうね。自分でもびっくりするくらいに、ショックを受けてる。

 何で私こんな……。

 うぅ~……、ダメダメ。
 こんなんじゃダメだよ。

 今日は、文化祭。広夢くんとの恋をぐっと大きく進展させるチャンスがあるかも。

 気持ちを切り替えて、がんばらないと!
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