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35話 文化祭準備
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翌日から、早速文化祭の準備が始まった。
とはいえ、サッカー部の千夏ちゃんと広夢くんは部活で忙しいから、放課後はなかなか時間が取れない。その分私と他の子たちで作業をすることが多いんだけど、千夏ちゃんや広夢くんも休み時間を使って、一緒に準備をしてくれる。
そんなある日の放課後。
広夢くんと千夏ちゃんは、いつものように部活。他の子たちはバイトや家の用事で、今日は私一人だけになっちゃった。
一人教室に残り、当日お店に飾り付けるペーパーファンを手作業で一つ一つ作っていく。
「あれ? 杏ちゃんだけ?」
突然誰かの声が聞こえ、顔を上げる。
すると、教室の入り口に広夢くんが立っていた。
サイドに白いラインの入った、サッカー部の青い練習着。制服以外の広夢くん、初めて見るかも。
制服の広夢くんもかっこいいけど、こっちもいいな。
「今日はみんな都合が悪かったみたいで」
いつもと違う広夢くんに見惚れつつも、質問に答える。
「部活は大丈夫なの?」
「今日は早めに終わったから、文化祭準備の方に顔出そうと思って」
こちらに向かって歩いてきて、広夢くんはニッと笑う。
「疲れてるのに、ありがとう」
「オレの仕事だから!」
そう言って、広夢くんは机の上に置いてあった紙を手に取り、私と同じものを作り始めた。
ひたすらさわやかで、まぶしすぎる……。
隠キャ属性の私にも気さくに話しかけてくれて、なんていい人なんだ。
現役高校生だった頃は、もちろん広夢くんみたいなクラスの人気者のイケメン男子と二人きりで教室に残る胸キュンイベントにはもちろん恵まれなかった。
そう思ったら、なんとなく拝みたい気分になった。
ありがとう、悠真! ありがとう、ゲームの神様。
私の人生で陽キャイケメンと二人きりになる機会なんてもう二度とないんだろうし、ゲームとはいえ、めいっぱい満喫しなきゃ。
→部活について聞く
恋愛について聞く
勉強について聞く
この時間を楽しもうと思っていた矢先、いきなり選択肢が出てきた。
こういうざっくりした選択肢もアリなんだ。
うーん……。
ほとんど好感度が上がってない状態で恋愛の話題は踏み込みすぎな気がするし、勉強の話もちょっとなぁ。
「部活は楽しい?」
消去法で、部活の話題を選択する。
「うん!」
広夢くんの瞳が輝き、胸元にあるハートが半分近くまで一気にピンク色に色づく。
え? そんなにぐーんって上がって、大丈夫?
残り攻略期間も少ない上に新たなヒーロー候補も見つけられていない私としてはありがたいけど、ちょっとびっくり。
「サッカーをやれるのってすごく幸せなことだったんだなって、改めて感じてる」
改めて……?
なんか不思議な言い方だな。
「杏ちゃんの好きなスポーツは?」
一瞬引っかかりを覚えたものの、広夢くんに話しかけられ、意識がそちらに行く。
「特別好きなスポーツはないけど……。サッカーとか野球とか、見るのは好きだよ」
「そうなんだ。良かったら、今度試合見にきてよ」
「いいの?」
「もちろん!」
それから、校舎が閉まるまでの30分間、広夢くんとサッカーの話で盛り上がった。
広夢くんは、サッカーが大好きみたい。部活の話題を選んで、正解だったな。
とはいえ、サッカー部の千夏ちゃんと広夢くんは部活で忙しいから、放課後はなかなか時間が取れない。その分私と他の子たちで作業をすることが多いんだけど、千夏ちゃんや広夢くんも休み時間を使って、一緒に準備をしてくれる。
そんなある日の放課後。
広夢くんと千夏ちゃんは、いつものように部活。他の子たちはバイトや家の用事で、今日は私一人だけになっちゃった。
一人教室に残り、当日お店に飾り付けるペーパーファンを手作業で一つ一つ作っていく。
「あれ? 杏ちゃんだけ?」
突然誰かの声が聞こえ、顔を上げる。
すると、教室の入り口に広夢くんが立っていた。
サイドに白いラインの入った、サッカー部の青い練習着。制服以外の広夢くん、初めて見るかも。
制服の広夢くんもかっこいいけど、こっちもいいな。
「今日はみんな都合が悪かったみたいで」
いつもと違う広夢くんに見惚れつつも、質問に答える。
「部活は大丈夫なの?」
「今日は早めに終わったから、文化祭準備の方に顔出そうと思って」
こちらに向かって歩いてきて、広夢くんはニッと笑う。
「疲れてるのに、ありがとう」
「オレの仕事だから!」
そう言って、広夢くんは机の上に置いてあった紙を手に取り、私と同じものを作り始めた。
ひたすらさわやかで、まぶしすぎる……。
隠キャ属性の私にも気さくに話しかけてくれて、なんていい人なんだ。
現役高校生だった頃は、もちろん広夢くんみたいなクラスの人気者のイケメン男子と二人きりで教室に残る胸キュンイベントにはもちろん恵まれなかった。
そう思ったら、なんとなく拝みたい気分になった。
ありがとう、悠真! ありがとう、ゲームの神様。
私の人生で陽キャイケメンと二人きりになる機会なんてもう二度とないんだろうし、ゲームとはいえ、めいっぱい満喫しなきゃ。
→部活について聞く
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勉強について聞く
この時間を楽しもうと思っていた矢先、いきなり選択肢が出てきた。
こういうざっくりした選択肢もアリなんだ。
うーん……。
ほとんど好感度が上がってない状態で恋愛の話題は踏み込みすぎな気がするし、勉強の話もちょっとなぁ。
「部活は楽しい?」
消去法で、部活の話題を選択する。
「うん!」
広夢くんの瞳が輝き、胸元にあるハートが半分近くまで一気にピンク色に色づく。
え? そんなにぐーんって上がって、大丈夫?
残り攻略期間も少ない上に新たなヒーロー候補も見つけられていない私としてはありがたいけど、ちょっとびっくり。
「サッカーをやれるのってすごく幸せなことだったんだなって、改めて感じてる」
改めて……?
なんか不思議な言い方だな。
「杏ちゃんの好きなスポーツは?」
一瞬引っかかりを覚えたものの、広夢くんに話しかけられ、意識がそちらに行く。
「特別好きなスポーツはないけど……。サッカーとか野球とか、見るのは好きだよ」
「そうなんだ。良かったら、今度試合見にきてよ」
「いいの?」
「もちろん!」
それから、校舎が閉まるまでの30分間、広夢くんとサッカーの話で盛り上がった。
広夢くんは、サッカーが大好きみたい。部活の話題を選んで、正解だったな。
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