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30話 ……ない!
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ブー、ブー、ブー。
スマホのバイブ音で、目を覚ます。
反射的にスマホを手に取ると、「七月三日 七時」と表示されていた。
七月、三日……。
昨日は七月二日だったけど、寝た記憶もないのに、次の日になってる。
また失敗しちゃったんだよね。
就活は上手くいかないし、恋人はできないし、お金はないし、ゲームでさえ失敗しまくる私って……。
どんどん攻略の期間が短くなってるけど、こんなことで卒業式までにハッピーエンドを迎えられるのかな。
悠真にも色々協力してもらってるのに、全然上手くできない自分が情けない。ごめんなさい、悠真。
ため息をつきながらベッドから起き上がり、ハンガーにかけてあった制服に腕を通す。なんだか気が重くて、いつもよりも身体が怠い。
これからどうしよう。
……あ。バッドエンドになった場合は関連の記憶がリセットされるなら、もしかして一成先輩と西園寺さんが付き合ったのもなかったことになる?
そしたら、一成先輩再攻略もあり?
うんうん、そうかも。
現金だけど、限界まで落ちてた気持ちがちょっと浮上してきた。
◇
その日のお昼休み。サンドイッチを買うため、私は購買で並んでいた。
あわてて出てきたら、お弁当忘れてきちゃった。
せっかく作ってもらったのに、申し訳ない。
ツナサンドイッチにしようか、野菜サンドイッチにしようか。
そんなことを考えながら、順番を待っていた時だった。
「杏ちゃん?」
声をかけられ、後ろを振り向く。
そこにいたのは、一成先輩。……と、西園寺さん。
一緒にいる西園寺さんも気になったけど、それよりも一成先輩の胸元に釘付けになってしまった。
……ない。
昨日まで確かにあったはずのハートが、ない。
好感度がゼロになったとかじゃなく、ハートそのものがなくなっている。
なんで? どうして?
最初にバッドエンドを迎えた潤くんのハートはそのままだったのに、何で一成先輩はなくなってるの?
むしろ潤くんのハートがなくなった方がありがたかった。
一成先輩が色々話しかけてくれているけど、全く耳に入ってこない。
どうにかお昼だけ買って、フラフラになりながら教室に帰る。教室に戻った私の手には、買うつもりが全くなかったコーンおにぎりが握られていた。
スマホのバイブ音で、目を覚ます。
反射的にスマホを手に取ると、「七月三日 七時」と表示されていた。
七月、三日……。
昨日は七月二日だったけど、寝た記憶もないのに、次の日になってる。
また失敗しちゃったんだよね。
就活は上手くいかないし、恋人はできないし、お金はないし、ゲームでさえ失敗しまくる私って……。
どんどん攻略の期間が短くなってるけど、こんなことで卒業式までにハッピーエンドを迎えられるのかな。
悠真にも色々協力してもらってるのに、全然上手くできない自分が情けない。ごめんなさい、悠真。
ため息をつきながらベッドから起き上がり、ハンガーにかけてあった制服に腕を通す。なんだか気が重くて、いつもよりも身体が怠い。
これからどうしよう。
……あ。バッドエンドになった場合は関連の記憶がリセットされるなら、もしかして一成先輩と西園寺さんが付き合ったのもなかったことになる?
そしたら、一成先輩再攻略もあり?
うんうん、そうかも。
現金だけど、限界まで落ちてた気持ちがちょっと浮上してきた。
◇
その日のお昼休み。サンドイッチを買うため、私は購買で並んでいた。
あわてて出てきたら、お弁当忘れてきちゃった。
せっかく作ってもらったのに、申し訳ない。
ツナサンドイッチにしようか、野菜サンドイッチにしようか。
そんなことを考えながら、順番を待っていた時だった。
「杏ちゃん?」
声をかけられ、後ろを振り向く。
そこにいたのは、一成先輩。……と、西園寺さん。
一緒にいる西園寺さんも気になったけど、それよりも一成先輩の胸元に釘付けになってしまった。
……ない。
昨日まで確かにあったはずのハートが、ない。
好感度がゼロになったとかじゃなく、ハートそのものがなくなっている。
なんで? どうして?
最初にバッドエンドを迎えた潤くんのハートはそのままだったのに、何で一成先輩はなくなってるの?
むしろ潤くんのハートがなくなった方がありがたかった。
一成先輩が色々話しかけてくれているけど、全く耳に入ってこない。
どうにかお昼だけ買って、フラフラになりながら教室に帰る。教室に戻った私の手には、買うつもりが全くなかったコーンおにぎりが握られていた。
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